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令和3年度建設部門鋼構造及びコンクリート模範解答例

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令和3年度技術士二次試験問題(建設部門)鋼構造及びコンクリート

問題

Ⅲー2我が国では,大量の鋼構造物やコンクリート構造物の維持管理が社会問題となっている。特に,従来からの事後保全型メンテナンスには限界が叫ばれ,持続可能なメンテナンスサイクルの実現に向けて,新しいメンテナンス手法の導入やシナリオの転換が求められている。このような状況を考慮して以下の問いに答えよ。( 1 )近年,予防保全型メンテナンスが期待されているものの,未だその推進は十分とは言い難いのが現状である。このような現状に対し,鋼構造及びコンクリートの技術者としての立場で多面的な観点から3つの課題を抽出し,その内容を示せ。
( 2 )抽出した課題のうち,あなたが最も重要と考える課題を1っ選択し,その課題に対する複数の解決策を示せ。
( 3 )すべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について,専門技術を踏まえた考えを示せ。

模範解答例

(1) 予防保全型メンテナンスに関する課題の抽出
1)メンテナンスの生産性向上( 技術・制度面の観点)
 技術者不足の中、予防保全型メンテナンスの管理水準を下回る多数の老朽化構造物が存在している。 持続可能なメンテナンスサイクルを実現するため、予防保全への本格転換が求められる。
 したがって、産学官が連携し、新工法・材料、機械化、情報化など新技術・制度を総動員して、メンテナンスの生産性向上が必要である。
2)メンテナンス人材の確保・育成( 人材面の観点)
 熟練の技術者・技能者の高齢化は進行しており、若者の入職者数は低水準が続いている。 膨大な老朽化構造物を今後も維持管理・更新していくため、担い手および体制の確保が求められる。 したがって、高齢者、女性、異業種、外国人など多様な人材を登用して、メンテナンス人材の確保・育成が必要である。
3)研究・技術開発費の確保( 費用面の観点)
 現状の入札契約制度は、新技術の導入率が高くはなく、インセンティブが付与されにくい制度である。 新技術の実装が拡散される環境を整備するため、企業の積極的な開発意欲を促す取組が求められる。 したがって、総合評価や工事評点の優遇、NETISの拡大・高度化、CMやECI方式など新制度を活用して、研究・技術開発費の確保が必要である。
(2) メンテナンスの生産性向上に向けた解決策
 技術者が不足する中、膨大な老朽化構造物に対して、持続可能なメンテナンスサイクルの実現に最も資すると考える課題1)を最重要課題に挙げる。
1)点検・診断の生産性向上
 すべてを人力で行うことは非効率なため、機械化、情報化による省力化・省人化への取組が必要である。 この解決策として以下を提案する。調査・測量は、近接目視点検を補助するドローンなどロボットや高精度計測および点群データが取得可能な3Dレーザースキャナ―測量を導入する。損傷把握は、AI画像診断や5G通信および小型センサー類による常時モニタリングを推進する。 本提案は、安全かつ高精度、また効率化も図れることから、点検・診断の生産性向上が期待される。
2)修繕・更新の生産性向上
 複雑かつち密さが要求される工事のため、手戻り、品質不良、労働・公衆災害防止への取組が必要である。 この解決策として以下を提案する。設計・施工計画はBIM/CIMやフロントローディング活用し、成果物の高度化・最適化を図る。実施工は、引き継いだ成果物を利活用し、地組立による高所作業の低減、高力ボルトや溶接による部材の現場接合や現場塗装の情報化施工・検査(  ICT化・ロボット化)を推進する。 本提案は、高品質化、安全性向上、省力化が推進されるため、修繕・更新の生産性向上が期待される。
3)将来段階への利活用
 収集・蓄積されたデータや知見が次段階へ十分に活かされていないため、利活用への取組が必要である。 この解決策として以下を提案する。例えば、国土交通データプラットフォームなどと連動した電子橋梁台帳を整備する。データを共有化することで、アセットマネジメントを導入した予防保全型メンテナンスの高精度化・高度化が推進される。またデータ解析を通して、予防から予知保全への転換を図っていく。 本提案は、次段階の合理化、効率化、高度化に資するため、将来段階への利活用が期待される。
(3) 新たに生じうるリスクとそれへの対策
1)リスク(機械やシステムの故障・不具合)
 上記の解決策は、構造物のメンテナンスサイクル全体に、機械化・情報化技術を積極的に採用しているため、機械、設備、システムなどに不具合が発生するとメンテナンスの品質不良や事故や災害を招くリスクが考えられる。
2)対策(不適合防止対策の整備)
 不適合防止対策として以下を提案する。多重および段階照査・検査体制を確立する。故障や不具合に係わる事例集や対策マニュアルを整備する。教育訓練や講習会により人材育成を図る。また異業種間と連携した人材の活用および育成を推進する。以上

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