【令和4年度】技術士二次試験の再現論文の添削「道路Ⅱー2-1」

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建設部門(道路Ⅱー2-1)再現論文の添削

技術士二次試験選択科目の論文添削講座の受講生から再現論文の提出がありました。
今回はその論文の紹介と見解・指摘事項を考えていきます。

問題文

高速道路が通過するにもかかわらずインターチェンジ(以下「IC」という。) が設置されていないため,通過するのみとなっているA市において,地域活性化を目的として,スマートICを計画することになった。この計画を担当する責任者として,下記の内容について記述せよ。なお, A市内の高速道路には,休憩施設やバスストップ等, スマートICに活用できる施設は存在しないものとする。
( 1 ) ICの位置の選定に当たり,調査,検討すべき事項とその内容について説明せよ。
( 2 )業務を進める手順について,留意すべき点,工夫を要する点を含めて述べよ。
( 3 )業務を効率的,効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

参考:日本技術士会

再現論文

1.ICの位置の選定に当たり調査検討すべき事項
地域活性化を目的としてスマートICを計画する上で重要な3つを下記に述べる。
① 企業立地の促進
工業団地からのアクセス性の向上が図れる位置を調査し、スマートICを選定する。
また、スマートICの整備によるアクセス性向上、物流効率化の効果で、更なる企業立地の増加が図れるかを検討する。企業立地が増加すれば、新規雇用の創出、工場の新築または増築による効果で地域の活性化に繋がる。
② 地域の観光資源
A市の観光資源を調査し、観光資源から高速道路へのアクセス向上が図れる位置にスマートICを選定する。また、観光資源を中心とした周辺観光との周遊・連携ネットワークが形成できるかを検討する。
ネットワークが形成されれば、滞在型周遊観光の促進により、観光客が増加し、地域が活性化される。
③ 防災機能・災害支援
近年の激甚化している自然災害により、既存インターチェンジ周辺の浸水被害、通行止めなどの発生を調査する。スマートICの整備により、災害時の避難経路や物資輸送経路、自衛隊や救急車両の緊急輸送経路として活用できる位置を検討する。
これらの検討により、リダンタンシーが確保されることで地域の安全性が向上し、地域活性化に繋がる。
2.業務を進める手順について留意、工夫を要する点
上記で述べた3点について調査、検討を進める。
業務を効率的に進めるため、事前に工程表と出来高管理表を作成し、それに基づいた業務計画書を作成する。毎週もしくは各フェーズにおいて工程会議を実施し、業務の進捗を確認する。
遅延している作業や遅延する可能性の高い作業については、生産の5Sの配分を検討し業務計画を変更する。業務計画変更による関係者の周知不足による手戻り、または業務の錯綜による中断を防ぐため、変更業務計画書を作成する。
業務を効率的、効果的に進めるためには、この変更業務計画書を周知する打合せ、議事録を作成し、関係者の意思疎通を図り調整する、
また、関係者の日々の作業状況をヒアリングで確認し、遅延、手戻りが発生しないように調整することも有効な方策だと考える。
3.業務を効率的に進めるための関係者との調整方法
 スマートICの候補位置を数か所選定し、比較検討案を作成する。その段階で、関係する国、県、市などの行政、工業団地に入っている企業、また新規参入候補の企業、地域の観光協会と調整を行う。
そのような多様な関係者の利害等を調整し取りまとめ業務を進めていく。           以上

再現論文の見解・指摘事項

見解

本講座では合格する論文につて以下の指導をしています。
①問題文を読んで、問題文で要求されていることを答案に書くこと
②その内容が間違っていないこと
③内容が読んで理解できること
④文字数を満たしていること
参照:技術士二次試験合否判定基準【思考停止から脱却しろ】


この中で一番重要なものは①になります。
理由は多くの受験生が一番勘違いしている項目だからです。
この論文の判定は知りませんが、A判定は難しいと思います
その理由を考えていきましょう。

指摘事項

序文について

A市において,地域活性化を目的として,スマートICを計画することになった。この計画を担当する責任者として,下記の内容について記述せよ。なお, A市内の高速道路には,休憩施設やバスストップ等, スマートICに活用できる施設は存在しないものとする。

求められているものは「A市の地域活性化」になります。
「A市の地域活性化」につながればA判定であり、そうでないと判断されればB判定以下になります。
設問(1)については、「A市の地域活性化」につながると考えらえます。

では設問(2)についてはどうでしょか?
これは解答にも書いてありますが「業務を効率的に進めるため」が目的であり、「地域活性化」が目的になっていません。
「地域活性化」が目的語になっていないのでA判定は難しいと思います。

また、道路が選択科目なのに道路に関係がない内容になっているのも、大きな減点要素でしょう。

思いつきました。

何を書けば合格できるのか

では何を書けば合格できるのでしょう?
それは「A市の地域活性化」につながる業務内容とその順番です。
そしてそれが「スマートIC」の計画に基づいている必要があります。

たとえば以下のような内容です。

①スマートICの需要予測量の決定
②需要予測に基づくスマートICの規模・設備内容の選定
③スマートICから各施設へのアクセス道路の計画策定

スマートICの計画する担当者する責任者の業務なのですから、この内容をこの順番で行えば「A市の地域活性化」につながると考えられます。
解答には上記の3つをタイトルとして書き、内容を留意する点と工夫する点について記述するだけです。

この問題では自分の置かれた立場と役割を正しく認識すれば解ける問題です。
それを理解できれば合格で理解できなければ不合格なのです。
合格したいのであれば、そのことを常々考えてください。

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この記事を書いた人

横浜すばる技術士事務所代表
技術士(建設部門ー施工計画、施工設備及び積算) (総合技術監理部門)
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