「もう試験まで時間がない…」「今年は勉強時間が足りなかったから、来年頑張ろう」と、受験を諦めかけていませんか?
断言します。技術士二次試験は、今からでも十分に間に合います。
技術士二次試験は、合格率が低く非常に難解な試験だと思われがちです。しかし、ストレート合格を果たす人と不合格を繰り返してしまう人の差は、決して「持っている技術レベルの高さ」ではありません。試験の「勝ち方(ルール)」を理解し、本番でそれを実践できているかどうかの違いだけなのです。
本記事では、技術士一次・二次・総合技術監理部門のすべてを1回で一発合格した筆者が、試験直前からでも逆転合格を掴み取るための「筆記試験合格の3大原則」を徹底解説します。
合格への第1原則:何があっても「受験する」
まず最も重要で、すべての土台となる原則です。それは「何があっても当日、試験会場に行って受験する」ということです。
「合格の反対」は不合格ではない
受験生に「合格の反対は何ですか?」と問うと、大半の人が「不合格」と答えます。しかし、それは間違いです。
合格の反対は、「受験しないこと」です。
試験会場に足を運び、答案用紙を提出した人たちを点数で仕分けした結果が「合格」と「不合格」です。受験しなければ、可能性は「ゼロ」ですが、受験すれば、どれだけ準備不足であっても合格の可能性は「ゼロ以上」になります。
実は、技術士二次試験では、せっかく申し込んだにもかかわらず、毎年約2割もの人が受験を放棄(欠席)しています。
【技術士二次試験の受験者マインドの構図】
全申込者 (100%)
├── 欠席する人 (約20%) ── [合格確率:絶対0%]
└── 受験する人 (約80%) ── [合格の権利を獲得!]
├── 準備不足で自滅する人
└── 3大原則を守り、合格(まぐれ含む)を掴む人
毎年10人に1人は「まぐれ」で合格している
記述式試験という性質上、毎年「今年は絶対にダメだと思っていたけれど、なぜか合格していた」という、いわゆる「まぐれ合格者」が一定数存在します。 筆者のこれまでの指導経験から見ても、合格者の約10人に1人はこのケースに該当します。
なぜこのようなことが起きるのでしょうか?
理由は簡単です。「周りの受験生が勝手に自滅していくから」です。
試験当日、難解な問題を見てパニックになり、途中で諦めて白紙で出す人、論文を未完のまま終える人が続出します。そんな中、泥臭く最後まで諦めずに書き切った答案は、相対評価の中で浮き上がり、滑り込みで合格圏内に滑り込むことが多々あるのです。
「まぐれ」は、受験した人にしか訪れません。今年の勉強量に自信がなくても、必ず試験会場へ向かってください。
合格への第2原則:「論文を完結させる」
技術士二次試験の採点において、技術的な優劣以前に、合否を一瞬で決める絶対的なルールがあります。それが「論文を最後まで完結させること」です。
設問の未記入、白紙は「その時点で即不合格」
技術士二次試験の設問(例えば必須科目など)は、以下のように構成されています。
■設問(1):多面的な観点からの課題の抽出
■設問(2):最重要課題と解決策
■設問(3):解決策に伴う新たなリスクと対応策
■設問(4):業務遂行における要件・倫理など
ここで、時間が足りなくなったり、良いアイデアが浮かばなかったりして、「設問(3)を白紙のまま、設問(4)を書いた」というケースがよく見られます。
これは、試験対策上「絶対にやってはいけない致命的なミス」です。
設問(3)の記述が抜けている場合、採点官はそれ以降の設問(4)をどれほど素晴らしい内容が書かれていても、原則として評価しません。なぜなら、設問(4)は設問(3)までを論理的にクリアした前提のストーリーで組み立てられるべきだからです。
論文として構造が破綻(未完)している答案は、その時点で採点対象外、つまり「不合格」が確定します。
質より「完結度」!知恵を絞ってマス目を埋めろ
「完璧な解答が思いつかないから書けない」と手が止まってしまう人は、完璧主義の罠に陥っています。
完璧な論文を目指す必要はありません。合格ラインである「A評価(60%以上の得点)」をもらうために必要なのは、「拙くてもいいから、すべての設問に対して一貫性を持った解答を記述し、指定の枚数を書き切ること」です。
解答が思い浮かばない時は、以下のステップで泥臭く文字を紡いでください。
1.過去の業務経験を無理やりにでも引き出す
2.専門用語が分からなければ、一般的な言葉に噛み砕いて記述する
3.「課題に対して、自分ならどう行動するか」を、技術士としての視点で書き切る
採点官は、完結された論文の中から合格者を相対的に選びます。ライバルたちが勝手に未完で脱落していく中、拙くても綺麗に完結したあなたの論文は、十分に輝いて見えるはずです。
合格への第3原則:問題文の「題意に答える」
最も多くの受験生が不合格になる原因、それが「題意(問題文の要求事項)から外れた解答を書いてしまうこと」です。
不合格者に選ばれないための努力をする
技術士二次試験の採点プロセスは、まず「題意を満たしていない答案」を絶対評価で容赦なく切り捨て(足切り)、残った答案の中から相対評価で合格者を決定するという流れになります。
つまり、私たちが本番でやるべきことは、「素晴らしい論文を書いて合格者の中に選ばれる努力」ではなく、「ミスを無くし、不合格者の中に選ばれない努力」をすることです。
採点官にとって、不合格者を選ぶのは非常に簡単です。なぜなら、「問題文の指示を守っていない答案」を弾けばいいだけだからです。
題意を外した典型的な失敗パターン
受験生がやってしまいがちな「題意違反」の例を、以下のテーブルにまとめました。試験本番前、必ずこのパターンに陥っていないかセルフチェックしてください。
| 問題文の要求事項(題意) | 受験生がやってしまう失敗(不合格パターン) | 採点官の評価と結果 |
| 「課題を挙げよ」 | 課題ではなく、具体的な「解決策」を書いてしまう。 | 大幅減点(課題と解決策の区別がついていないとみなされる) |
| 「○○を3つ挙げよ」 | 2つしか挙げない、あるいは4つ以上書いてしまう。 | 一発アウト(指示不適合、論外とされる) |
| 「関係者との調整方法を述べよ」 | 単なる「協議(話し合い)の経緯」だけを記述する。 | 減点(利害関係をどう着地させたかの『調整』になっていない) |
| 「その課題の解決策を述べよ」 | 設問(1)で挙げた課題とは全く関係のない解決策を書く。 | 論理破綻で不合格(ストーリーが一貫していない) |
| 「波及効果と新たな懸念事項の対応策」 | リスクだけをダラダラと書き、波及効果を書き忘れる。 | 大幅減点(問われている要素が欠落している) |
| 「工事の特性を踏まえて述べよ」 | どこにでも通用するような一般的な施工方法しか書かない。 | C判定(個別具体的な技術的判断ができていない) |
技術レベルは低くてもいい
「技術士試験だから、最先端の高度な技術提案を書かなければならない」という思い込みは捨ててください。
問題文の題意に100%沿った解答を作成すれば、たとえそこに書かれた技術レベルが一般的なものであっても、大きな減点はありません。なぜなら、「問われたことに、正しくエンジニアとして答える能力」こそが、技術士に最も求められる資質だからです。
周りの受験生が、自分の得意な技術をアピールしたいがために勝手に題意を外し、自滅していきます。あなたはただ、問題文を冷静に読み、指示された通りに枠を埋めるだけで合格圏内に残ることができるのです。
試験直前から合格を勝ち取るための「作戦と計画」
ここまで解説した3大原則「受験する」「完結させる」「題意に答える」を本番で実行するために、直前だからこそ実践すべき作戦を伝授します。
一般部門:「コンピテンシー」と「出題内容等について」を再確認する
一般部門(総合技術監理部門以外)を受験する方は、今すぐ日本技術士会のホームページにある「技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)」と「出題内容等について」の公式ドキュメントを熟読してください。
これが試験の「採点基準(答え合わせのシート)」そのものです。
近年の試験問題は、すべて「出題内容等について」に記載されている流れの通りに出題され、解答のプロセスでは「コンピテンシー(専門的学識、問題解決、マネジメント、評価、コミュニケーション等)」を発揮しているかをチェックされます。
直前期の勉強としては、新しい知識を詰め込むのではなく、「自分の用意している論文の骨子が、コンピテンシーのどの能力を証明するものになっているか」を紐付ける作業に時間を割いてください。
総合技術監理部門:サプライズはない、手順を徹底せよ
総合技術監理部門(総監)の記述式試験は、毎年問題のフレームワークが同じです。出題のトレンドやテーマ(DX、GX、BCPなど)は変わっても、「5つの管理のトレードオフを抽出し、それを総監の視点でいかに管理・解決するか」を問う構造にサプライズは存在しません。
総監の筆記試験は、いわば「自動車免許のペーパーテスト」のようなものです。合格するための手順(作戦)が決まっており、その手順通りに論文を組み立てれば、必ず合格基準に達します。
自己流の論文を書こうとするから不合格になるのです。直前までに、総監独自の「論文構築手順」を頭に叩き込み、機械的に当てはめる訓練を行ってください。
まとめ:筆記試験を突破すれば、合格は目の前!
技術士二次試験は、過度に恐れる必要はありません。ここまでの内容を振り返り、試験本番で実践すべきチェックリストを確認しましょう。
【本番直前・試験中の絶対厳守チェックリスト】
□ 体調が悪くても、準備不足でも、まずは会場に行って席に座る(受験する)
□ どんなに解答に悩んでも、白紙を作らず全ての設問に書き込む(完結させる)
□ 課題を問われたら課題を、数を指定されたらその数を正確に書く(題意に答える)
□ 自分の書きたい技術論ではなく、採点基準(コンピテンシー)に沿った記述をする
筆記試験をクリアしさえすれば、次に待つのは口頭試験です。
口頭試験の合格率は毎年90%以上を誇ります。つまり、この筆記試験さえ突破してしまえば、技術士のバッジはもう目の前まで来ているのです。
ここで諦めて、また来年1年間長い受験勉強をやり直すのは、あまりにももったいないと思いませんか?
多少の準備不足や記述のミスは、周りの受験生も同じ(あるいはそれ以上)です。自分を信じて、これまでに積み上げてきた経験をすべて答案用紙にぶつけてきてください。
皆様の合格を、心より応援しております。


