問題
Ⅱー2ー2工業団地内に発電プラント施設を建設するに当たり,設備建屋に隣接した大型の工業用水タンクの基礎構造を計画している。タンクの平面規模は40m><20m ,荷重度は100kN/ m2である。建設地の地層構成と平面図を模式図に示す。原計画では設備建屋と同様, GLー70m以深の砂礫層に杭先端を支持させた杭基礎であったが,コスト縮減及び工期短縮を目的とした基礎構造のVE提案が求められた。VE案の候補は,原設計より短い杭を有する杭基礎,若しくは直接基礎である。あなたが地盤及び基礎の技術者の立場で提案業務を進めるに当たり,以下の内容について記述せよ。なお,解答に当たっては, VE案の候補から1つの基礎形式を選択し,選択した基礎形式を最初に明記すること。
( 1 )調査,検討すべき事項とその内容について説明せよ。
( 2 )業務を進める手順とその際に留意すべき点,工夫を要する点を含めて述べよ。
( 3 )業務を効率的,効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。
参考:日本技術士会
解答
1基礎形式の選択
本設問の条件では、中間の砂質土層を支持層とする「原設計より短い杭を有する杭基礎」を選択する。
2調査・検討すべき事項と内容
(1) 業務計画時に想定すべきリスク
地下水位が高い地盤のため、杭基礎の設計で砂質土層では地震時の液状化を粘性土層では圧密沈下のリスクを想定する必要がある。また、既設構造物との近接施工による変状の発生リスクを想定する必要がある。
(2) リスク対応に向けた調査・検討項目
上記の想定リスクを踏まえて、杭基礎の安定等を検討するために、以下の調査を行う。
・ボーリング調査(地層の傾斜等の把握)
・地下水調査(施工時水位等の把握)
2.業務遂行手順と留意点・工夫点
業務遂行手順は図-1のように6工程で計画する。以下、各工程での留意点・工夫点を示す。
①要求事項の確認では、確保する安全性能、調査設計期間と工事完成までの工程、予算規模について確認するよう留意する。
②調査方法の検討では、支持層の平面的な分布深度及び層厚の確認に有効なボーリング孔の配置を工夫する。また、周辺環境からの制約条件(施工ヤード,地下埋設物)に留意する。
③基礎形式の選定では、杭種・杭径について、安全性や経済性に留意する。
④基礎杭の設計では、近接施工による既設構造物への影響に留意する。必要に応じてFEM解析等を行う。
⑤設計成果の納品では、施工時に潜在するリスクと具現化した場合の対応策の報告を行うよう留意する。
⑥施工時の検討では、環境条件や地盤条件の変化への対応が迅速になる管理体制に留意する
3.効率的・効果的に進める関係者調整方策
①③⑤発注者との協議調整では、業務プロセスにおける情報共有を密に行い、コスト・品質・工程に関する調整協議の円滑化につなげる。
②調査専門業者との調整では、各調査の工程調整を図る場を設け、作業重複による遅延を防止する。
④設計スタッフとの調整では、検討条件や検討結果の最新情報を一元管理し、インターフェースでの情報伝達ミスを防止する。
⑥施工者との調整では、施工管理データを関係者が共有し、対策変更等への協議を迅速化する。-以上
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