設問Ⅰー1-25
次のリスクマトリクス上に示されたそれぞれのリスク領域の説明として,最も適切なものはどれか。
① 日常的に経験する可能性が高いリスクであるが,被害規模が一定の値より小さい場合はリスク保有が許容される領域である。
② 顕在化した場合の被害規模も大きく発生確率も大きいので,主に保険などによってリスクの移転を図る必要がある。
③ 確率・規模ともに中程度であって,リスク低減の費用対効果が高いことから,低減を優先的に考えるべき領域である。
④ 発生確率や被害規模は小さいが,組織として許容されるリスクではないことから,主にリスク回避対策が取られる。
⑤ 災害や大事故が該当することが多く,リスク顕在化時の被害が甚大で組織運営への影響か懸念されることから,確率が低い場合でも,リスクの保有や移転には適さない領域である。
【解説】正解① 青本137ページリスクアセスメントからの出題です。
① ○
② 被害規模が大きく発生確率も大きいのでリスクを低減させるべき領域です。×
③ 発生確率と被害規模が中程度なので、リスク低減、リスク保有、リスク移転などを検討すべき領域といえます。×
④ 発生確率と被害規模が小さいのでリスク保有すべき領域です。×
⑤ 発生確率が低く被害規模が大きいので危機管理対策を検討するべき領域です。×
設問Ⅰー1-26
平成23年3月に発生した東日本大震災によって,我が国の企業や組織は深刻な被害を受け,いわゆるBCM(事業継続マネジメント)への関心が高まっている。 BCMに関する次の(ア)~(オ)の記述のうち,適切なものの数はどれか。
(ア)緊急時にも製品・サービスなどの供給が期待できることから,取引先から評価され,投資家からの信頼性が向上するなど,平常時の企業競争力の強化といったメリットもある。
(イ)経営者を中心に,防災部門,総務部門,施設部門等の防災に関連が深い特定の部門が取り組む。
(ウ)検討すべき戦略には,代替拠点の確保,OEMの実施等の代替戦略が含まれる。
(エ)事業中断の原因となり得る自然災害,感染症のまん延,大事故などの発生事象(インシデント)を対象とし,テロ,犯罪等は対象としない。
(オ)活動,対策検討の範囲は,サプライチェーン等により依存関係のある主体を含む。
① 1 ② 2 ③ 3 ④ 4 ⑤ 5
【解説】正解③ 青本外から事業継続マネジメントの出題です。
事業継続マネジメント(BCM)
災害や事件・事故などの重大なリスクが顕在化した場合に、効果的かつ効率的に事業継続を確保するためのマネジメント・プロセス。
(ア) 災害などでも事業を継続できるのですから信頼の向上にもつながります。○
(イ) 災害時でも事業を継続するのですから、全部門で取り組むべきです。×
(ウ) 自社が被災した場合でも事業を継続する必要があるため、代替拠点の確保なども検討する事です。OEMとは製造を発注した相手先のブランドで販売される製品を製造することをいいます。○
(エ) テロや犯罪は事件・事故に含まれます。×
(オ) サプライチェーンが寸断されると事業が継続できません。当然その確保が必要です。サプライチェーンとはロジスティクス用語。 製造業において,原材料調達・生産管理・ 物流・販売までを一つの連続したシステムとして捉えたときの名称をいいます。○
設問Ⅰー1-27
労働者がその生命,身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう,使用者において配慮する義務のことを安全配慮義務という。安全配慮義務に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。
① 労務の内容及び危険の内容・程度によっては,直接的な雇用関係にない下請作業員に対しても求められる義務である。
② 安全配慮義務において対象となる身体等の安全には,心身の健康も含まれる。
③ 安全配慮義務の具体的内容は,職種,労務内容,勤務場所等具体的状況等によって異なるため,ケース毎に判断される。
④ 安全配慮義務は,民法の信義則に基づいて判例で積み上げられたものであり,労働関係の法律には明文化されていない。
⑤ 労働安全衛生関係法令が規定する内容は,使用者の労働者に対する安全配慮義務の内容の規準としても用いられる。
【解説】正解④ 青本外から安全配慮義務の出題です。
④民法の信義則ではなく最高裁判所の判例です。
設問Ⅰー1-18
危険と安全のいずれかの状態を出力するセンサがあり,確率pで真の状態とは異なった状態を出力する。このセンサ1台が危険を出力した場合にのみ警報するルールとすると,欠報率(危険な場合に警報が出ない確率),誤報率(安全な場合に警報が出る確率)ともにpとなる。このセンサ2台を並列システムのように用いて,いずれか,又は双方が危険を出力した場合に警報するルールとしたとき,欠報率と誤報率の組合せとして正しいものはどれか。ただし,各センサの出力は互いに独立であるとする。
欠損率 誤報率
① p p
② 2p-p2 2p-p2
③ 2p-p2 p2
④ p2 2p-p2
⑤ p2 p2
【解説】正解④ 青本169ページシステム信頼度解析からの出題です。
難問です。
適当にマークして次の問題に進みましょう。
設問Ⅰー1-29
危機管理活動に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。
① 事前作業段階では,資機材の備蓄,教育訓練,緊急時対策組織の確定などを行うが,被害想定に応じて,組織毎,危機毎に資機材の備蓄は異なる。
② 緊急時対策組織は,少なくとも実行責任者のほか,情報機能,分析・評価機能,対応機能,広報機能を持つことが望ましい。
③ 危機発生時の緊急事態対応では,意思決定者は混乱を避けるため,正式なルールによる迅速な情報処理,意思決定の徹底が求められる。
④ 緊急事態が去った後の事後復旧段階において少しでも短い時間で平常状態に戻すため,事前作業段階で復旧対策をマニュアル化する。
⑤ 事後復旧段階では,危機管理活動の効果を測定・評価し,計画の有効性,手順の適正を検証し,問題があれば修正を行う。
【解説】正解③ 青本157ページ危機管理活動のステップからの出題です。
危機発生時の緊急事態対応では,正式なルールによる迅速な情報処理,意思決定を行なうことが難しい場合もあり、非公式なプロセスによって迅速化することも許容しなければならない。
③が間違いです。
設問Ⅰー1-30
安全管理における未然防止活動・技術の項目に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。
① 定期点検活動:実施レベルにムラがでないように個人の熟練度,技量,体調などを考慮し,チェックリストを作成する。
② インターロック:安全確認型インターロックでは,安全装置が故障した場合にも機械が停止する点が重要である。
③ ヒヤリハット活動:将来の重大災害に結びつく可能性のある重要な事象を発見できる可能性がある。
④ フェールセーフ:人為的に不適切な行為や過失などが発生しても,システムの信頼性及び安全性を保持する機能である。
⑤ 小集団活動:安全衛生意識の向上と徹底に効果がある。
【解説】正解④ 青本149ページ未然防止活動・技術からの出題です。出題頻度の高い問題です。
④はフールプルーフの記述です。
フール:バカ、プルーフ:防ぐ
フールプルーフとは直訳するとバカを防ぐという意味になります。人間のミスの影響を抑えるという意味になります。
機械設計原則(フェールセーフ)
故障で危険側障害とならないように運転を停止させるシステムであり、安全認識のためのセンサが故障したときは機械を安全側(停止)にする。
フェールセーフは直訳すると、失敗しても安全という意味になります。
フェール(失敗)、セーフ(安全)
全体機能維持(フォールトトレランス)
システムの一部に問題が生じても全体が機能停止するということなく(たとえ機能を縮小しても)動作し続けるようなシステムに設計する。
フォールトトレランスは直訳すると、過失があっても許容されるという意味になります。
フォールト(過失・失敗)、トレランス(許容)
設問Ⅰー1-31
職場における心の健康の保持増進(メンタルヘルスケア)に関する次の記述のうち,最も適切なものはどれか。
① 相談や治療を早期に行える状況をつくることは,二次予防である。
② 従業員のサインを読み取り早期に発見することは,一次予防である。
③ 日常的なメンタルヘルスの啓蒙は,三次予防である。
④ 個々人のストレス耐性を強めることは,二次予防である。
⑤ 職場復帰する従業員に対する職場環境を整備することは,二次予防である。
【解説】正解① 青本148ページ職業病とメンタルヘルスからの出題です。出題頻度の高い問題です。
一次予防(発生の予防)
個々人の予防段階であり、強いストレスを避け、心のヘルスメーターを持つ、ストレス耐性を強める、気分転換を図るなどを心がけることである。
二次予防(早期発見、早期治療)
従業員のサインを読み取り、相談や治療を早期に行える状況をつくるという組織の対策である。日常から、メンタルヘルスの啓蒙、職場の環境づくり、相談体制の整備に努めることが重要である。
三次予防(職場復帰)
職場復帰する従業員に対する職場環境を整備することであり、職場の良好な人間関係の醸成、個々人の能力や意見の尊重、相談体制の整備・充実が活動内容となる。
①○
②早期発見は二次予防です。×
③メンタルヘルスの啓蒙は発生の予防なので一次予防です。×
④ストレスの耐性を強めるのは発生の予防なので一次予防です。×
⑤職場復帰は三次予防です。×
設問Ⅰー1-32
リスクコミュニケーションに関する次の(ア)~(オ)の記述のうち,適切なものの数はどれか。
(ア)リスクコミュニケーションの目的には,リスクの発見及びリスクの特定のための収集が含まれる。
(イ)受け手側には様々なバイアスがかかるため,受け手によらない一律の広報が重要となる。
(ウ)リスクの対象にはネガティブな側面があることも公正に伝え,事象の正負両面を考慮してリスクの社会的受容を判断できる材料を提供する。
(エ)対人的な媒体は注意喚起型のリスクコミュニケーション,マスコミは合意形成型のリスクコミュニケーションに適している。
(オ)リスクコミュニケーションでは,過程,対応経緯,対応者などのコミュニケーションのプロセス,内容,結果を記録し,保存することが必要である。
① 1 ② 2 ③ 3 ④ 4 ⑤ 5
【解説】正解③ 青本140ページリスクコミュニケーションからの出題です。出題頻度の高い問題です。
(ア) ○ (イ) 一律の広報ではなく、受け手を考えて広報が重要となる。× (ウ) ○
(エ) 対人的な媒体は合意形成型のリスクコミュニケーション、マスコミは注意喚起型のリスクコミュニケーションに適しています。 (オ) ○
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