令和4年度建設部門鉄道Ⅱー2-1 論文添削

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問題

Ⅱー2ー1連続立体交差事業として既に開業している都市鉄道の一部を地下化し,現在の地上駅を地下駅にすることとなった。このプロジェクトを構想段階から具体化するため,地下駅の構造を新たに計画する担当責任者として業務を進めるに当たり,下記の内容について記述せよ。なお,基本的な縦断・平面線形までは概ね確定しているものとする。また,駅部の線路中心線は,新旧で最大30m程度の離隔があるものとする。
( 1 )調査,検討すべき事項とその内容について説明せよ。
( 2 )留意すべき点,工夫を要する点を含めて業務を進める手順について述べよ。
( 3 )業務を効率的,効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。
参考:日本技術士会

解答

( 1 ) 調 査 、 検 討 す べ き 事 項
 1 つ 目 は 支 障 物 件 の 調 査 で あ る 。 都 市 部 の 地 下 に 構 築す る た め 、 埋 設 物 が 多 数 あ る と 想 定 さ れ る 。 各 管 理 者 に依 頼 し 平 面 、 横 断 、 縦 断 図 を 入 手 し 、 切 回 し や 吊 防 護 を検 討 す る 。 ま た 、 近 接 す る 物 件 も 調 査 し 、 近 接 度 の 判 定基 準 や 管 理 値 も 同 時 に 確 認 し て お く 。
 2 つ 目 は 既 開 業 鉄 道 と の 近 接 施 工 の 検 討 で あ る 。 新 旧で 最 大30m程 度 の 離 隔 の た め 、 近 接 施 工 に 該 当 す る 可 能性 が 高 い 。 近 接 度 の 判 定 、FEM解 析 に よ る 軌 道 等 の 変 位を 予 測 し 、 管 理 値 内 に 収 ま ら な い 場 合 は 先 行 地 中 梁 等 の対 策 を 実 施 す る 。
 3 つ 目 は 移 動 円 滑 化 の 検 討 で あ る 。 地 下 化 で 上 下 移 動が 長 く な る た め 、 既 設 の 地 上 駅 の ピ ー ク 時 利 用 者 数 を 参考 にEVの 設 置 数 等 を 検 討 す る 。 そ の 際 、 上 下 移 動 の サイ ク ル が 長 い こ と も 考 慮 し 、EVで 混 雑 が 発 生 し な い よう に す る 。
 4 つ 目 は 地 質 調 査 ・ 環 境 調 査 で あ る 。 駅 断 面 の 設 計 、FEMに よ る 変 位 予 測 を 行 う た め 、 地 質 特 性 や 地 下 水 位 等を 調 査 す る 。

( 2 ) ― 1 業 務 を 進 め る 手 順
 前 述 し た 調 査 、 駅 断 面 ・ 土 留 め ・ 施 工 法 の 計 画 、 設 計施 工 の 順 に 業 務 を 進 め る 。
( 2 ) ― 2 留 意 点 、 工 夫 点
地 質 調 査 、 環 境 調 査 の 際 は 、 そ れ だ け で は 局 所 的 な 軟弱 地 盤 な ど 面 的 な 把 握 が 難 し い こ と に 留 意 し 、 文 献 調 査や 周 辺 の 地 質 ・ 環 境 に 詳 し い 専 門 家 へ の ヒ ア リ ン グ を 行う 。
  駅 断 面 を 計 画 す る 際 は 、 輸 送 障 害 時 を 想 定 し た 折 り 返し 設 備 の 設 置 を 考 慮 す る 。 特 に 相 互 直 通 運 転 さ れ て い る場 合 は影 響が 広 域に 波 及 し や す い た め 、 必要 性 が 高 ま る駅 は 3線 以上 に す る の が望 ま し い が 、 難 し い 場 合 は 駅 前後 に 渡 り 線 を 設 置 す る 。
 施 工 の 際 は 、 近 接 構造 物 や 地 上 の 鉄 道 施 設 、 周 辺 地 盤土 留 め の 変 位 をモ ニ タリ ン グ す る 。 管 理 値 のみ で 判 断 する の で は な く 、異 常の きざ し が な いか を 観 察し 、追 加対策 の要 否を 検 討 し な が ら 施 工 を 進 め る 。

( 3 )関 係者 と の 調整 方策
 地方 公 共 団 体、 支 障 物 件 の 管 理 者 、 鉄 道 事 業 者 、 地域住 民を 交 えた 協 議 会を 設立 す る 。 地 下 駅掘 削で 大量 の 土砂 が 出 る た め 、 多 く の公 共事 業 を扱 う 地方 公 共 団 体を 交え る こ と で 、 土 の 利活 用 に つ い て 円 滑 に 調整 で き る 。 支障 物 件 は 都 市 部 で 多 数 あ る と 想 定 さ れ る た め 、一 同 に会す こ と で 効率 的 に 切 回 し 等 に つ い て協 議で き る 。 地域 住民 は ダ ン プ ト ラ ック や重 機の 往 来で 事 業 に反 対 さ れ るかも し れ な い た め 、 計 画段 階 から 協 議 会に 入っ て 頂 く こ とで 、 理 解 を得 る た め の 時間 を 長 く で き る た め 、 円 滑 に 工事 着 で き る よ う に な る と 考え る 。

解説

選択科目ⅡはⅡー1とⅡー2とから構成されています。
この論文はB判定のものです。
基本的に技術士二次試験の問題では部門や選択科目の差はありあません。
正しく書けているか否かになります。
この解答は正しくかけていません。
その結果としてB判定なのです。

( 1 )調査,検討すべき事項とその内容について説明せよ。

この問題では上記にあるように「調査・検討すべき事項」について解答を求められています。
大事なのでもう一度いいます。
「調査・検討すべき事項」について解答を求められています。
では解答を見てみましょう。

1 つ 目 は 支 障 物 件 の 調 査 で あ る 。
2 つ 目 は 既 開 業 鉄 道 と の 近 接 施 工 の 検 討 で あ る 。
3 つ 目 は 移 動 円 滑 化 の 検 討 で あ る 。
4 つ 目 は 地 質 調 査 ・ 環 境 調 査 で あ る 。

「調査・検討」について論じていません。
「調査」であったり「検討」であったりしています。
当たり前の話ですが、検討する必要があるからその前段階として調査するのです。
調査は必要だが検討は必要ないものなどありません。
検討は必要だが調査が必要がないものもありません。
調査と検討は対になっていなければなりまえん。
この解答は設問(1)の段階ですでにB判定なのです。

書き方としては「○○について調査・検討する必要がある。」と書けばいいだけなのです。

単純にそれだけでB判定になっています。
技術士二次試験の論文は高い技術力を問われているのではありまえん。
問われていることに対して「正確に答える」ことを求められています。
そのため問題文を正しく読まなければなりません。
ほとんどの受験生は問題を正しく読めていないのです。

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この記事を書いた人

横浜すばる技術士事務所代表
技術士(建設部門ー施工計画、施工設備及び積算) (総合技術監理部門)
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