「技術士二次試験の対策を始めたけれど、論文がどうしても形にならない」
「課題、最重要課題、解決策のつながりがバラバラだと添削で指摘されてしまった」
技術士二次試験の記述式試験(特に必須科目Ⅰや選択科目Ⅲ)に挑む多くの受験生が、このような「論文の構成」や「一貫性」の壁にぶつかります。
実は、技術士二次試験に最短コースで合格するためには、一般的な作文とは全く異なる「合格するための思考の法則」が存在します。
本記事では、当講座の受講生(50代後半・建設部門)とのZoom面談での指導実績をもとに、採点官に評価される論文を迷わず、そして最短で書き上げるための2つの強力な法則――【カーナビの法則】と【スヌーピーの法則】について詳しく解説します。
参考:日本技術士会
技術士二次試験の論文で最も重要な「論理の一貫性」とは?
技術士二次試験の記述式問題では、受験生が「技術士としての資質(コンピテンシー)」を備えているかどうかが厳しくチェックされます。その評価の土台となるのが、論文全体の「論理の一貫性(ストーリー性)」です。
必須科目・選択科目で問われる基本骨格
試験問題では、基本的に以下のステップに沿って記述することが求められます。
【問題で示される制約条件・社会背景】
↓
【1. 多面的な視点からの課題抽出】
↓
【2. 最重要課題の選定とその理由】
↓
【3. 最重要課題に対する解決策】
↓
【4. 解決策に伴うリスクと波及効果】
多くの受験生が不合格になってしまう最大の原因は、このステップの間で論理が飛躍したり、矛盾が生じたりすることにあります。
なぜ、あなたの論文は「OUT」になってしまうのか?
添削指導をしていて非常によく見かける「OUT(不合格)」の典型パターンは以下の通りです。
| 論文のステップ | 合格する書き方(一貫性あり) | 不合格になる書き方(OUTの典型) |
| 課題の抽出 | 問題文で明示された「制約条件」や社会背景を確実に踏まえている。 | 制約条件を無視し、自分が書きたいだけの一般的な課題を書いている。 |
| 最重要課題の選定 | 抽出した複数の課題の中から選定し、なぜそれが最重要なのか理由が明確。 | どの課題が最重要課題なのか、文章を読んでもパッと判別できない。 |
| 解決策の提示 | 選定した「最重要課題」をピンポイントで解決する具体策になっている。 | 最重要課題とは無関係な、どこかで聞き覚えのある一般論の解決策を書いている。 |
このように、「課題」は制約条件を踏まえ、「最重要課題」は課題の中から選び、「解決策」は最重要課題を解決するものでなければならないという大原則があります。この縦の糸が一本でも切れてしまうと、採点官に「論理的思考力がない」とみなされ、その時点で不合格評価となってしまいます。
ゴールから逆算する【カーナビの法則】
先述した「論理の一貫性」の重要性を頭では理解していても、実際に原稿用紙を前にすると、手が止まってしまう受講生は少なくありません。
先日も、50代後半の受講生の方とZoomで必須科目の添削面談を行いました。その方は「令和元年の生産性向上」に関する過去問に取り組んでいましたが、本人も薄々「自分の論文は一貫性がない」と自覚しつつも、どう修正していいかわからず、解決策の記述で完全にフリーズしていました。
なぜ、フリーズしてしまったのでしょうか?
原因は、「課題を先に決めてから、それに合う解決策をひねり出そうとしていたから」です。
考え方を180度変える「逆算思考」
実は、合格答案をスムーズに書くためのアプローチは真逆です。
論文を書き始める前に、頭の中で(あるいは構成メモの段階で)以下の順番で組み立てます。
【通常の思考(不合格になりやすい)】
1.課題を思いつくままに書く
2.その中から適当に最重要課題を選ぶ
3.「さて、この最重要課題の解決策はどうしよう…」と悩む(ゴールが見えず遭難する)
【カーナビの法則(最短合格の思考)】
1.自分が得意な、あるいは知っている具体的な「解決策(目的地)」を複数リストアップする
2.それらの解決策を「グルーピング(共通項の抽出)」する
3.その共通項から逆算して「最重要課題」および「複数の課題(現在地)」を設定する
これを当講座では【カーナビの法則】と呼んでいます。
【カーナビの法則のイメージ】
[ 現在地:制約条件 ] ──────(ルート自動生成)──────> [ 目的地:解決策 ]
※目的地(書ける解決策)を先にセットするから、
途中の通過点(課題・最重要課題)が矛盾なく自然に導き出される!
カーナビを使うとき、まず最初に「目的地」を入力しますよね。現在地と目的地が正しく設定されれば、途中のルート(通過点)はナビが自動的に弾き出してくれます。
論文も全く同じです。自分が自信を持って書ける「具体的な解決策」というゴールを最初に決めるからこそ、そこに至るための「課題」がブレずに、論理的にすっきりとつながるのです。
手持ちの知識を最大化する【スヌーピーの法則】
最短合格を目指すためのもう一つの重要なマインドセットが、【スヌーピーの法則】です。
世界的に有名な漫画『ピーナッツ』の中で、スヌーピーはこのような名言を残しています。
「配られたカードで勝負するしかないのさ……それがどういう意味であれ」
この言葉は、技術士二次試験の論文対策において、極めて重要な真理を突いています。

日経コンストラクションを丸暗記しても合格できない
多くの受験生は、試験が近づくと「何か最新の画期的な技術を仕入れなければ」「日経コンストラクションや白書を隅々まで読んで、目新しいキーワードを論文に盛り込まなければ」と焦りがちです。
しかし、付け焼き刃で覚えた最新技術や、自分が深く理解していないキーワードを論文に無理やり詰め込もうとすると、具体性を欠いた薄っぺらい内容になり、専門家である採点官にはすぐに見抜かれます。
合格するために必要なのは、新しいカードを無理に引きに行くことではありません。「今、自分の頭の中にあるカード(これまでの業務経験や基礎知識)を、問題に合わせていかに応用して使いこなすか」です。
受講生との面談で実証された「手持ちのカード」の威力
先ほどの生産性向上に悩んでいた50代の受講生との面談の中で、私は「最近の業務で、昔と比べて格段に効率が上がったと感じる身近な工夫や技術はありませんか?」と問いかけました。
すると、その受講生から以下のような現場のリアルな話が出てきました。
「そういえば、今のコンクリートのバイブレーターってコードレス(バッテリー式)が主流なんですよ。昔は電源コードを引き回す必要があったので、バイブレーター1本につき、コードを持つ人、引っ張る人など、作業員が3人くらい必要でした。もし現場で3本のバイブレーターを同時稼働させるなら『3人×3本=9人』の作業員を配置しなければならなかったんです。
でも、今はコードレスなので、作業員が1人で1本を扱えます。3本稼働させても、たった3人で済む。これだけで配置人員を9人から3人に減らせて、現場の省人化と生産性が劇的に向上しているんです」
これこそが、まさに「最高に具体的で説得力のある合格レベルのカード」です。
この手持ちのカード(コードレスバイブレーターによる省人化)をもとに、先ほどの【カーナビの法則】を適用して論文の骨組みを逆算してみましょう。
「コードレスバイブレーター」から逆算した論文構成例
- 【目的地:解決策】
- 充電式(コードレス)電動工具や軽量化資材の積極導入による、現場作業の省人化・ワンマン化。
- 【逆算した最重要課題】
- 熟練技能者不足や就業者減少に対応するため、施工現場における「配置人員の最小化(省人化パワーアップ)」を図ること。
- 【逆算した課題(多面的視野)】
- 安全性の確保(コードの引っ掛かり等による転倒災害の防止)
- 施工品質の確保(省人化しつつも確実な締固めを行うための標準化)
- 生産性の向上(段取り替え時間の削減、電源確保の手間の解消)
いかがでしょうか。日経コンストラクションに載っているような国家規模のDX(デジタルトランスフォーメーション)やAIの活用といった大層な話を無理に書くよりも、このように「自分の知っている身近な技術の応用」から逆算した方が、遥かに具体的で、論理の通った、圧倒的に説得力のある論文が完成します。
まとめ:記述式試験で「最短コース」を駆け抜けるための実践ステップ
これから技術士二次試験の勉強を本格化させる方、あるいは現在論文の書き方に悩んでいる方は、ぜひ明日からの勉強に以下のステップを取り入れてみてください。
【ステップ1:自分の「持ち札(カード)」を棚卸しする】
日常業務で使っている技術、効率化の工夫、トラブル対応の経験をノートに書き出す。
↓
【ステップ2:過去問の「解決策」に持ち札を当てはめる】
問題文を見たら、まず「自分の持ち札のどれを解決策として使えるか」を考える。
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【ステップ3:カーナビの法則で「課題」を逆算する】
選んだ解決策が綺麗にハマるように、課題・最重要課題を後から組み立てる。
↓
【ステップ4:骨組みを固定してから一気に執筆する】
一貫性が担保された構成メモを作成し、論理のブレがないことを確認してから原稿用紙に向かう。
技術士二次試験は、決して「博学さを競う試験」ではありません。「与えられた制約条件に対し、自分の持つ技術的知識を論理的に組み立て、わかりやすく文章で説明できるか」を問う試験です。
最新キーワードの暗記に逃げるのをやめ、ゴールからの逆算(カーナビの法則)と、手持ちの武器の最大活(スヌーピーの法則)を徹底すること。これこそが、あなたが最小限の努力で、最短コースで合格を掴み取るための絶対法則です。
あなたの挑戦を応援しています。ぜひ、自身の現場経験という強力なカードを信じて、論文対策を進めていきましょう!



