「技術士二次試験に向けて、何から勉強を始めればいいのかわからない」
「10回以上受験しているのに、なぜか合格ラインに届かない」
このような悩みを抱えている受験生は決して少なくありません。仕事をしながら限られた時間の中で膨大な試験対策を行うのは、非常に過酷なことです。
しかし、技術士二次試験は決して「超難関で一般人には手が届かない試験」ではありません。正しい試験対策のルートを知り、地道な努力を積み重ねれば、確実に一発合格を狙える試験です。
実際に、私自身はその年の4月から本格的に勉強を始め、翌年3月には技術士二次試験(建設部門・総合技術監理部門)に見事一発合格を果たしました。すべてを一発で合格できたのは、単なる運や努力だけでなく、「試験に合格するための技術(ノウハウ)」を本質から理解していたからです。
今回は、多くの受験生が陥りがちな罠と、一発合格を果たすために4月から真っ先に実践すべき「筆記試験対策の極意」を徹底的に解説します。
参考:日本技術士会
技術士二次試験に合格できない本当の理由は「言葉を知らない」から
多くの受験生が「専門知識が足りないから落ちた」「論文の書き方のテクニックがないからダメだった」と考えがちですが、それは大きな誤解です。
技術士試験は、一次試験 ⇒ 二次試験 ⇒ 総合技術監理部門とステージが上がるごとに、単なる「暗記力」ではなく「思考力」や「問題解決能力」が厳しく問われるようになります。そして、その思考力の土台となるのが、実は「国語力」なのです。
ハッキリと言ってしまえば、何年も不合格を繰り返してしまう最大の理由は「文章を正しく読めていないこと」、そして「使う言葉の本当の意味を理解していないこと」にあります。
全ての勉強の悩みは「国語力」に起因する
■「参考書や過去問の資料を読んでも、内容が頭に入ってこない」
■「問題文が何を求めているのか、いまいちピンとこない」
■「自分の考えを論文としてうまく表現できない」
こうした受験対策における悩みのほとんどは、専門知識の不足ではなく、すべて「国語力」の不足から生じています。英単語を全く知らない人が英文を読めないのと同じように、日本語のキーワードの正しい意味を知らない人が、技術士の高度な論文を読み解き、記述できるはずがないのです。
合格を引き寄せる「素直の法則」
思考力や国語力を身につけるためには、人間性、特に「素直さと謙虚さ」が求められます。
「たかがペーパー試験で人間性なんて関係ない」と思うかもしれませんが、本当に頭が良い人は、素直で謙虚でなければ新しい学びが深く染み込まないことを知っています。
自分のこれまでの自己流の書き方に固執せず、試験の本質や指導者のアドバイスを「素直に」受け入れること。これこそが、わずか数ヶ月の対策で一発合格を勝ち取るための大前提(素直の法則)となります。
「技術士法第1条」から読み解く出題テーマの本質
国語力を身につけると、技術士二次試験の「出題傾向」までが手に取るように見えてきます。その代表例が、すべての基本となる「技術士法第1条」の文言です。
技術士法第1条には、「…技術士の資格を定め、その業務の適正を図ることにより、技術の向上と国民経済の発展に資することを目的とする」とあります。
ここで質問ですが、皆さんはこの「経済」という言葉の本当の意味を説明できるでしょうか? 現代では「お金の回り方」や「ビジネス」という意味で使われがちですが、もともとは東洋の古くからの四字熟語である
「経世済民(けいせいざいみん)」の略語です。
| キーワード | 本来の意味・定義 | 技術士試験における具体的な出題テーマ |
| 経世(けいせい) | 世の中をおさめること (利便性が高く安全な社会基盤・都市を作ること) | 社会資本の老朽化・インフラメンテナンス (利便性を低下させる要因への対策) |
| 済民(さいみん) | 人民を救うこと (国民の生命と財産を災害や危機から守ること) | 激甚化する自然災害への防災・減災対策 (生命・財産を脅かす要因への対策) |
このように、「経済=経世済民=世を治め、民を救う」という言葉の本質的な意味を理解していれば、なぜ技術士試験(特に建設部門など)において「老朽化対策」や「防災・減災」が毎年必ずと言っていいほど出題されるのか、その必然性が理解できるはずです。単なる暗記ではなく、言葉の意味から出題背景を思考する。これが合格者の視点です。
国語力を身につける最もシンプルな方法は「漢字の勉強」
では、論文を突破するための「語彙力・国語力」はどのように身につければよいのでしょうか。答えは非常にシンプルで、「漢字(言葉)の定義を正しく調べること」です。
技術士二次試験では、正確な漢字・言葉の意味が分かってさえいれば、多少文章の表現が不器用であっても、合格点を大きく超える論文を書くことができます。
「示す」という漢字一文字の罠
例えば、筆記試験の設問で非常によく見られる「課題に対する解決策を示せ」という要求。
不合格になってしまう受験生の多くは、以下のように書いてしまいます。
■「解決策は〇〇を導入することである。」
■「▲▲という工法を採用して解決する。」
これだけでは、高確率で不合格か、大幅な減点を食らってしまいます。なぜなら、辞書で「示す」という言葉を引くと、「証拠を提供することにより、事をはっきり表し、明示する」と定義されているからです。
つまり、問題文が求めている「解決策を示せ」の本質は、単にアイデアを羅列することではなく、「それがなぜ解決策になるのかという『証拠(理由・メカニズム・客観的データ)』をセットで明示せよ」という意味なのです。
| 受験生のタイプ | 論文の記述内容 | 採点官の評価 |
| 不合格になる受験生 | 解決策(アイデア)の結論だけを羅列する | C評価(不合格): 「示す」という要求(証拠の提示)に応えていない。 |
| 一発合格する受験生 | 解決策と、それが有効である**「証拠・理由」**をセットで記述する | A評価(合格): 設問の要求を正しく理解し、論理的に明示している。 |
どれだけ優れた最新技術を解決策として提案しても、その「証拠」が抜けていれば不合格になります。逆に、多少ありきたりな解決策であっても、確固たる証拠が論理的に示されていれば合格できるのです。
実践:過去問の設問要求を100%論文にトレースする方法
国語力を応用して、実際の試験問題をどう読み解くべきか、令和3年度の建設部門・必須科目(Ⅰ)の問題を例に考えてみましょう。
【問題文の例(令和3年度 建設部門必須科目より抜粋)】
(1) 建設分野において廃棄物に関する問題に対して循環型社会の構築を実現するために、技術者としての立場で多面的な観点から3つ課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、課題の内容を示せ。
この短い問題文の中に、採点官が受験生に求めている「絶対条件(制約条件)」がいくつも散りばめられています。日本語を正しく読める合格者は、まず以下のように要素を分解します。
1.前提テーマ:建設分野における「廃棄物に関する問題」であること
2.目指すべきゴール:「循環型社会の構築を実現する」ための内容であること
3.立場:「技術者としての立場」から論じること
4.抽出するもの:「3つの課題」を抽出すること
5.必須の明記要素:それぞれの課題における「観点」を明記すること
6.記述の要求:単に課題を挙げるだけでなく、その「課題の内容」を明確に示す(=証拠・理由を添える)こと
採点官が迷わない論文の構造を作る
不合格になる人の論文は、どれが「観点」で、どれが「課題」で、どれが「内容」なのかが判別しづらく、採点官に「読ませる努力」を強いてしまいます。
合格する論文は、国語力を活かして、採点官がパッと見た瞬間に「要求通りに書かれている」と分かるように構造化されています。
■論文構成のイメージ例
1.循環型社会構築に向けた課題
(1)○○の抑制(観点:環境面・資源の有効利用)
[課題の内容を、客観的な証拠・現状の背景とともに示す]
(2)▲▲の促進(観点:経済面・コスト縮減)
[課題の内容を、客観的な証拠・現状の背景とともに示す]
(3)■■の体制構築(観点:社会面・制度の普及)
[課題の内容を、客観的な証拠・現状の背景とともに示す]
自分だけが満足する論文ではなく、「問いに対して、求められた要素を、求められた定義通りに提供する」。日本語が正しく読めれば、これだけで技術士二次試験の筆記試験は確実に突破できます。
まとめ:4月からのスタートで一発合格を掴むために
技術士二次試験の受験対策には、正しい「ステップ」が存在します。
最初から難しい専門知識の暗記や、難解な過去問の模範解答を丸写ししようとしても、基礎がなければいつまで経っても応用は効きません。
まずは「国語力」という名の最強の基礎を積み上げること。問題文の一言一句を疎かにせず、漢字や言葉の定義を正しく理解する訓練から始めてください。このステップを経ることで、あなたの論文作成能力は飛躍的に向上し、合格ラインを軽く超える「ブレない論文」が書けるようになります。



