【技術士二次試験】論文では何を書けば合格するのか?「必須科目」の解き方と合格への黄金手順

重要なことを教えてください。

「技術士二次試験の論文、一体何を書けば合格できるんだろう……」
「過去問を見ても、解答の正解が分からなくて筆が進まない……」

技術士二次試験に挑戦する多くの受験生、特に不合格を繰り返してしまう多年度受験生の多くが、このような深い悩みを抱えています。

結論からお伝えします。技術士試験の論文で「何を書くべきか」は、あなたの頭の中にある専門知識の量で決まるわけではありません。すべては「問題文の形式」と「出題者の意図」によって決まります。

この記事では、平成20年度の旧制度問題と、現在の令和3年度以降の新制度問題を徹底的に比較・考察しながら、合格者が無意識に実践している「必須科目の正しい解き方」と「論文の黄金手順」をわかりやすく解説します。

参考:日本技術士会

目次

技術士二次試験「必須科目」の基本的な考え方

技術士二次試験は、単なる知識の切り売りを求める試験ではなく、高度な「論理的思考力」と「課題解決能力」を問う論文試験です。

不合格になってしまう受験生の多くは、「とにかく素晴らしい、高度な技術提案を書かなければならない」と勘違いしています。しかし、採点者が求めているのは、最先端の技術ではなく、「問題文の要求に対して、論理的に破綻なく答えられているか」という一点に尽きます。

書くべき内容は、問題文によって180度変わります。まずは、過去の試験問題の変遷を見ることで、試験が受験生に求めている本質を紐解いていきましょう。

【過去問比較】平成20年度 vs 令和3年度(建設部門)

必須科目の本質を理解するために、過去の建設部門の試験問題を2つ見比べてみましょう。問題文の「文字量」と「要求の具体性」の違いに注目してください。

平成20年度 建設部門 必須科目問題(旧制度)

まずは、一昔前の旧制度における必須科目問題です。

平成20年 建設部門 必須科目 Ⅱ 次の2問題のうち1問題を選んで解答せよ。(答案用紙3枚以内)
Ⅱ-1:社会資本の維持管理に関する現状と課題を述べ、これに対する対策としてのアセットマネジメントの必要性及びその実用化に向けた方策についてあなたの意見を述べよ。

Ⅱ-2:我が国の公共事業は、近年、縮小傾向にあるが、このような状況が、建設分野における技術力の維持及び向上に与える影響とその課題を挙げ、今後とるべき方策についてあなたの意見を述べよ。

当時の問題文は、わずか2〜3行しかありません。 「Ⅱ-1」であればアセットマネジメント、「Ⅱ-2」であれば技術力の向上という明確なキーワードが与えられ、最終的には「あなたの意見を述べよ」と締めくくられています。

この時代の問題で問われていたのは、そのキーワードについて「普段からどのような問題意識を持ち、何を考えているか」という、受験生自身のバックボーンや論理的思考力でした。極端な話、書かれている内容が一般的な常識と少しズレていたとしても、一貫した論理で説明がついていれば合格点がついたのです。逆に、どれだけ常識的で正しい記述であっても、自分の意見(論理)が見えなければ不合格となりました。

令和3年度 建設部門 必須科目問題(新制度)

続いて、現在の試験制度(平成31年度改定以降)のベースとなっている令和3年度の問題を見てみましょう。

令和3年 建設部門 必須科目 Ⅰ 次の2問題(Ⅰ-1、Ⅰ-2)のうち1問題を選び解答せよ。(答案用紙3枚を用いてまとめよ。)
I-1:近年、地球環境問題がより深刻化してきており、社会の持続可能性を実現するために「低炭素社会」、「循環型社会」、「自然共生社会」の構築はすべての分野で重要な課題となっている。社会資本の整備や次世代への継承を担う建設分野においても、インフラ・設備・建築物のライフサイクルの中で、廃棄物に関する問題解決に向けた取組をより一層進め、「循環型社会」を構築していくことは、地球環境問題の克服と持続可能な社会基盤整備を実現するために必要不可欠なことである。このような状況を踏まえて以下の問いに答えよ。

(1) 建設分野において廃棄物に関する問題に対して循環型社会の構築を実現するために、技術者としての立場で多面的な観点から3つ課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、課題の内容を示せ。

(2) 前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3) 前問(2)で示したすべての解決策を実行して生じる波及効果と専門技術を踏まえた懸念事項への対応策を示せ。

(4) 前問(1)〜(3)の業務遂行に当たり、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から必要となる要件、留意点を述べよ。

※(Ⅰ-2の風水害・防災に関する問題も、設問(1)〜(4)の構造は全く同様です)

旧制度に比べ、問題文の文字量が爆発的に増えていることが分かります。問題文だけでA4用紙1枚を埋め尽くすほどのボリュームです。

令和の新制度問題から読み解く「採点者の意図」

平成20年度と令和3年度の問題を比較すると、試験の性質が大きく変化したことが浮き彫りになります。この変化こそが、あなたが論文に「何を書くべきか」の答えそのものです。

「あなたの意見」から「設問への正確な回答」へ

旧制度で頻出だった「あなたの意見を述べよ」という文言は姿を消しました。代わりに、設問は(1)から(4)へと細かく標準化されています。

例えば、設問(1)で求められているのは「多面的な観点から3つの課題を抽出し、観点と内容を示すこと」です。ここには、受験生独自のユニークな意見は必要ありません。国の方針や白書に書かれているような「一般的かつ妥当な課題」を、指定されたルール(3つの異なる観点)通りに記述するだけで良いのです。

なぜ問題文が細分化されたのか?

理由は明確です。

「採点効率の向上」「採点基準の明確化」です。

旧制度の短い問題文では、受験生が好き勝手に論文を展開できるため、採点者は最後まで論文をじっくり読まなければ合否を判定できませんでした。 しかし、新制度のように設問が(1)〜(4)に分かれていれば、採点者は以下のように一瞬で足切り(不合格判定)ができます。

■設問(1)で「課題を3つ」求めているのに、2つしか書かれていない ⇒ 一発アウト(減点または不合格)
■設問(1)で抽出した課題と、設問(2)で解決する課題が繋がっていない ⇒ 論理破綻でアウト
■設問(1)の観点が多面的(例:すべてコストの観点など)ではない ⇒ 評価は大幅ダウン

つまり、現在の必須科目は、記述の自由度が減った分、「問題文の指示通りに型を埋められるか」をチェックするゲームへと変貌しているのです。

必須科目で大失敗しないための「解答手順4ステップ」

では、私たちは試験本番でどのように論文を組み立てればよいのでしょうか。合格者が必ず実践している、必須科目の解答手順は以下の4ステップです。

ステップ1:問題文を徹底的に「音読」するつもりで読む

試験が始まった瞬間、すぐに解答骨子を書き始めてはいけません。まずは問題文のリード文(序文)から設問(4)の末尾まで、一字一句を丁寧に読み込みます。出題者がどのような背景を提示し、何を求めているのかを正確に把握することが合格への第一歩です。

ステップ2:要求されている事項をすべて「洗い出す」

問題文の中に隠されている「制約条件」や「キーワード」を抜き出します。

■「技術者としての立場で」
■「多面的な観点から3つ」
■「それぞれの観点を明記したうえで」
■「最も重要と考える課題を1つ挙げ」
■「複数の解決策を示せ」

これらの要求事項を、問題用紙の余白にチェックリストとして書き出します。

ステップ3:問いに対して「ストレート」に答える骨子を作る

論文の骨子(目次案)を作ります。このとき、最も重要なのは「問いのオウム返し」をすることです。

(1)の解答の書き出し:〇〇に関する課題を、以下の3つの観点から抽出する。
(2)の解答の書き出し:(1)で抽出した課題のうち、最も重要と考える課題は「〇〇」である。これに対する複数の解決策を以下に示す

このように、採点者が「この受験生は問いに真っ直ぐ答えているな」と一目で分かる構成(骨子)を、実際に本文を書く前に確定させます。

ステップ4:内容の「妥当性」と「一貫性」をチェックする

骨子ができたら、(1)から(4)までのストーリーが一本の線で繋がっているかを確認します。

■(1)で挙げた課題が、(2)の解決策できちんと解決しているか?
■(3)のリスク(波及効果・懸念事項)は、(2)の解決策を実行したからこそ生じるものになっているか?
■(4)の倫理・持続可能性は、全体の業務全体を俯瞰したものになっているか?

この4ステップを確実に踏むだけで、記述内容がどれほど平凡なものであっても、確実に「A評価」のボーダーラインを超える論文が完成します。

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