設問Ⅰー1-25
事業場における一定の危険有害性のある化学物質について,“化学物質のリスククアセスメント(RA)”が労働安全衛生法によって規定されている。労働安全衛生法によるRAに関する記述のうち,最も不適切なものはどれか。
① RAの実施義務の対象物質は,安全データシートの交付義務の対象である化学物質である。
② 指定された化学物質に対する危険性又は有害性の調査は事業者の努力義務である。
③ RAの手順は,化学物質などによる危険性又は有害性の特定,リスクの見積り,リスク低減措置の内容の検討からなる。
④ 業種,事業場規模にかかわらず,対象となる化学物質の製造・取扱いを行うすべての事業場が対象となる。
⑤ 事業者はRAの実施に当たり,対象となる化学物質等に係わる危険性又は有害性に関する情報を入手するものとする。
【解説】 正解② 青本137ページから リスクアセスメントに関する出題です。
②労働安全法という法律で定められているものが、努力義務(義務ではない)というのは有り得ないことです。常識で考えても②が不適切です。
設問Ⅰー1-26
リスクコミュニケーション(RC)に関する次の記述のうち,最も適切なものはどれか。
① RCによりリスクに対する情報の非対称性は解消されるので,発信側が受け手のリスク情報の理解の仕方を意識する必要はない。
② 平常時のRCの仕組みの構築が行われていれば,緊急時のRCも対応できる。
③ RCは,社会の各層が対話・共考・協働を通じて多様な情報及び見方の共有を図る活動である。
④ 不確かさや見解の相違があるリスク情報の公開に当たっては,その根拠を説明し参加者を説得することが重要である。
⑤ RCを企画・運営する人材には,内容を熟知している事業者の担当者が好ましい。
【解説】 正解③ 青本140ページから リスクコミュニケーションに関する出題です。
難問ですがリクスコミュニケーションをよく理解していれば解ける問題です。
リスクコミュニケーションとはリスクの性質、大きさ、重要性、その制御に関して利害関係のある者が情報を交換することである。ただし、対象のポジティブな側面ばかりでなく、ネガティブな側面についても公正に伝え、関係者がともに考えられるコミュニケーションである必要がある。事象の正負両面を考慮した上でリスクの社会的受容を判断することが重要であり リスクコミュニケーションは そのための正確で十分な情報 の提供と合意形成のためのルールと技術である。リスクコミュニケーションの目的には、次のような事項がある。
(1)リスクの発見・特定のための情報収集
(2)関係者との間の誤解または理解不足によるリスクの顕在化防止
(3)関係者に及ぼす可能性のある被害の回避・低減
組織としてリスクコミュニケーションを行うための手段を確立し維持するため、手順として次のような事項を含むことが必要となる。
(1)リスクコミュニケーションの目的や目標を明確にする。
(2)リスクコミュニケーション手段の決定及び代替手段を検討する。
(1)リスクコミュニケーションの対象者と内容を明確にする。
(2)リスクコミュニケーションの過程、対応経緯、対応者などのコミュニケーションプロセス、内容、結果を記録し保存する。
リスクコミュニケーションの効果に影響を与える要因は次の4つに集約できるが、これらのことを認識した上でリスクコミュニケーションを進める必要がある。
(1)送り手の要因
送り手は行政や企業であることが多いが、重要なことはその信頼性である。しかし、一般的に市民からの信頼性はそれほど高くないことが多く、大学などの専門家、国際機関、NGOなどの中立的な第三者を仲介する方法が有効となる。
ただし、専門家が科学的に正確な表現を行うことと、素人の認識枠組みに適したコミュニケーションを行うこととは同義ではなく、注意が必要である。
(2)受け手の要因
受け手側には知識、認知、感情など様々なバイアスがかかることが重要な点である。また、コミュニケーションの効果は、受け手側の要因の方が強く影響する。一律の広報でなく、受け手を考えた広報が重要となる。
(3)メッセージの要因
一般的に、リスクの対象への馴染みがない場合はその伝達は難しくなる。専門用語、リスクの中心概念である確率や不確定性を伝えることには困難が伴う。
受け手の属性を認識し、明確な目的を持って分かりやすい表現を用いる必要がある。また、同じ内容であっても、表現の方法によってリスク認知は大きく異なることも重要な視点である。
(4)媒体の要因
媒体には新聞・テレビ・ラジオ・雑誌・会話・電子メディアなどの様々なものがあるが、マスコミは注意喚起型のリスクコミュニケーション、対人的な媒体には合意形成型のリスクコミュニケーションに適している。インターネットのような電子メディアは即時性、広域性、階層をまたがる緊密性など優れた特性を有するため、今後のリスクコミュニケーションの重要な媒体であるが、最終的な感情的納得や信頼性獲得には対人的な媒体は欠かせない。
設問Ⅰー1-27
災害時における民間企業の事業継続の取組に関する次の記述のうち,最も不適切なものどれか。
① 災害応急対策又は災害復旧に必要な物資若しくは資材又は役務の供給又は提供を業とする者は,災害時においてもこれらの事業活動を継続的に実施するように努めなければならない。
② 事業継続計画策定や維持・更新,事業継続を実現するための予算・資源の確保,その他平常時からのマネジメント活動は事業継続マネジメントと呼ばれ,経営レベルの戦略的活動として位置付けられる。
③ 緊急時の対応手順の想定に当たっては,時間の経過とともに必要とされる内容が変化していくため,それぞれの局面ごとに実施する業務の優先順位を見定めることが重要である。
④ 緊急時においても顧客の満足を得ることが最も重要であり,すべての顧客や供給先の要望に対応すべく事前に戦略及び対策を検討することがより実践的である。
⑤ 事業継続マネジメントを実効性あるものとするには,経営者から従業員まで事業継続 の重要性を共通の認識として持たせることが重要である。
【解説】 正解④ 青本外から 事業継続に関する出題です。青本外からの出題ですが、青本156ページ危機管理に関する問題です。緊急時は事態の対応が最優先させるべきです。常識的に考えて④が不正解だとわかります。
設問Ⅰー1-28
労働基準法及び労働安全衛生法に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。
① 使用者は,原則として,1日に8時間,1週間に40時間を超えて労働させてはならない。
② 労働時間を延長することができるいわゆる36協定で定める特別条項の対象は,臨時的なものに限るとされている。
③ 事業者は,労働者の週40時間を超える労働が1月当たり100時間を超え,かつ,疲労の蓄積が認められるとかは,労働者の申出を受けて,医師による面接指導を行わなければならない。
④ 労働者の受動喫煙を防止するため,事業者及び事業場の実情に応じ適切な措置を講ずることが事業者の努力義務とされている。
⑤ 妊産婦でない女性労働者は,男性労働者と同様にすべての危険有害業務に従事することができる。
【解説】 正解⑤ 青本143ページから 労働安産衛生管理に関する出題です。
以下に掲載の職業は女性が働く事を就業制限しています。
1.人力により行われる土石、岩石、もしくは鉱物等の掘削又は掘採の業務
2.動力により行われる鉱物等の掘削、又は掘採の業務
3.発破による鉱物等の掘削、又は掘採の業務
4.ずり、資材等の運搬、もしくは覆工のコンクリートの打設等鉱物等の掘削、又は掘採の業務に付随して行われる業務
設問Ⅰー1-29
ある状態量が閥値x以上となった場合に異常として判断する安全システムにおいて,異常であるにもかかわらず正常と判断される確率を未検知率p,正常である場合に異常と判断される確率を誤検知率qとして,次のように表されるとする。
未検知率p<0.20となるように閥値xを設定した場合の,誤検知率qの取り得る値の範囲として最も適切なものはどれか。なお,閥値xは正の値であるものとし,有効数字は小数点以下2桁とする。
①0<q<0.20
②0.20<q<1
③0<q<0.50
④0.50<q<1
⑤0.20<q<0.50
【解説】 正解④ 青本155ページから 安全確認システムに関する出題です。
p<0.20なのでx/(1+x)<0.2 x<0.25となります。xが0になることはないのでxの範囲は0<x<0.25になります。qの式にxを0と0.25を入れるとqは0.50<q<1となります。簡単な計算問題です。
設問Ⅰー1-30
津波による災害から国民の生命,身体及び財産の保護を図ることを目的として,「津波防災地域づくりに関する法律」が制定され,国土交通省より「津波防災地域づくりの推進に関する基本的な指針」が示されている。これらの津波防災地域づくりに関する次の(ア)~(オ)の記述のうち,適切なものの数はどれか。
(ア)津波浸水想定の設定・公表及び津波防災地域づくりの推進計画の作成は,地域の実情を最も把握している市町村が行う。
(イ)津波浸水想定は,平均的なクラスの津波を想定し,過度な対策につながらないよう設定する。
(ウ)住民等が津波から逃げることができるよう,警戒避難体制を特に整備すべき土地の区域が指定される。
(エ)住民の生命及び身体を保護するために,一定の開発行為及び一定の建築物の建築を制限すべき土地の区域が指定される。
(オ)指定された区域内において,津波避難建築物の整備を促進するため,防災用備蓄倉庫等を備えた一定の基準を満たす建築物について,容積率規制が緩和される。
① 1 ② 2 ③ 3 ④ 4 ⑤ 5
【解説】 正解③ 青本外から 津波防災地域づくりに関する法律に関する出題です。
(ア)推進計画は市町村がおこないますが、津波浸水想定・公表は都道府県が行ないます。
(イ)最大クラスを想定します。
常識的に考えれば解ける問題です。
設問Ⅰー1-31
消費者の消費生活における被害を防止し,その安全を確保するため,「消費者安全法」が制定され,内閣総理大臣より「消費者安全の確保に関する基本的な方針」が示されている。これらの消費者安全に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。
① 消費者を含む関係者相互間のリスクコミュニケーションを充実させていくことは,消費者の安全・安心の確保に資するものであり,また,風評被害の解消への貢献も期待される。
② 消費者の安全を確保するためには,消費者事故等に関する情報の一元的な集約体制や分析機能を整備し,関係者の間での迅速な情報共有,協働・協力関係を構築していくことが重要である。
③ 被害の発生や拡大の防止のために注意喚起情報を公表する際には,ルールの透明性を確保することによって,事業者の行政の対応への予見可能性を高め,産業活動を活性化させるという観点にも十分に配慮する必要がある。
④ 重大事故等が発生した場合,被害の発生・拡大防止を図るために実施し得る他の法律に基づく措置がない事案(いわゆるすき間事案)については,消費者庁による勧告の対象となる。
⑤ 消費者安全調査委員会は,事故等の原因について,科学的かつ客観的な調査を実施し,それに基づいて責任を明確化して事業者等に是正命令を行うとともに,被害者等への情報提供を行う。
【解説】 正解⑤ 青本外から 消費者安全法に関する法律に関する出題です。
消費者安全調査委員会なので事業者に是正命令までできる権限はりません。常識で考えればわかる問題です。
設問Ⅰー1-32
図に,我が国における,交通事故,自然災害,労働災害,自殺のリスクについて,それぞれの原因による年間当たりの死亡者数の長期的推移を示した。(ア)~(エ)の組合せとして最も適切なものはどれか。ただし,自然災害の値には行方不明者数を含む。
また,自殺は「人口動態統計」による値である。
(ア) (イ) (ウ) (エ)
①労働災害 交通事故 自殺 自然災害
②交通事故 労働災害 自然災害 自殺
③自殺 労働災害 自然災害 交通事故
④交通事故 自然災害 労働災害 自殺
⑤自殺 交通事故 労働災害 自然災害
【解説】 正解⑤ 青本外から 交通事故,自然災害,労働災害,自殺のリスクに関する出題です。
年々増えているのは自殺(ア)、突発的に増えているのは自然災害(エ)、年々減っているのが交通事故(イ)と労働災害(ウ)です。
参考:日本技術士会
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