令和2年度技術士建設部門施工計画、施工設備及び積算Ⅲー1 A判定の論文

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問題

Ⅲー1我が国は人口減少局面にあることに加え,総人口に占める高齢者の割合は増加しており,他国も経験したことのない超高齢化社会を迎えようとしている。 こうしたなか,全国平均に比べて早い時期から高齢化が進行している過疎地域では,今後の地域社会の維持・継続が困難になる事態が多数発生すると危惧されている。このような状況を踏まえ, 施工計画・施工設備及び積算分野の技術者として,以下の問いに答えよ。
( 1 )過疎化が進行しつつある地域におけるインフラの維持管理・更新を実施するに当たって,多面的な観点から課題を抽出し,その内容を観点とともに示せ。
( 2 )前問( 1 )で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1っ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。
( 3 )前問( 2 )で示した解決策の実施に際して生じうるリスクとそれへの対策について, 専門技術を踏まえた考えを示せ。
参考:日本技術士会

解答

1.過疎化地域におけるインフラ整備の課題
課題1:建設従事者の確保
 建設産業は平成10年頃をピークに年々従事者が減少している状態である。これは少子高齢化の影響や建設産業の給与水準の相対的低下、重労働、3Kに代表される労働環境悪さが影響していると考えられる。特に過疎地域においてはこれらの条件が都心部よりも悪く、人口も少ないこともあり担い手不足が深刻である。担い手不足の観点によりいかにして建設従事者を確保するかが課題である。
課題2:技術力の維持・向上
 建設投資は平成20年頃まで減少を続けてきたが、それ以降は自然災害の対応や老朽化対策のため需要が増えてきている。高度経済成長期に投資した構造物が完成後50年を向かえ今後さらなる建設投資の増加が見込まれると予測されている。これに対し少子高齢化の影響により熟練技術者が今後さらに減少していく。特に過疎地域においては若者の首都圏への流出が深刻であるため事態の改善は急務である。建設投資の需要増加の観点から技術力の維持・向上が課題である。
課題3:建設会社の維持存続
 平成19年の住民税と所得税の税率改定により、人口が多い首都圏は税収が増えたが人口の少ない過疎化地域は税収が減っている。この影響もあり老朽化する社会資本に対して過疎化の進む地域については、更新工事のための十分な予算が確保できていない。このため適正な価格による発注ができない場合はさらに建設会社の経営が難しくなる。適正利潤の確保の観点から建設会社の維持存続が課題である。

2.最も重要と考える課題と解決策
 インフラの維持管理・更新には最低限の担い手が必要と考えるため、最重要課題を課題1の建設従事者の確保とする。
解決策1:Iターン、Uターンの募集
 過疎地域において建設従事者の確保を行うためには他地域からのIターン、Uターンの募集をする。中長期的な移住だけでなく、工事の工期期間の出張も受け入れるようにする。移住者には住居の確保や引っ越し代の負担をするなど地域の生活に早く溶け込むように配慮する。これらの対応は短期的な視点では限界があるため長期的な工程を検討し実施する必要がある。
解決策2:建設従事者確保に向けた適正な工事発注
 建設産業は閑散期と繁忙期の差が大きく雇用の標準化が難しいのが現状である。日給制度の雇用形態では建設従事者の確保は難しい。工事発注においては工期の平準化を進めるために複数年度の契約で工事を発注することを進める。また入札要件や加点要素に建設従事者の月給制の推進に取り込んでいる入札者に配慮した発注に取り込む。
解決策3:建設従事者の福利厚生の充実
 長年の建設投資の減少により建設従事者の給与や福利厚生などの待遇が他産業に比べ遅れている。また賃金についても年齢や能力にかかわらず一律になっており建設従事者の不満による離職が進んでいる。特に過疎化が進む地域においては都心部にくらべ福利厚生の改善が進まず建設従事者の確保が難しくなっている。工事の発注においては能力や貢献度などを考慮に賃金を上乗せする制度を設ける必要がある。これは従来の建設キャリアアップシステムの活用をさらに推進する。現在は発注において推進している状態であるが、今後は義務化をする。入札後にキャリアの高い従事者においては労務単価の見直しを進める。

3.実施に際して生じるリスクと対策
 実際に際しては時間が掛かるためインフラの維持管理・更新が間に合わない可能性がある。このリスクに対する解決策としては、過疎化の進む地域においては入札要件を緩和し他の自治体からの入札を可能にする。もしくは地元の建設業者と入札資格のない建設業者との共同企業体での入札を進めていくことである。他の地域からの参入建設会社としては経費が掛かるが、不適格会社でないことが担保できれば諸経費を上乗せするなどの処置を取る。以上。

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この記事を書いた人

横浜すばる技術士事務所代表
技術士(建設部門ー施工計画、施工設備及び積算) (総合技術監理部門)
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