【令和4年度】技術士二次試験の再現論文の添削「道路Ⅱー2-2」

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建設部門(道路Ⅱー2-2)再現論文の添削

技術士二次試験選択科目の論文添削講座の受講生から再現論文の提出がありました。
今回はその論文の紹介と見解・指摘事項を考えていきます。

問題文

暫定2車線で開通している高規格道路の土工区間において, 4車線化事業を行うこととなった。事業区間の隣接区間には,施工時に切土のり面が地すべり性地山であると判明し,グラウンドアンカーエによる対策を実施して供用している箇所がある。同様の地山を切土する,本事業の計画・設計を担当する責任者として,下記の内容について記述せよ。
( 1 )調査,検討すべき事項とその内容について説明せよ。
( 2 )業務を進める手順について,留意すべき点,工夫を要する点を含めて述べよ。
( 3 )業務を効率的,効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

参考:日本技術士会

再現論文

1.切土事業の責任者として調査検討すべき事項
高規格道路の4車線化事業を行う上で、地すべり対策としてグラウンドアンカー工を実施している区間と同様の地山を切土するため、調査、検討を行う。
① 切土のり面地山の土質性状、地下水位の調査
切土計画箇所は、地すべり性地山であると想定され
ている。計画に当たっては、切土のり面地山の土質性状、地下水位を正確に把握することが重要である。
まずは、既存資料調査、空中写真判読、地形地質踏査からなる概略調査を実施し、必要に応じてボーリング調査や弾性波探査などの詳細調査を実施する。
② 隣接区間のグラウンドアンカーの点検、詳細調査
 アンカーは、非常に多くの施工実績を有すが、長期間経過するに従って経年劣化などの維持管理上の問題が懸念されるようになる。
アンカーは、破断もしくは機能が低下した場合、補修、または更新が必要となるがこれらの実例は少なく、更新費用も高価となる。そのため、既存のアンカーを点検、詳細調査し、破断が生じる恐れがある箇所や、破断の要因となる原因を明らかにし、新規のアンカーの計画に反映させることが必要である。
③ 暫定2車線区間への影響
切土箇所は4車線化事業であるため、共用している
暫定2車線の高規格道路に近接した施工となる。
作業ヤードや、工事車両の進入に制限がある状態で切土工事を施工する厳しい条件である。
切土施工時に地山の崩壊などが生じ、共用路線の通行止めが発生した場合、社会的影響が非常に大きい。
 計画・設計時の工法検討において、第三者への影響を考慮した工法選定が必要である。
2.業務を進める手順について留意、工夫を要する点
上記で述べた3点について調査、検討を進める。
業務を効率的に進めるため、事前に工程表と出来高管理表を作成し、それに基づいた業務計画書を作成する。毎週もしくは各フェーズにおいて工程会議を実施し、業務の進捗を確認する。遅延している作業や遅延する可能性の高い作業については、生産の5Sの配分を検討し業務計画を変更する。業務計画変更による関係者の周知不足による手戻り、または業務の錯綜による中断を防ぐため、変更業務計画書を作成する。
業務を効率的、効果的に進めるためには、この変更業務計画書を周知する打合せ、議事録を作成し、関係者の意思疎通を図り調整する、
3.業務を効率的に進めるための関係者との調整方法
 切土及びグラウンドアンカーなどの対策案を数種類選定し、比較検討案を作成する。その段階で、4車線化事業を担当する工事事務所、共用路線を管轄する管理事務所、隣接する地方公共団体などへ提示する。
そのような多様な関係者の利害等を調整し取りまとめ業務を進めていく。           以上

再現論文の見解・指摘事項

見解

本講座では合格する論文につて以下の指導をしています。
①問題文を読んで、問題文で要求されていることを答案に書くこと
②その内容が間違っていないこと
③内容が読んで理解できること
④文字数を満たしていること

参照:技術士二次試験合否判定基準【思考停止から脱却しろ】

この中で一番重要なものは①になります。
理由は多くの受験生が一番勘違いしている項目だからです。
この論文の判定は知りませんが、A判定は難しいと思います
その理由を考えていきましょう。

指摘事項

序文について

暫定2車線で開通している高規格道路の土工区間において, 4車線化事業を行うこととなった。事業区間の隣接区間には,施工時に切土のり面が地すべり性地山であると判明し,グラウンドアンカーエによる対策を実施して供用している箇所がある。同様の地山を切土する,本事業の計画・設計を担当する責任者として,下記の内容について記述せよ。

この問題の盲点は、上記の序文に対して断面図がないことです。断面図がないので何が課題で何が問題なのかが分かりにくくなっています。
そのため想像力を働かすことが大事になります。

何を想像するのか

この業務は2車線を4車線にする工事計画です。
どのように車線を増やすかを考えてください。
切土をすることで車線を増やすと考えられます。
施工法も分かりませんが、切土なのでバックホウで掘削してダンプトラックで運搬すると考えられます。
そしてこれらの建設機械はどこに設置するのかを考えてください。
当然現在供用中の2車線道路の山側に設置すると考えられます。

ということは工事中は最低でも片側1車線の通行になる可能性があります。
上記の再現論文の設問(1)の③はその視点がありますが、①と②の内容はそれを踏まえていません。
道路の技術者としての知見が全くありません。

設問(1)ではこのことについて調査・検討することが大事です。
工事の時間帯は交通への影響を最小限にするため、交通量調査を行いこ、交通への影響が少ない時間帯を検討すること。
その工事への影響が少ない時間帯が分かれば、片側交互通行にするか全面通行止めにするかを調査・検討すること。
う回路の設置が可能か否かを調査・検討すること。
などを事前に調査・検討する必要があります。

上記の論文はそのような視点がほとんどないのでA判定は難しいと考えられます。
問題を解くときは、何を要求されているのかということを常々考えて書くように努めてください。

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この記事を書いた人

横浜すばる技術士事務所代表
技術士(建設部門ー施工計画、施工設備及び積算) (総合技術監理部門)
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