技術士二次試験の建設部門において、避けて通れないのが「必須科目Ⅰ」の記述式試験です。特に近年の風水害の激甚化・頻発化に伴う国土強靭化や防災減災のテーマは、本番でも非常に出題されやすい重要トピックです。
受験申込を終え、いよいよ筆記試験対策を本格化させる時期、どのように勉強を進めればよいか悩んでいませんか? 「論文をゼロから自分で書くのは難しい」「どうすればA判定をもらえるのか分からない」という方も多いはずです。
本記事では、技術士二次試験を効率的に一発合格するための「論文対策のノウハウ」を、令和3年度の必須科目Ⅰ-2の模範解答例とともに徹底解説します。
技術士二次試験の筆記対策に必須の「2つの準備」と合格メソッド
筆記試験対策を効率的に進めるための準備は、実は非常にシンプルです。必要なのは以下の2つのツールを入手すること、ただそれだけです。
- 過去問題の入手(日本技術士会のホームページで公表されています)
- 信頼できる模範解答の入手
過去問は「書く」のではなく「読む」ことから始める
多くの受験生が「まずは自分で論文を書いてみよう」としがちですが、これは非効率です。最初の1〜2カ月間は、過去問題を何度も読み込み、試験元が何を求めているのか(題意)を理解することに徹してください。自分の専門とする選択科目だけでなく、他の選択科目の問題にも目を通すことで、建設部門全体のトレンドや共通する課題が見えてきます。
一字一句ではなく「文章の流れ」を暗記する
次に、入手した模範解答を読み込みます。「このレベルの論文が本番で書ければ合格できる」という基準を自分の中に作り、合格基準の論文の「流れ(骨子)」を頭に叩き込みます [cite: そして自分も試験本番で模範解答と同レベルの解答を書ければ合格することを認識してください。, 模範解答を読んで理解できるようになれば、文章を暗記します。]。
ここでのポイントは、一字一句の丸暗記は不要ということです。論文のストーリー展開やロジックの組み立て方(文章の流れ)をインプットしてください。この引き出しの量がある一定を超えると、初見の問題であっても合格水準の論文を組み立てられるようになります。
応用力を養う「カレーライス理論」とは?
ただし、試験本番では過去問と全く同じ問題は出題されません。暗記した論文をそのまま書き写しても、題意からズレていれば不合格(B判定以下)になってしまいます。
そこで重要になるのが、当講座が提唱する「カレーライス理論」です。
【カレーライス理論】
あらかじめ準備(暗記)しておいた「基本の論文(=カレーのベース)」を、本番の出題内容(=注文)に応じて、トッピングや辛さを変えるように「加工・アレンジ」して解答する技術のこと。
この加工技術を身につけるためにも、まずはベースとなる良質な模範解答をインプットしましょう。
▼ 効率的な筆記試験対策のステップ
| ステップ | 期間の目安 | 実施内容 | 目的 |
| Step 1: 過去問の読み込み | 1〜2カ月 | 建設部門の過去問題を何度も読み込む | 出題傾向と問われている題意の把握 |
| Step 2: 模範解答のインプット | 1〜2カ月 | 模範解答を読み、論文の「流れ」を記憶する [cite: 模範解答を読んで理解できるようになれば、文章を暗記します。, ここでは文章の文字を一字一部丸暗記するのではなく、文章の流れを暗記します。] | 合格基準(A判定)の論文構造の定着 |
| Step 3: カレーライス理論の実践 | 試験直前期 | 過去問の題意に合わせて、覚えた論文を加工する | 初見の問題に対する応用力・現場対応力の習得 |
技術士二次試験建設部門必須科目Ⅰー2|模範解答例|令和3年度
Iー2 近年,災害が激甚化・頻発化し,特に,梅雨や台風時期の風水害(降雨,強風,高潮・波浪による災害)が毎年のように発生しており,全国各地の陸海域で,土木施設,交通施設や住民の生活基盤に甚大な被害をもたらしている。 こうした状況の下,国民の命と暮らし,経済活動を守るためには,これまで以上に,新たな取組を加えた幅広い対策を行うことが急務となっている。
( 1 )災害が激甚化・頻発化する中で,風水害による被害を,新たな取組を加えた幅広い対策により防止又は軽減するために,技術者としての立場で多面的な観点から3っ課題を抽出し,それぞれの観点を明記したうえで,課題の内容を示せ。
( 2 )前問( 1 )で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1っ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。
( 3 )前問( 2 )で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対応策について,専門技術を踏まえた考えを示せ。
( 4 )前問( 1 ) ( 3 )を業務として遂行するに当たり,技術者としての倫理,社会の持続性の観点から必要となる要件・留意点を述べよ。
技術士二次試験建設部門必須科目Ⅰー2|模範解答例|令和3年度
(1) 風水害に対する課題の抽出と分析
1)戦略的な防災減災対策(制度・技術面の観点)
島国で長い海岸線を有し、急峻な国土に多くの山地や河川を有する我が国は、気象災害に対して極めて脆弱な国土構造となっている。
風水害に対して国民の生命や財産を保護するため、計画的かつ効果的な災害対策が求められる。
したがって、人員、設備、金銭など限られたリソースを最適配分して、戦略的な災害対策が必要である。
2)担い手の育成・技術継承(人材面の観点)
今後、高齢化に伴い多くの熟練の技術者・技能者の退職が見込まれている。
風水害に関する対策技術の空洞化防止、また広域な範囲の災害対策を実施できる人員体制を確保するため、熟練者の持つ技術の伝承が求められる。
したがって、知識や経験のデータ化など、効率的かつ効果的な担い手の育成・技術継承が必要である。
3)安定的・持続的な公共投資の確保(費用面の観点)
中長期的に、少子高齢化に伴う税収減や社会保障関係費の増加が予想される。
今後も風水害に強い国土を維持、形成していくため、財政制約化の中で事業費の捻出が求められる。
したがって、ストック効果の最大化を図るインフラ経営や民間資金(PPP/PFI、コンセッション等)を活用した安定的・持続的な公共投資の確保が必要である。
(2)戦略的な防災減災対策に向けた解決策
国民の社会的利益に最も資すると考えられる、課題1)を最重要課題に挙げる。
1)防災減災社会の推進
想定以上の風水害に対応するため、ハード・ソフト対策を組み合わせた国土の強靭化が必要である。
この解決策として、施設強化、流域治水、グリーンインフラの活用、土地利用規制など多重防御体制の構築や災害情報発信の高度化を提案する。
本提案は、ハード・ソフトの総力戦で風水害対策を実施するため、防災減災社会の推進が期待される。
2)防災インフラの機能確保
山地や河川、海岸線に整備された膨大な防災インフラの老朽化が想定されるため、その対策が必要である。
この解決策として、アセットマネジメントを導入した予防保全型による風水害対策の防災インフラの維持管理・更新を提案する。
本提案は、良好なメンテナンスサイクルをもたらすため、持続可能な防災施設の機能確保が期待される。
3)避難・復旧・復興計画の高度化
防災行動計画や事前復旧・復興計画が不十分なため、計画の整備や活用を推進する取組が必要である。
この解決策として、平時から行政、企業、住民が一体となり、災害時のタイムラインやBCP作成など、地域全体で風水害への備えを共有する取組を提案する。
本提案は、自助・共助・公助の相乗効果が発揮されるため、避難・復旧・復興計画の高度化が期待される。
(3)新たに生じうるリスクとそれへの対策
1)新たなリスク(解決策の停滞や陳腐化)
気候変動に伴う想定を超える設計外力の発生やハザードエリアの変化、高齢化や多様化による行動変容など、これまでの解決策が機能しないリスクがある。
2)その対策(技術や仕組のアップデート)
施設の設計思想やハザードマップ変更など、変化に応じた技術の更新が必要である。またDX化やSociety5.0など新技術・施策の積極展開、さらに異業種との連携による建設技術の進化が必要と考える。
(4)業務遂行に必要な要件・留意点
1)技術者倫理の観点
要件は、法令を遵守し、説明責任を負って常に公衆の安全・健康・福利を最優先に業務を遂行する。
留意点は、資格取得や継続研さんの実施、また照査・検査の真実性の確保、さらに公正な入札制度のもとで社会経済の発展に貢献することである。
2)社会の持続性の観点
要件は、3R徹底、CO2削減、自然共生等の地球環境の保全など、持続可能性を確保する。
留意点は、国内外における後進の育成・技術継承、またLCCや民間活力の推進による財政の健全化など、SDGsの理念を遵守することである。以上
論文の構造を視覚化!必須科目Ⅰ-2の合格骨子マトリクス
上記の模範解答を「文章の流れ」として視覚化したのが以下の表です。試験本番では、論文を書き始める前にこのような「骨子」を余白に素早く組み立てることが、論理破綻を防ぐ最大のテクニックとなります。
【令和3年度 必須科目Ⅰ-2 論文骨子一覧】
◆設問(1):課題の抽出(3つの多面的な観点)
├─① 制度・技術面:戦略的な防災減災対策の推進
├─② 人材面:効率的かつ効果的な担い手の育成・技術継承
└─③ 費用面:民間資金(PPP/PFI)活用等による持続的な公共投資の確保
◆設問(2):最重要課題の選定 & 複数の解決策
⚠️「① 制度・技術面:戦略的な防災減災対策」を最重要課題に選定!
├─解決策1:防災減災社会の推進(流域治水、グリーンインフラ、情報高度化)
├─解決策2:防災インフラの機能確保(予防保全型アセットマネジメント)
└─解決策3:避難・復旧・復興計画の高度化(地域一体のタイムライン・BCP策定)
◆設問(3):すべての解決策を実行しても生じるリスク & 対策
├─新たなリスク:気候変動による設計外力超過、住民の避難行動の変容に伴う「解決策の陳腐化」
└─リスクの対策:インフラDX、Society 5.0、異業種連携による「技術・仕組みの継続更新」
◆設問(4):業務遂行における要件・留意点
├─技術者倫理:公衆の安全・健康・福利の最優先、CPD(継続研さん)、真実性の確保
└─持続可能性:地球環境保全(3R、CO2削減)、LCC低減・民間活力による財政健全化(SDGs)
横浜すばる技術士受験講座で一発合格を目指す
技術士試験は「仕事をしながら勉強時間を確保する」という、時間との戦いでもあります。限られた時間の中で確実に合格を掴み取るためには、がむしゃらに勉強するのではなく、これまで解説してきたような「合格するための論文執筆技術(ノウハウ)」を正しく習得することが最短ルートです。
「Yokosuba技術士受験講座」では、技術士一次・二次・総合技術監理部門のすべてを1回でストレート合格した講師(横浜すばる)が、実践的な合格テクニックを直接指導します [cite: 技術士二次試験対策の【Yokosuba技術士受験講座】 |, 横浜すばる技術士事務所代表:横浜すばる技術士(建設部門ー施工計画、施工設備及び積算) (総合技術監理部門), 技術士一次試験、技術士二次試験、技術士総合技術監理部門とすべて1回で合格しました。]。
当講座が選ばれる3つの強み
- 圧倒的な教材クオリティ: 独自のPDF資料「合格する論文の黄金法則」を提供。論文のロジック構築法から、採点基準、業務経歴票の作成までを網羅しています。
- 回数無制限の個別論文添削: あなたが書いた論文を、合格水準(A判定)に達するまで期間内であれば何度でも徹底的に添削します [cite: 念のため自分の書いた論文が正しいか否かを判定するためには「個別指導講座」を受講することをお勧めします。, 論文の添削に回数制限はありません。, 期間内であれば何度でも添削を行います。]。
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