技術士の作文能力向上対策

理系の作文技術
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理科系の作文技術

二次試験の論文を作成する際、どう書いたらいいのか迷っている方は多いのではないでしょうか?
一度は耳にしたことがあるかも知れませんが、木下是雄著の「理科系の作文技術」という良書があります。
1981年に刊行されて以来、40年以上にわたり、100万部以上も売られています。
一部、今の時代にそぐわない説明はあるものの、その根幹は今でも十分に通用する内容です。
技術士を目指す皆さんはもちろんのこと、理系の技術者の皆さん必携です。
中古であれば100円ほどで売られていますが、新品でも700円です。

参考情報:中央公論新社

活用の仕方

では、この良書をどう活用すればよいか?
まず購入して読み始める前に、心の準備が必要です。
最近のスマートフォンで簡単に読める記事のようなものではありません。
無骨な読み物です。
特に、他人に読んでもらうための仕事で必要な文書を対象にしています。
読み手につたえるべき内容が事実と意見に集約されていて、心情的要素を含まない文書になります。
つまり、情報と意見を伝達することに特化した文書です。

初めて報告書を作成した時を思い出してみてください。
・結論は先!
・一文は短く!
・語尾は言い切る!
・事実と意見は区別!
・目的と手段は明確に!

口酸っぱく言われませんでしたでしょうか?
こういった金言をまとめた本になっています。
定期的に読み直すだけでも勉強になる良書です。

まず、「チャーチルのメモ」から始まります。
内容は皆さんに読んでもらいたいですが、英国の宰相であったウィンストン・チャーチルが政府各部局長に送ったメモです。
指示事項は上述のとおり、新入社員時代に上司から言われたであろう内容と全く同じです。
要するに、大量の書類を読まなければならない状況の中、ほとんどの書類が長すぎで、時間の無駄かつ要点が見つからないということです。

技術士二次試験への活用の仕方

技術士の二次試験も同じ状況にあるかと思います。
技術士は毎年3万人程度が申し込みますが、合格率は10%前後です。
技術士分科会の試験委員に関する資料を見ると、作問委員だけで400名を超えています。
採点委員ともなるとさらに多くなることが想定されます。
そう考えると、採点委員は3万人×600字詰め原稿用紙6枚を採点しなければなりません。
採点委員も専業ではなく本業があるので、かなりの重労働が予想できます。
すなわち、原稿用紙1枚にじっくり目を通している余裕はありません。
皆さんも部下の報告書を見る時にまずは斜め読みしてざっくり内容を把握しませんか?
業務の場合、斜め読みの時点で内容が不十分と認識できれば、じっくり内容を精査しますよね。
ただし、技術士二次試験は試験です。
採点者が不十分と思った時点でおそらくもう見てもらえません。
では、どういった内容であれば採点者は見ると思いますか?
その内容がまとまった本が「理科系の作文技術」です。
文章の組立、パラグラフ、文の構造と文章の流れについても記述があり、大変勉強になります。
パラグラフがかっちりと決まっているだけでも採点者は非常に読みやすくなります。

その上で、最初の箇条書きを見直してみるとすんなり腹落ちしませんでしょうか?
・結論は先!
 →例えば、問題Ⅲは最も重要と考える課題を選びます。結論は先という考え方にも合致します。
・一文は短く!
 →長くても50文字以下にする。長文になると主語と述語の関係が不明瞭となり真意が伝わらない。
・語尾は言い切る!
 →読み手に意図した内容が誤解なく明確に伝わるように書く。
・事実と意見は区別!
 →事実は問題から読み取った情報で、意見は情報を基に技術者として考えた内容である。
・目的と手段は明確に!
 →目的なのか手段なのか認識していないと、手段が目的になることが多い。

技術士二次試験の準備を開始している方もまだ着手できていない方も、「理科系の作文技術」をまだ読んでいない方は是非目を通してみてください。
今まで当然と思っていたことも多く書かれていると思います。
ただ、その当然と思ったことを実践できているかは別問題です。
結論は先、一文は短く、主語と述語、パラグラフ構成、事実と意見、目的と手段、言われてみれば当然ですが、二次試験の論文を書く時に意識できていますでしょうか?
これを意識して筆記試験対策をするだけで、圧倒的に有利となります。

再度認識して欲しいことですが、採点者は膨大な答案用紙を採点します。
1枚1枚を丁寧に読んではくれません。
まず構成を確認、結論を認識し、問題の与条件に基づいて技術者としての判断ができているかを斜め読みで評価していると思います。
構成がしっかりできているだけでも高得点に結びつきます。
是非、「理系の作文技術」を読んで技術者としての表現力を高めてください。
その上で、横浜すばる技術士事務所の二次試験受験対策講座を受講すれば効果的です。
技術士二次試験完全講座の申込はこちら

参考情報:文部科学省

まとめ

技術士二次試験は作文技術が重要となります。
作文技術は文学的でも哲学的でもいけません。
技術者には技術者の書き方があります。
内容については横浜すばる技術士事務所で教えられますが、その前提となる作文技術の鍛錬はまずは皆さんで進めてもらうことをお勧めいたします。

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この記事を書いた人

横浜すばる技術士事務所専任講師
技術士(土質及び基礎)

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