総監択一高得点シリーズ:平成23年度解答と解説【人的資源管理】

人的資源管理
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設問Ⅱー1ー9

組織やプロジェクト管理における人の行動モデルに関する次の記述のうち,最も不適切なものを選び答えよ。
 ① マグレガーの考え方は,科学的管理法から行動科学的アプローチへと発展していく流れと捉えることができる。
 ② 科学的管理法は,作業分析や動作分析をもとに効率的な生産方式を考える方法論である。
 ③ 理念的インセンティブとは,思想や価値観の追求を達成意欲の源泉とするようなインセンティブを与える方法である。
 ④ 人間の行動には,経済的行動,情緒的行動,管理的行動の3通りのパターンがあると考えられている。  
 ⑤ マズローによる人間の欲求の5段階のうち,物質的欲求を1段階目とすると,5段階目の欲求は周囲からの尊敬欲求である。

【解説】正解⑤ 青本70ページ人の行動モデルとインセンティブからの出題です。
出題頻度が高い問題なので正解する必要があります。
青本には以下の記述があります。
マズローは、人間の欲求には5段階あるとし、それは物質的欲求、安定欲求、連帯欲求、周囲からの尊敬欲求、自己実現欲求であるとしている。これらの欲求を満たすようにインセンティブを与えることも重要である。

設問Ⅱー1-10

労働基準法(平成22年4月1日に改正施行)に基づく時間外割増賃金に関する次の記述の空欄(  ア  ),(  イ ) に入る数字の組合せとして,正しいものを①~⑤の中から選び答えよ。
 「法定割増賃金率が引き上げられたが,1ヶ月(  ア  )時間を超える時間外労働に係る法定割増賃金率が改正前の25%以上50%以下の率から(  イ ) %以上の率へ引き上げられた。ただし,中小事業主の事業については,当分の開,適用しないこととなっている。」
  ア  イ
① 60  50
② 50  50
③ 50  40
④ 40  50
⑤ 40  40

【解説】正解① 青本76ページ人の労働時間管理からの出題です。
法律改正後の問題になるので知らないと分からない問題です。25年度も出題されているので覚えておきましょう。

Ⅱー1-11

労働時間の弾力化に関する制度の説明とその名称の組合せのうち,適切なものを①~⑤の中から選び答えよ。
(ア)始業時間と終業時間を社員の選択に委ね,一定の期間内に,実際に働いた時間と所定労働時間を清算する。
(イ)実際に働いた時間ではなく,事前に定められた時間数を労働したとみなす。
(ウ)一定の期間内で,平均の所定労働時間が法定労働時間を超えない範囲で,所定労働時間を延長できる。

   (ア)           (イ)          (ウ)
①変形労働時間制度     フレックスタイム制度   裁量労働制度
②フレックスタイム制度   裁量労働制度       変形労働時間制度
③裁量労働制度       フレックスタイム制度   変形労働時間制度

④フレックスタイム制度   変形労働時間制度     裁量労働制度
⑤変形労働時間制度     裁量労働制度       フレックスタイム制度

【解説】正解② 青本76ページ人の労働時間管理からの出題です。
出題頻度が高い問題なので確実に得点する必要があります。
青本には以下の記述があります。

フレックス・タイム制度
  一日の標準の労働時間(所定内労働時間)とコア・タイムを決める。従業員は、コア・タイムに出社していること、一定期間の標準労働時間を勤務するという条件の下で、出勤・退社時間を自由に選べる。残業手当は、1ヶ月以内を単位として総労働時間を算定し残業手当を精算する。

変形労働時間制度
  1ヶ月または数ケ月で平均して、1週間当たりの労働時間が週法定労働時間を超えない範囲で、各自の労働時間を決めることができる。

みなし労働時間制度と裁量労働制度
  前者は労使の協定に基づいて、みなし労働時間を決める。後者は研究開発などの、労働者の裁量に委ねる必要がある労働について、みなし労働時間を適用する。

Ⅱー1-12

退職一時金及び企業年金に関する次の記述のうち,最も不適切なものを選び答えよ。
 ① 退職一時金の支給額は一般的に
    〔退職一時金=算定基礎給×支給率×退職事由による係数〕
  により算定され,算定基礎給は在職期間中に支払われた給与の平均が使われる。
 ② 退職一時金の増大に対応するため,職能等級別に一定の点数を定め,退職までの総点数を計算し,それに一定の単価をかけて退職一時金を算定するポイント方式を採用する企業が多くなっている。
 ③ 退職一時金を企業年金に転換し,負担の平準化を図る企業がある。
 ④ 確定給付企業年金には,労使合意による年金規約に基づき,外部機関に積み立てる規約型と,厚生年金の代行部分のない基金による基金型がある。
 ⑤ 企業型の確定拠出年金は,拠出された掛け金が個人ごとに区分され,掛け金と運用収益で給付額が決定される。

【解説】正解① 青本外から退職一時金と企業年金からの出題です。
算定基礎給は一般に退職時の給与を採用しています。

設問Ⅱー1ー13

一般的に正社員は技能職と事務・技術職などに区分される。事務・技術職の社員区分制度に関する次の(ア)~(エ)の記述には,適切なものと不適切なものが含まれている。その組合せとして正しいものを①~⑤の中から選び答えよ。
(ア)主に補助的業務を受け持つ一般職と基幹的業務を受け持つ総合職に分けられる。
(イ)家庭の事情などで転勤の難しい総合職的な社員を対象にして,住居の移動を伴う転勤を行わない勤務地限定社員制度が普及してきている。
(ウ)専門職制度には専門職と専任職があるが,専門職は特定の業務(技能など)に限定して仕事を担当する人たちを対象にしたものである。
(エ)入社後早い段階で,管理職ルートと専門職ルートを選別することが,総合職のキャリア形成において重要である。

   (ア)    (イ)    (ウ)     (エ)
①  適切    適切    不適切    不適切
②  適切   不適切    不適切    不適切
③  適切   不適切    不適切    適切
④ 不適切   適切      適切     適切
⑤ 不適切   不適切     適切    不適切

【解説】正解①  青本81ページ人の雇用管理からの出題です。
出題頻度が高い問題なので確実に得点する必要があります。
(ウ)特定の業務(技能など)に限定して仕事を担当する人たちは専任職になります。
(エ)早い段階で,管理職ルートと専門職ルートを選別すると社員のモチベーションがさがります。

設問Ⅱー1-14

次の記述で説明される用語として最も適切なものを①~⑤の中から選び答えよ。
  「一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き,仕事上の責任を果たすとともに,家庭や地域生活などにおいても,子育て期,中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できること。」
①フリーランス   ②クオリティ・オブ・ライフ
③スローライフ   ④ワークシェアリング ⑤ワーク・ライフ・バランス

【解説】正解⑤ 青本外からの出題です。
①フリーランスは自由業、個人事業主です。
②クオリティ・オブ・ライフは生活の質です。
③スローライフはゆっくりした暮らしを提案するものです。
④ワークシェアリングは勤労者同士で雇用を分け合うことです
⑤が正解ですが、仕事と生活のバランスのことを言っているので、日本語を読めるかどうかの話になります。

設問Ⅱー1-15

人事評価に関する次の記述のうち,最も不適切なものを選び答えよ。
① どのような人材がほしいのかということに関する会社の基本方針が,人事評価基準のベースになる。
② 加点主義は,成果を挙げたことに対して点数を加えることによって評価するもので,従業員の間に失敗を恐れず革新的なことに挑戦する意欲が生じる。
③ 評価方法については,公平性を確保し,評価者の主観が入り込まない制度を構築する必要がある。
④ 評価の反映として,主として賞与には能力評価が反映され,昇給や昇進にはそれとともに長期的な視野を含めるために業績評価と姿勢評価も反映することが一般的である。  
⑤ 評価基準を策定する場合,業績を評価する方法を用いれば,組織への貢献を評価することができるが,能力や姿勢以外の偶然の要因に右左右され易く,また短期の成果を求める傾向が生じる恐れがある。

【解説】正解④ 青本89ページ人の人事考課管理からの出題です。
出題頻度の高い問題なので確実に得点する必要があります。
主として賞与には姿勢評価と業績評価が反映され、昇給や昇進にはそれとともに長期的な視野を含めるために能力評価も反映することが一般的です。
業績は賞与に反映されます。

設問Ⅱー1-16

ホーソン実験に基づくメイヨーとレスリスバーガーの説において作業能率に最も影響があるとされているものを選び答えよ。
 ① 照明の明るさ  ② 賃金  ③ 人間関係  ④ 休憩の時間  ⑤ 気温

【解説】正解③  青本83ページ人の人間関係管理からの出題です。
出題頻度の高い問題なので確実に得点する必要があります。
青本に以下の記述があります。

 組織において、人の作業能率を上げるための完全な方法は存在しない。メイヨーとレスリバーガーによる有名なホーソン実験では、対象とした作業員を実験室に隔離し、作業条件と作業能率との関係についての様々な仮説を検証することが試みられた。照明の明るさや休憩の時間、賃金支払い条件などを操作しながら実験が行われたが、いずれの仮説も検証されなかった。これは、物理的・生理的・経済的な条件よりも、人々の感情や集団の雰囲気、集団規範などが作業能率により大きな影響を及ぼすことを示している。

それまで主流であった人間を機械視する傾向がある科学的管理法から、人間関係を重視した管理の重要性を示したという意味で画期的な実験であった。

参考:日本技術士会HP

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