令和3年度技術士二次試験建設部門「土質及び基礎」の選択科目について不合格論文の考察をしてみます。
まずは問題と解答を読んでみてください
問題Ⅱー1 – 3
粘性土の強度増加率について,その値を三軸試験により求める方法を含めて説明せよ。
また,三軸試験により求められる強度増加率の利用に際しての留意点を述へよ。
解答
粘性土の強度増加率は、圧密非排水試験(CD)試験により求められる。
この試験は、粘性土地盤からサンプリングした試料を圧密後、間隙水
の排水が生じない速さでせん断(急速せん断)する試験である。
この時間隙水圧の測定は必須では無く間隙水圧を測定する場合は、(CD)試験と表す。
強度増加率は、非排水せん断強度Ccuと圧密圧力Pの関係からCcu/Pに算定され強度増加率mが求められる。
工学的利用は、地盤が完全に圧密された後、応力の変化を受ける地盤の安定検討・支持力検討に利用される。
留意点は、サンプリング時に応力解放の影響を受けた供試体は、算定される強度増加率の信頼性が低いことである。
また、室内試験と実際の現場では、せん断モード、圧密圧力、せん断力が異なる場合があるため算定された強度増加率を安定検討にそのまま使用すると危険側になる可能性があることに留意しなければならない。
また、圧密非排水せん断試験は、粘性土を対象とした試験であるため、サンプリングする地盤が砂質地盤である場合は、圧密排水試験(CD)試験が適正であることに留意する。
以上
この論文のどこが悪いのか
この論文はある受験生から提供して頂いたものです。
選択科目Ⅱが不合格だったのですが、どこが悪いか教えて欲しいという依頼でした。
あなたはこの論文のどこが悪いと思いますか?
問題文を読むと
粘性土の強度増加率について,その値を三軸試験により求める方法を含めて説明せよ。
また,三軸試験により求められる強度増加率の利用に際しての留意点を述へよ。
と書かれています。
この論文を読むと、粘性土の強度増加率についての言及はあります。しかし三軸試験について言及はひとつもありません。
三軸試験ではなく圧密非排水試験について言及しています。
試験問題で問われているのは圧密非排水試験ではなく三軸圧縮試験です。
題意を満たしていないので完全に不合格な論文です。
この論文を書いた受験生は三軸試験について言及していると思っているようですが、内容はともかくどれが三軸試験の説明かはわかりません。
留意点は三軸試験による強度増加率を問われていますが、この論文では室内試験について言及しています。
三軸試験ではなく室内試験に言及しているので不合格になります。
合格する論文を書くには
合格する論文を書くには、
正しく問題を読んで、正しく解答を書くことが求められています。
単純のそれだけなのです。
この受験生はそれが出来ていない「だろう論文」を書いています。
正しく問題を読んでいるだろう!
正しく解答を書いているだろう!
自分の都合だけで書いている論文です。
それが「だろう運転」になります。
合格したければ「だろう運転」ではなく「かもしれない運転」を心がけてください。
採点基準を満たしていない「かもしれない」
題意に反している「かもしれない」
文章が読みにくい「かもしれない」
「かもしれない運転」ということに注意を払ってください。
試験官が論文を読むときの評価基準は
①問題文で要求していることを書いているか
②要求している内容は間違っていないか
③文章が分かりやすく読めるか
④文書量を満たしているか
他にもありますが大きく分けてこの4つです。
この4つができれば合格できる
基本的に減点方式なので、言いたいことが伝わり間違ったことを書かなければ合格点は取れます。
点数を引かれるようなことを書かなければいいだけです。
大きく点を引かれる要素が①~④になります。
④は特段難しいことではありません。
そのため不合格になる要因は①~③になります。
読解力、コミュニケーション能力、語彙力が問われています。
思考力が問われるのです。
この能力は2~3日で簡単に身につくものではありません。
毎日継続して鍛えないと力がつきません。
毎日良質なたんぱく質を摂取して筋トレしないと筋肉がつかないのと同じです。
そのためには平日毎日30分勉強してください。
平日毎日30分勉強すれば、1年120時間勉強したことになります。
意識のレベルで正しい思考を120時間もすれば習慣は変えられます。
合格に必要な時間
1日は24時間です。
1日30分とは0.5時間です。
0.5時間÷24時間=0.0208・・・
つまり1日の2%の時間を勉強に当てるだけです。
1年は365日ですから時間換算すると365日×24時間=8,760時間
1年で120時間勉強するということは
120時間÷8,760時間=0.01369・・・・・・・・
つまり年間の1%を勉強に当てているだけの話です。
この程度のことができない人は技術士になれるとは思えません。
思考力とは「考えて思う力」です。
「力」を鍛えているのです。
技術士の勉強も同じです。
休日にまとめて勉強しても思考力はつきません。
思考力痛になるだけです。
合格したければ少なくとも毎日平日30分勉強することです。
(ちなみに私は平日毎日1時間勉強していました。)
そしてこの勉強が間違っていないかどうか常に確認してください。
常に自問自答してください。
これは意識の状態を続けることです。
無意識で勉強しないで意識して勉強しているかを確認するのです。
技術士に合格するには、まず自分に勝つこと。
ストレスに勝つこと。
ストレスを制すること。
ストレスを制御できる能力を身につけることなんです。
参考:日本技術士会HP
技術士試験対策は横浜すばる技術士事務所
合格する論文の黄金法則