総監とはどのような資格なのか?
たとえば建設部門の道路について考えてみます。
道路と聞いて、
「それって何なの?」
「道路って初めて聞く言葉だ!」
「道路って見たことも聞いたこともない!」
という人はいないと思います。
同様に原子力・放射線部門と聞いて、詳しいことは分からないにしろ、
なんとなくイメージはつくと思います。
よく分からないにしても原子力を使って電気を起こすとか、
核兵器を作るとかは理解できると思います。
これは技術士の20部門が既に存在する技術を、技術士会の部門に定めているからです。
コンクリートという技術があります。
コンクリートには基準があります。
その基準に乗っ取って設計や施工をします。
その基準とは「コンクリート標準示方書」「JIS」「道路橋示方書」などになります。
この基準は国もしくは国に準ずる機関が定めています。
日本の国もしくは国に準ずる機関が定めているので、実質的に法律と同じ意味合いになります。
それが基準です。
総監の基準とは
それに比べ総合技術監理部門とは、すでに存在する技術ではありません。
技術士会が勝手に作った技術部門になります。
厳密には技術士会の親会社である文部科学省が勝手に作った技術部門になります。
文部科学省が作る前に総合技術監理という技術は存在しません。
文部科学省が総合技術監理部門を創設しました。
創設したのはいいのですが、その基準となるものがありません。
いままで総合技術監理というモノがなかったので、基準がないのは当たり前です。
そのため基準をつくる必要があります。
それが「技術士制度における総合技術監理部門の技術体系」になります。
現在はキーワード集になっています。
総合技術監理部門にこのような技術士会から発行しているガイドラインがあるのに対して、他の部門にこのようなガイドラインがないのはそのためです。
総合技術監理部門を受験するかたは、この基本を間違わないでください。
「技術士制度における総合技術監理部門の技術体系」とは
総合技術監理部門とは文部科学省が勝手に考えた技術部門です。
文部科学省が作る前は、総合技術監理は存在しませんでした。
そのため総合技術監理とは何なのかを周知する必要があります。
周知しないと自分勝手に総合技術監理を考えてしまう人が出てくるからです。
そのための手段として「技術士制度における総合技術監理部門の技術体系」(以下、青本)を頒布しました。
青本の最後のページを見てください。
本書は文部科学省から㈱三菱総合研究所へ委託された調査の成果を
(社)日本技術士会が許可を得て刊行・頒布するものです。
本書の著作権は、文部科学省にあります。
と書いています。
総監は簡単です。
文部科学省が青本の著作権を主張しています。
わたしが偉そうに威張って言っているのではありません。
文部科学省が、これが総監だ!といっているのです。
青本が総監の基準書になります。
基準書とは採点基準になります。
そして文部科学省の子会社の日本技術士会が総監の試験を行います。
そのため青本を正しく理解していないと、採点基準を満たした論文は書けないことになります。
青本が総監の基準書だと認識してください。
考えてみれば、至って簡単な話だと思います。
ですがこのことを正しく理解している人はほとんどいません。
高い受講料を取っている有料の技術士講座でさえ、この基本的な事を教えていません。
教えていないのではなく、教える側の人がこのことを知らないのです。
これでは総監に合格するはずはありません。
青本の内容が古いとか、青本だけでは総監の勉強が足りないとかいう人がいます。
その考え方を否定はしません。
ただし総監の基準書である青本を正しく理解しないで次に進むことは、
運転免許を取得せずに車を運転するようなものです。
正しく総監を理解している人に学んでください。
技術士制度における総合技術監理部門の技術体系
これが総監の基準書になります
総合技術監理部門の正体は?
総合技術監理部門とは文部科学省が勝手に考え出した技術部門です。
文部科学省が作る前は、総合技術監理は存在しませんでした。
では、なぜ文部科学省は総合技術監理を作りだしたのでしょうか?
この疑問は非常に重要です。
なぜ文部科学省が総監を作り上げたのか誰も知りません。
青本の2ページを開くと、「総合技術監理が必要とされる背景」とあります。
なぜ総合技術監理が必要なのか誰も知らないので、
最初にその存在意義を書いています。
だれも総合技術監理を知らないので、青本の最初のページに書いています。
これは非常に重要です。
総合技術監理が必要とされる背景があるから総合技術監理部門が存在します。
総合技術監理が必要とされないのであれば総合技術監理部門は存在しません。
重要なのでもう一度言います。
総合技術監理が必要とされる背景があるから総合技術監理部門が存在します。
総合技術監理が必要とされないのであれば総合技術監理部門は存在しません。
つまり、総合技術監理が必要とされる背景とは、総監が存在する前提条件となります。
総監の前提条件がなければ、総監は存在しないことになります。
では、青本2ページの「総合技術監理が必要とされる背景」を読んでみます。
総合技術監理が必要とされる背景
科学技術の発達により人々が享受する恩恵は、日々の生活の中に浸透している。
しかしその一方で科学技術の巨大化・総合化・複雑化が進展しており、その発達を個別の技術開発や技術改善のみによって推進することは難しい状況になりつつある。
つまり、科学技術の発達を推進する業務は一部の専門家のみによって完結するものではなく、さらに言えば科学技術は単独でその有効性や価値が生じている訳でもなく、企業などの組織活動が技術の有効性を発揮するための大きな基盤となっている。
また、それに伴って事故や環境汚染などが発生した場合の社会への影響も、従来に比して遙かに大きなものとなっている。
一例として、科学技術業務の結果として産み出される製造物・製品を考えてみる。
近年の製造物・製品は、その概念が想起された段階で直ぐに具体化できるものではなく具体化されてもその初期の段階では、高価であるとか、品質を保持できないとか、安全性に問題があるなどの様々な不安定要素を内包するものである。
しかし、その後に技術的な努力を積み上げることにより、一般の人々が広く利用できるものになる。
その過程では、経済的に利用可能な製造物・製品とするべくコストの低減や品質の向上が図られるが、そのためには多くの技術者がそれぞれの能力を十分に発揮できる仕組みや、要素技術の知見などの様々な情報を結集するための仕組みが必要である。
また、事故を未然に防止するための技術や事故時でも利用者の安全を確保するための技術も必要であり、騒音防止や有害排出物の抑制など周辺環境に与える負荷を抑える社会環境の保全も必要となる。
このような状況の中で、社会の要求に応え、科学技術を管理し、組織活動を継続的に運用していくためには、業務全般を見渡した俯瞰的な把握・分析に基づいて、技術の改善及びより合理的なプロセスによる安全性の確保や外部環境負荷の低減などを実施する必要があり、そのための管理技術が強く求められる。
このような管理活動は、それぞれの要求事項を個別に管理していくことのみで実現することは困難であり、複数の要求事項を総合的な判断により全体を監理していくことが必要である。
また、科学技術がもはや一部の専門家が推進し一部の人がそれを利用するものではなく、地球的規模でその正負両面の影響を受ける状況になってきていることを踏まえる必要がある。
そのような状況では、上述したような総合的な監理を行うことができ、そして自らが携わる技術業務が社会全体に与える影響を把握し、社会規範や組織倫理から定まる行動規範を自らの良心に基づいて遵守する高い倫理観を持った技術者が必要とされているのである。
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