設問Ⅰー1-25
「JIS Q 31000 リスクマネジメント-原則及び指針」に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。
① リスクは,被害の大きさと発生確率により定義されるものである。
② リスク対応には,「リスク回避」,「ある機会の追求のためのリスクの増加」,「リスク源の除去」,「起こりやすさの変更」,「結果の変更」,「他者とリスクの共有」,「リスク保有」を含むことがある。
③ リスク対応が,新たなリスクを生み出したり,既存のリスクを修正したりすることがある。
④ リスクアセスメントとは,「リスク特定」,「リスク分析」及び「リスク評価」のプロセス全体である。
⑤ リスクマネジメントとは,リスクについて組織を指揮統制するための調整された活動である。
【解説】 正解① 青本外からJIS Q 31000 リスクマネジメント-原則及び指針に関する出題です。知らないと解けない問題です。
①JIS31000リスクマネジメントではリスクの定義は「目的に対する不確かさの影響」となっています。
青本134ページのリスクの定義とJIS31000リスクマネジメントとは定義が違うので注意が必要です。青本が発売されていない現状においてはJIS31000リスクマネジメントの出題は今後も増えてくると考えられます。
これは2009年11月15日に発行された、ISOガイド73:2009でリスクの定義が、2002年版の “事象の発生確率と事象の結果の組み合わせ” から、“目的に対して不確さが与える影響” に変更されました。それについて問われている問題です。
設問Ⅰー1-26
住宅地内の公園,街路樹等(農地を除く。)における農薬使用に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。
① 病害虫被害が発見された場合は,農薬使用を控え,被害を受けた部分の剪定や捕殺,機械除草等の物理的防除により対応した。
② 病害虫の発生を予防するため,いくつかの異なる農薬を現地で混合して使用した。
③ 農薬を使用した年月日,場所及び対象植物,使用した農薬の種類等を記録し,それを一定期間保管した。
④ 農薬散布に当たっては事前に近隣住民等に十分な時間的余裕をもって周知するとともに,立て看板の表示や立入制限範囲の設定等の措置を行った。
⑤ 農薬の散布後に,周辺住民から体調不良の相談があったので,農薬中毒症状に詳しい病院等の相談窓口等を紹介した。
【解説】 正解② 青本外から農薬使用の位置付けに関する出題です。
知らないと解けない問題ですが、常識的に考えて異なる農薬を現地で混合するのはダメでしょう。
詳細は「公園・街路樹等病害虫・雑草管理暫定マニュアル」を参照してください。
http://www.env.go.jp/water/noyaku/hisan_risk/manual1/full.pdf
設問Ⅰー1-27
消防法で定める防火管理者に関する次の記述のうち,最も適切なものはどれか。なお,ここでいう「所轄消防署長等」とは,所轄消防長(消防本部を置かない市町村においては,市町村長。)又は消防署長のことである。
① 防火対象物等の管理権限者が防火管理者を定めたときは,遅滞なく所轄消防署長等に届け出なければならない。
② 防火管理者は権限を有するものの指示を受けて,防火管理に係る消防計画を作成しなければならないが,所轄消防署長等への届け出の必要はない。
③ 防火管理者の責務は火災に関する消防活動であり,地震等の自然災害は対象外である。
④ 大学又は高等専門学校卒業生であれば,特段の資格がなくとも,防火管理者になることができる。
⑤ 多数の人が利用し,管理権限者が複数となっている大規模・高層の防火対象物では統括防火管理者の選任が好ましい。
【解説】 正解① 青本外から防火管理者の位置付けに関する出題です。
②は「消防計画書を作成しますが、所轄消防署長等への届け出の必要はない」との記述があります。届ける必要がないのであれば、計画書も作成する必要がありません。そもそも届ける必要がないのであれば問題として問われないはずです。「~はあるが、~はない」という問題はほぼ間違いなく不適切な設問です(一部例外あり)。この設問は確信をもって不適切だとわかります。③「防火管理者の責務は火災に関する消防活動であり・・・」と書いていますが、防火管理者は文字通り読めば防火活動であり消化活動ではありません。日本語を正しく読めれば間違いだと気がつきます。日本語の文章として謝ったものは不適切な設問です。ひょっとしたら適切かも?と疑う必要はありません。この試験は国家資格なので間違った日本語が適切な設問になるはずはありません。この設問も確信を持って不適切だと判断出来ます。④「特段の資格がなくとも,防火管理者になることができる」と書いてあります。特段に資格がいらないのであれば、そもそも設問になりません。何かしら制約があり、それを知っていなければならないので設問になるのです。これも常識的に考えて不適切な問題です。⑤この問題は消防法という法律です。法律が「統括防火管理者の選任が好ましい」という文章があるとは思えません。好ましいのではなく義務化しなければならないのが普通でしょう。これも常識的に考えて不適切です。
設問Ⅰー1-28
製造業における経験3年末満の未熟練労働者の安全衛生管理に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。なお記述は,厚生労働省調べによる平成26年までのデータを基にしている。
① 休業4日以上の死傷災害における未熟練労働者の占める割合は,増加傾向にある。
② 未熟練労働者の労働災害を事故の型別で見ると約3割が挟まれ,巻き込まれである。
③ 労働安全衛生法では雇い入れ時の安全衛生教育が推奨されている。
④ 安全衛生教育は繰り返し実施し,身に付けさせることが重要である。
⑤ 未熟練労働者に対する安全の第一歩は,職場にはさまざまな危険かおるということをよく理解させ,危険に対する意識を高めることである。
【解説】 正解③ 青本外から未熟練労働者に関する出題です。
③法律で推奨されているのはおかしいでしょう。法律なので義務化しているはずです。
これも常識で考えればわかる問題です。
設問Ⅰー1-29
厚生労働省:平成28年労働災害動向調査及び労働災害統計における全産業の労働災害発生状況は、
度数率 1.6, 強度率 0.10, 年千人率 2.2
である。ある事業所は,従業員数200名,年間平均労働時間は1,700時間であるが,労働災害による死傷者数は2名,労働災害のために失われた労働損失日数は20日であった。
この事業所の労働災害の状況に関する次の記述のうち,最も適切なものはどれか。
① 度数率,強度率,年千人率のすべてにおいて全産業の値を上回っている。
② 度数率,強度率は全産業の値を上回っているが,年千人率は下回っている。
③ 度数率,年千人率は全産業の値を上回っているが,強度率は下回っている。
④ 度数率,強度率は全産業の値を下回っているが,年千人率は上回っている。
⑤ 度数率,年千人率は全産業の値を下回っているが,強度率は上回っている。
【解説】 正解③ 青本147ページから労働災害と災害統計に関する出題です。出題頻度の高い問題なので必ず正解する必要があります。
年千人率:在籍労働者1,000人当りの年間死傷者数
=(1,000)÷(平均在籍労働者数)×(年間死傷者数)
=1,000÷200名×2名=10
度数率(労働災害の発生頻度を表す):100万延労働時間当りの労働災害による死傷者数
=(1,000,000)÷(延実労働時間数)×(労働災害による死傷者数)
=1,000,000÷(200名×1,700時間)×2名=5.88
強度率(労働災害の重さの程度を表す):1000延労働時間当りの災害のために失われた延労働損失日数
=(1,000)÷(延実労働時間数)×(延労働損失日数)
=1,000÷(200名×1,700時間)×20日=0.0588
【解説】 正解① 青本外から安全とコンプライアンスに関する出題です。
青本37ページに日本でも1995年7月に製造物責任法が施行されたとあります。
設問Ⅰー1-31
テストドライバーが運転者席に乗車して実施する自動走行システムの公道実証実験について,警察庁より「自動走行システムに関する公道実証実験のためのガイドライン」が示されている。次の記述のうち,最も適切なものはどれか。
① 一定の条件を満たせば,場所や時間にかかわらず,公道実証実験を行うことは現行法上でも可能である。
② テストドライバーは,運転免許は要求されないが,緊急時等に安全を確保できるよう実験車両の操作に習熟する必要がある。
③ テストドライバーは,自動走行システムを用いて走行している間,常に,ハンドル等の操作装胆を把持している必要がある。
④ 自動走行システムの自動車は,通常のものに比べ事故を起こす可能性がかなり小さいと見込まれるため,実施主体は自動車損害賠償保険や任意保険に加入する必要はない。
⑤ 交通事故又は交通違反が発生した場合には,テストドライバーではなく,実施主体が運転者としての責任を負う。
【解説】 正解①
青本外から自動走行システムの公道実証実験に関する出題です。この問題も知識がなくても常識的に考えればわかる問題です。
②運転免許は要求されないが⇒常識的に考えて公道を運転するので運転免許は必要でしょう。
③常に⇒限定的な文言がついてある設問は不適切な設問です
④自動車損害賠償保険や任意保険に加入する必要はない⇒基本的に保険に加入しないとダメでしょう。これも常識的に考えて不適切な設問です。
⑤テストドライバーではなく,実施主体が運転者としての責任を負う。⇒交通違反はドライバーの責任でしょう。これも運転免許を持っていれば当然わかる問題です。
この手の問題は初めて見る問題でも、常識的に考えてください。
常識的に考えて間違えているものは不適切な設問です。ひょっとしたら適切な設問じゃないのかと疑ってはいけません。常識的に考えて間違えているものは不適切な設問です。
設問Ⅰー1-32
防災情報や避難行動に関する次の記述のうち,最も適切なものはどれか。
① 災害時にとるべき避難行動については,市町村長は地域の居住者等に避難勧告や避難指示をすることができるが,避難場所の指示については自治会や居住者等の判断に委ねられている。
② 平成28年の台風10号による岩手県岩泉町の高齢者施設における被災を踏まえて,「避難準備情報」の名称が「避難準備・高齢者等避難開始」に変更された。
③ 災害対策基本法においては,1つの市町村の区域を越えて住民が避難する場合の市町村間の協議の手続は定められていない。
④ 記録的短時間大雨情報は,大雨警報発表の有無にかかわらず,その地域にとって災害の発生に繋がる,数年に一度しか発生しないような短時間の大雨が今後予測される場合に発表される。
⑤ 土砂災害の危険性の理解を深め,土砂災害警戒区域の指定を促進するため,都道府県により基礎調査が実施されているが,その結果の公表の要否は市町村長によって判断されている。
【解説】 正解②
青本外から防災情報や避難行動に関する出題です。この問題も知識がなくても常識的に考えればわかる問題です。
①避難場所の指示については自治会や居住者等の判断に委ねられている。
⇒専門の知識がない住民などはどこに避難していいのか分りません。また危険な場所に避難する可能性もあります。避難勧告や避難指示を出すものが避難場所を指定するのが普通でしょう。これも常識的に考えて不適切な設問だと分ります。
③住民が避難する場合の市町村間の協議の手続は定められていない。⇒定められていないのであれば住民はどこに避難していいのか分らないので、そもそもこの法律は無意味なものになってしまします。常識的に考えて不適切な問題です。
④短時間の大雨が今後予測されるのであれば当然大雨警報は発表されるでしょう。これも常識的に考えて間違った選択肢であることが分ります。
⑤そもそも都道府県により基礎調査が実施されているので、結果の公表の要否も都道府県が行なうべきでしょう。少なくとも都道府県より下位の市町村長が判断するのは常識的に考えて不適切な設問です。
参考:日本技術士会
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