設問Ⅰー1-33
我が国の環境政策推進の基本となってきた(ア)~(エ)の法律を環境政策の流れに沿って制定順に並べたものはどれか。
(ア)環境影響評価法
(イ)環境基本法
(ウ)循環型社会形成推進基本法
(エ)地球温暖化対策の推進に関する法律
① (ア)→(イ)→(ウ)→(エ)
② (ア)→(ウ)→(エ)→(イ)
③ (イ)→(ア)→(ウ)→(エ)
④ (イ)→(ア)→(エ)→(ウ)
⑤ (ウ)→(イ)→(エ)→(ア)
【解説】正解④ 青本179ページ環境関連法からの出題です。
法律の制定順は単に暗記問題ではなく、法律が制定された流れを理解することが重要です。
日本の環境保全に関する施策の基本は環境基本法です。環境汚染によりこうむった喪失利益、健康・生命に関わる被害、財産に関わる被害に対する直接の賠償とともに慰謝料などの、汚染による被害額評価という形での環境影響評価を考えます。環境影響を追求する中で地球温暖化の問題が顕在化していきます。そして地球温暖化対策を検討する中で循環型社会形成が必要性に気がつきます。この流れを理解しているかどうかを試す問題です。
設問Ⅰー1-34
次の記述のうち,拡大生産者責任の考え方の説明として最も不適切なものはどれか。
① 拡大生産者責任とは,製品のライフサイクルにおける消費者より後の段階にまで生産者の物理的又は経済的責任を拡大する環境政策上の手法である。
② 拡大生産者責任では,廃棄物処理のための費用又は物理的な責任の全部又は一部を地方自治体及び一般の納税者から生産者に移転する。
③ 拡大生産者責任の主要な目標は,発生源での削減(天然資源保全,使用物質の保存),廃棄物の発生抑制,より環境にやさしい製品設計,及び持続可能な発展を促進するとぎれのない物質循環の輪の形成である。
④ 拡大生産者責任の効果として,生産者に対し,内部の環境コストを外部化するよう適切なシグナルを送ることができる。
⑤ 拡大生産者責任の具体的な政策手法の例としては,製品の引取り,デポジット/リファンド,製品課徴金/税,処理費先払い,再生品の利用に関する基準などがある。
【解説】正解④ 青本177ページ拡大生産者責任からの出題です。
拡大生産者責任の考え方が理解できれば解ける問題です。
拡大生産者責任
「生産者がその生産した製品が使用され、廃棄された後においても、当該製品の適正なリサイクルや処分について一定の責任を負う」という考え方である。拡大生産者責任を適切に導入することにより、生産からリサイクルまでの総コストが市場において適切に反映されるとともに、再資源化が容易な製品設計などの対応を促し、製品のライフサイクル全体において最適化が図られることとなる。現在の廃棄物問題の解決のためには、モノの生産段階まで遡った対策が必要となっていることから、拡大生産者責任の考え方は循環型社会の形成のために極めて重要な視点となっている。
④生産者に対し,内部の環境コストを外部化するよう適切なシグナルを送ることができる。
⇒生産者に対し,外部の環境コストを内部化するよう適切なシグナルを送ることができる。
内部と外部が逆です。×
設問Ⅰー1-35
次に示す組織の環境配慮を促進するためのツールのうち,JIS(日本工業規格)が定められていないものはどれか。
① 環境パフォーマンス評価
② 環境ラベル
③ 環境マネジメントシステム
④ ライフサイクルアセスメント
⑤ エコバランス
【解説】正解⑤ 青本200ページからライフサイクルアセスメントの出題です。
少し難しい問題かもしれませんが、キーワードを正しく理解すれば解ける問題です。
環境パフォーマンス評価
事業者が事業活動についての環境配慮を効果的に進めていくために、自らが発生させている環境への負荷やそれに係る対策の成果(環境パフォーマンス)を的確に把握し、評価していくこと。JIS(日本工業規格)に制定されています。
環境ラベル
商品(製品やサービス)の環境に関する情報を製品や、パッケージ、広告などを通じて、消費者に伝えるもの。JIS(日本工業規格)に制定されています。
環境マネジメントシステム
企業や団体等の組織が環境方針、目的・目標等を設定し、その達成に向けた取組を実施するための組織の計画・体制・プロセス等のことを指す。JIS(日本工業規格)に制定されています。
ライフサイクルアセスメント
製品やサービスに対する、環境影響評価の手法のこと。JIS(日本工業規格)に制定されています。
エコバランス
企業全体で環境に与える負荷を物量値で測定・把握し、環境負荷の入出力を表にまとめる。そして各物量値に重み付けを行なって、共通の環境負荷単位に変換する。JIS(日本工業規格)に制定されていません。
設問Ⅰー1-36
次のうち,環境基本法に基づき環境基準が設定されている項目の組合せとして最も適切なものはどれか。
① 大気汚染,水質汚濁,悪臭
② 大気汚染,水質汚濁,振動
③ 大気汚染,騒音,土壌汚染
④ 水質汚濁,振動,土壌汚染
⑤ 騒音,悪臭,土壌汚染
【解説】正解③ 青本187ページ制度による環境の社会的評価からの出題です。
環境基準は、維持されることが望ましい基準として定められる行政上の政策目標である。その基本は、大気汚染、水質汚濁(地下水を含む)、土壌汚染、騒音に係る環境上の条件として、環境基本法第16条[1]に基づき定められているものである。環境基本法に基づくもの以外には、ダイオキシン類の環境中濃度の基準が、ダイオキシン類対策特別措置法に基づき設定されている。
上記の4つはよく出題されます。丸暗記してください。
設問Ⅰー1-37
次の(ア)~(オ)の法律(名称は略称を含む。)のうち,リサイクル関連法として制定されているものの数はどれか。
(ア)容器包装リサイクル法
(イ)家電リサイクル法
(ウ)食品リサイクル法
(エ)小型家電リサイクル法
(オ)自動車リサイクル法
① 1 ② 2 ③ 3 ④ 4 ⑤ 5
【解説】正解⑤ 青本184ページ資源有効利用促進法とリサイクル関連法令からの出題です。
小型家電リサイクル法以外は青本に載っています。小型家電リサイクル法は2013年4月から施行されました。
設問Ⅰー1-38
環境白書に引用されている,気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が取りまとめた第4次評価報告書及び第5次評価報告書の中で,地球温暖化の影響の現状に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。
① 世界平均地上気温は,過去およそ100年間で約2℃上昇した。
② 世界平均海面水位は,過去およそ100年間で約20cm上昇した。
③ 最近約50年間の世界平均地上気温の上昇の速度は,過去およそ100年間のほぼ2倍に増大している。
④ 北極の平均気温は,過去およそ100年間で世界平均の約2倍の速さで上昇している。
⑤ 1970年代以降,特に熱帯地域や亜熱帯地域で干ばつの地域が拡大している。
【解説】正解① 青本外から地球温暖化の現状の出題です。
世界平均気温は、過去およそ100年間で約0.7℃の割合で上昇しています。
知らないと解けない問題です。
設問Ⅰー1-39
環境影響評価法に基づく環境影響評価手続きに関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。
① ダムや道路等の開発事業のうち,規模が大きく,環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある事業について,環境影響評価の手続きの実施が義務付けられている。
② 対象事業が都市計画に定められている場合の環境影響評価は,都市計画決定権者が都市計画の決定又は変更する手続きと併せて行う。
③ 環境大臣意見は,評価書の段階でのみ述べられることとなっている。
④ 事業者は,方法書,準備書及び評価書について,インターネット等を利用した電子縦覧が義務付けられている。
⑤ 事業者は,事業着手後の環境保全措置等の実施状況について,公表が義務付けられている。
【解説】正解③ 青本196ページ環境アセスメントの評価対象と手続きからの出題です。
③~のみ、限定的な表現は誤りです。×
設問Ⅰー1-40
環境経済評価に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。
① 製品に関する環境情報を消費者に情報発信し,個人の選好をとらえる方法の1つとしてエコマークがある。
② 環境利用を費用とし市場の内部に取り込む方法として,環境利用に対して税金や課徴金をかける方法がある。
③ 環境の経済評価手法を用いて,市場における社会的評価と代替性のある形で環境を評価する方法として,仮想評価法,トラベルコスト法などがある。
④ 環境の経済評価手法には表明選好型評価と顕示選好型評価があり,前者にはコンジョインド分析など,後者にはヘドニック価格法などがある。
⑤ 環境全体あるいはその一属性の包括的な評価には,コンジョイント分析は向いているが,環境を構成する属性を詳細に把握するには,仮想評価法が有効である。
【解説】正解⑤ 青本188ページ環境経済評価からの出題です。
エコマーク
環境保全に役立つ商品を一般の消費者に奨励するためにつけられるラベルの呼称またはそのロゴマーク。日本では 1989年から環境庁 (現環境省) の指導と助言を得て日本環境協会がエコマーク事業を実施,製造業者や流通業者から申請された商品について審査を行ないエコマークの使用を認可する。
仮想評価法
環境を守るために支払っても構わない金額(支払意思金額)を尋ねることによって、環境の持っている価値を金額として評価する手法である。
トラベルコスト法
景観を含む環境質や娯楽施設、その他「訪問する」動機付けがある価値を持った地を訪問する訪問者と、訪問者が支払う旅行費用(または支払う意思のある旅行費用)の関係から利用価値を評価する方法。
コンジョイント分析
最適な商品コンセプトを決定するための代表的な多変量解析を用いた分析方法で、個別の要素を評価するのではなく、商品全体の評価(全体効用値)することで、個々の要素の購買に影響する度合い(部分効用値)を算出する手法です
ヘドニック法
財の価格は、その財を構成する属性(車であれば車体、エンジンなど)によって説明されるという考え方に基づく。環境面の属性を利用する場合、例えば、環境条件の異なる2つの地域の住宅価格の差(環境が良好な地域ほど多くの人が選好するため、住宅価格が高くなっていることが多い)を、その環境の価値とみなす。⑤仮想評価法の説明ではない
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