「技術士二次試験に向けて勉強しているけれど、いざ原稿用紙を前にすると全く筆が進まない…」
「高度な技術知識を盛り込んでいるはずなのに、A判定が出ない…」
このような悩みを抱えていませんか?
多くの受験生が「技術士試験に合格するためには、誰も知らないような高度な専門知識や、最新の国土交通白書の内容を丸暗記しなければならない」と思い込んでいます。しかし、それは大きな誤解です。
実は、技術士論文の勝敗を分けるのは、高度な技術力ではなく「日本語の読解力」と「語彙力」です。本記事では、論文が書けない根本的な原因を紐解き、試験を突破するための「正しい日本語のキャッチボール」のノウハウを徹底解説します。
論文の成否はペンを握る前に決まっている?
「問題文を読んだら、すぐに書き始めないと時間が足りなくなる」と焦っていませんか?
論文の成否は、実はペンを握って書き始める前の「準備段階」で9割決まっています。
問題文を「正しく読めない」受験生が多すぎる現実
技術士試験に何度も落ちてしまう多年度受験生に最も多い共通点が、「問題文を正しく読めていない」という点です。
例えば、出題者が「Aについての課題と対策を述べよ」と求めているにもかかわらず、自分の得意分野である「Bという最新技術の素晴らしさ」を熱弁してしまうケースが後を絶ちません。どれだけ高度で素晴らしい技術論が書かれていても、出題者の質問に対する答えになっていなければ、その時点で採点対象外(即C判定)になります。
多くの受験生は「文章を書く力(表現力)」が足りないと思っていますが、本当のボトルネックは「問題文が何を求めているかを正確に聞き取る力(受容力)」の不足にあるのです。
出題者が本当に求めている「解答のスタートライン」
技術士試験は、あなたと出題者(採点官)との間の「日本語のキャッチボール」です。
出題者がボールを投げている(=問題を提示している)のに、あなたが全く違う方向へボールを投げ返したらキャッチボールは成立しません。
論文執筆のスタートラインは、問題文の一言一句を疑い、「この出題者は、私に何を答えてほしいのだろうか?」と徹底的に噛み砕くことにあります。高度な論文を書こうとする必要はありません。まずは相手の質問に対して「素直に、正確に答える」ことだけを意識してください。
技術士に必要な2つの人間力:「読解力」と「語彙力」
技術士試験の論文をシンプルに攻略するために必要な要素は、実は以下の2つしかありません。
【技術士論文を突破するシンプル方程式】
[問題文を正しく捉える「読解力」] + [分かりやすく説明する「語彙力」] = 合格論文
問題文の意図を100%見抜くための「読解力」の鍛え方
読解力を鍛えるために有効なのが、問題文を「要素分解」することです。
問題文に含まれる「条件」「制約」「求められている成果」をすべて箇条書きに洗い出します。

このように、問題文をパーツに分解し、「すべてのパーツに対する答えが自分の論文に含まれているか」をチェックする癖をつければ、出題意図から外れた論文を書くリスクをゼロにできます。
専門用語を使わずに専門性を伝える「語彙力」の本質
「語彙力」と聞くと、難解な専門用語や四字熟語をたくさん知っていることだと思いがちですが、技術士試験においては真逆です。
ここでの語彙力とは、「専門外の人が読んでも、一発で内容が理解できる平易な言葉に変換できる能力」を指します。
試験官はあなたの専門分野の第一人者であるとは限りません(少し分野の異なる技術士が採点することもあります)。そのため、独りよがりの業界用語や、主語・目的語が抜けた曖昧な文章はそれだけで「減点対象」になります。
「誰が」「何を」「どうするのか」を明確にし、小学生や中学生でもイメージできるくらい具体的かつ論理的な言葉選びができることこそが、真の語彙力です。
実例で学ぶ!「りんご」を説明するような論文構成術
では、具体的にどのようにして文章を組み立てていけばよいのでしょうか。
難しい技術論を一度離れて、誰もが知っている「りんご」をテーマに、評価される論文の構成を考えてみましょう。
特徴を別の言葉で言い換える具体例
もし試験で「りんごの魅力と、それを普及させるための課題を述べよ」と問われたら、あなたならどう書きますか?
不合格になる人と、合格する人のアプローチの違いを比較表にまとめました。
| 評価の差 | 不合格になる人のアプローチ | 合格する人のアプローチ |
| 思考のクセ | 「りんごの成分(プロシアニジンなど)が如何に健康に良いか」を専門的に熱弁する。 | 「赤い」「丸い」「甘酸っぱい」という誰もが知る特徴からスタートする。 |
| 読者への配慮 | 専門知識のアピールに終始し、相手が理解できるかを考えていない。 | 誰もがイメージできる共通言語を使い、論理の飛躍をなくす。 |
| 結果 | 採点官に「独りよがりで、説明能力が低い」とみなされ減点。 | 採点官に「論理的で、非常に分かりやすい」と評価され合格。 |
高度な技術士論文もこれと全く同じです。
「インフラの老朽化」をテーマにするなら、難解な数式や特異な工法をいきなり持ち出すのではなく、「コンクリートがひび割れると、中に水が入って鉄筋が錆びる。だから対策が必要だ」というように、因果関係を誰もが納得できる言葉で一段ずつ積み重ねていくのです。
この「言い換え」と「因果関係の整理」ができるようになれば、どんな専門テーマが出題されても、合格ラインをクリアする論文がスラスラと書けるようになります。
まとめ:日本語を正しく扱えれば、記述試験は怖くない
技術士二次試験の論文が書けないのは、あなたの技術者としての能力が足りないからではありません。単に、試験の本質である「日本語の正しいキャッチボール」のルールを知らないだけです。
■まずはペンを置き、問題文の要求を100%理解する「読解力」を持つこと。
■難解な言葉に逃げず、誰にでも伝わる論理的な言葉で紡ぐ「語彙力」を意識すること。
「素晴らしい論文を書こう」という完璧主義は今すぐ捨てましょう。「問題文の通りに、間違っていない内容を、分かりやすく、文字数通りに書く」。この減点されないルールを徹底するだけで、あなたの論文は見違えるように合格へと近づきます。
思考をシンプルに切り替え、次回の試験で確実にA判定を勝ち取りましょう!


