社会環境管理(その1)

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 社会環境管理の目的は、組織やプロジェクトの生産活動が外部環境に対して与える負荷を低減することにある。近年では、組織活動による社会システムへの環境影響が注目されており、組織に課せられている環境面での責務がより一層大きくなりつつある。また、生産活動を行う以上、外部環境に対して全く影響を与えないことは不可能であるため、影響の低減のために何らかの基準を設け、その遵守を通じて負荷の低減を目指す必要がある。基準には、直接的に社会が組織に要求する基準と、組織が自発的に自らに課す基準とがあり、どちらも社会の一員である組織が社会に対して果たす役割と言える。
 例えば環境関連の法律や制度などは直接的な義務である。また、組織内に社会環境管理のためのシステムを構築することや手法を導入することは、社会からの暗黙の要求であり、自発的に組織が取り組むべき姿勢でもある。
 組織内で社会環境管理活動を実践する際の一つの方策として、内部の生産活動を外部の経済システムの一部として考えることが挙げられる。組織の生産活動の多くの要素は経済に依存しているため、外部の経済システムの中に自らの生産活動を一体化して捉えることによって、組織の自由度を大きく制限することなく社会環境管理を実施することができる。

目次

6.1 環境と社会システム

 近年では、組織活動による社会システムへの環境影響が注目されており、組織に課せられている環境面での責務がより一層大きくなりつつある。また現状では、環境面における組織の社会システムとの関わり方が、その組織に対する社会的評価の一側面を担っている。つまり、組織の業績や社会貢献と並び、環境配慮型の活動であるか否かも組織の価値を決める重要な要素となりつつある。そのため、組織は社会システムにおける自らの環境影響に意識を置き、社会の一員として果たすべき役割を十分に認識しつつその組織活動を実践していく必要がある。

6.1.1 持続可能な開発

持続可能な開発という考え方は様々な機会に議論されている。日本においては、環境基本法を受けて策定されている環境基本計画において、持続可能な社会を「環境を構成する大気、水、土壌、生物間の相互関係により形成される諸システムとの間に健全な関係を保ち、それらのシステムに悪影響を与えないことが必要な社会である」と定義し、その実現のために以下のことを求めている。
 (1)再生可能な資源は長期的再生産が可能な範囲で利用し、再生不可能な資源は他の資源で代替不可能な用途での利用にとどめ、できるだけ再生資源で代替すること
 (2)環境負荷の排出を環境の自浄能力の範囲にとどめること
 (3)人間活動を生態系の機能を維持できる範囲内にとどめること
 (4)不可逆的な生物多様性の減少を回避すること
 環境基本計画では、現在の社会活動と環境負荷の二つを結び付け、持続可能な社会の実現に向けて社会が向かうべき方向性を示していると言える。
 近年では、資源生産性もしくは環境効率を用いた考え方がある。

6.1.2 拡大生産者責任

拡大生産者責任とは、「生産者がその生産した製品が使用され、廃棄された後においても、当該製品の適正なリサイクルや処分について一定の責任を負う」という考え方である。拡大生産者責任を適切に導入することにより、生産からリサイクルまでの総コストが市場において適切に反映されるとともに、再資源化が容易な製品設計などの対応を促し、製品のライフサイクル全体において最適化が図られることとなる。現在の廃棄物問題の解決のためには、モノの生産段階まで遡った対策が必要となっていることから、拡大生産者責任の考え方は循環型社会の形成のために極めて重要な視点となっている。
 また、一般に分かりやすい言葉として、3Rが定着してきている。これは、Reduce(ごみをへらす)、Reuse (ごみを再使用する)、Recycle(ごみを再利用する)の略称である。

6.1.3 環境経営

環境経営とは、地球環境への負荷を削減して社会に貢献するとともに、環境を新たな競争力の源泉ととらえ、効率的に企業活動を行うことを意味する。具体的には、環境保全への自主的取り組みを経営戦略の一要素と見なすことにより、環境に関する経営方針の制定、環境マネジメントシステムの構築やグリーン購入、リサイクルの促進、環境報告書や環境会計の公表などを行う。このような環境経営を支える手法やツールは現在でも各界各所で開発が続けられている。
 組織が地球環境への負荷低減を積極的に経営に取り入れる取り組みは、以下の3つに分類される。
 (1)新たな事業をはじめるもの
 (2)新たな製品を開発するもの
 (3)既存の製品の環境負荷を低減するための工夫を凝らすもの

 新たな事業をはじめるものとして、ESCO事業(Energy Service Company)などの試みが挙げられる。 ESCO事業とは、ビルや工場の省エネ化に必要な、技術・設備・人材・資金などを包括的に提供するサービスである。省エネ効果をESCOが保証するとともに、省エネルギー改修に要した投資・金利返済・ESCOの経費などが全て省エネルギーによる経費削減分でまかなわれるため、ESCOを導入した組織における新たな経済的負担はなく、ESCO導入の契約期間終了後の経費削減分は全て顧客の利益となる点に大きなインセンティブがある。
 新たな製品を開発するものとして、例えばエコセメントなどが挙げられる。エコセメントとは、都市ごみ焼却灰や下水汚泥などの廃棄物と石灰石を主な原料として製造されるセメントのことである。組織は、環境負荷の少ない製品を製造し、購入することにより、環境配慮型活動の実施主体として環境負荷低減の役割を担うことになる。
 既存の製品の環境負荷を低減するための工夫として、既存製品のリサイクル体制の整備などが挙げられる。複写機を例に挙げると、(社)日本事務機械工業会が設立した改修複写機交換センターは、使用済複写機の部品リユースやリサイクルを目的とした使用済み複写機の総合交換システムを構築した。これにより、複写機業界では他社が回収した製品を引き取ることが可能となり、効率的なリユース・リサイクルが実現されている。
環境経営の側面を組織の外部から評価するビジネスモデルの一つとして、エコファンドが挙げられる。エコファンドは環境配慮型ファンドとも呼ばれ、従来からの株式投資などの尺度である組織の収益力・成長性の判断に加え、組織が本来持つ社会的責任である環境問題に対する配慮・取り組み状況などを考慮して投資を行うものであり、環境配慮・環境パフォーマンスに優れている企業に対して積極的に投資しようとするものである。近年では金銭的な利益だけでなく、環境問題に対して十分な取り組みを行っている
環境への配慮がより多くの投資家の投資行動に考慮されるようになることで、組織は金融面からも環境保全の取り組みを強く迫られることが予想される。
参考:日本技術士会

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この記事を書いた人

横浜すばる技術士事務所代表
技術士(建設部門ー施工計画、施工設備及び積算) (総合技術監理部門)
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