「技術士の最高峰」とも呼ばれる、総合技術監理(総監)部門の二次試験。その最大の難関が、制限時間内に膨大な文字数を書き上げなければならない「筆記試験(論文)」です。
「専門的な知識をどれだけ詰め込めば合格できるのだろう…」と不安に思っていませんか?
実は、総監部門の論文で本当に求められているのは、高度な専門知識ではありません。大切なのは、全体を見渡す「管理職としての視点」と、どんな問題にも対応できる「文章の組み立て方(アレンジ術)」です。
今回は、難しい専門用語を使わずに、総監論文を2時間で書き上げるための重要なポイントを分かりやすく解説します。
一般部門と「総監部門」の論文は何が違うのか?
まずは、総監部門の試験が、他の一般部門(建設や上下水道など)の試験とどう違うのかを理解しましょう。一言で言うと、「一人の技術者として現場を引っ張るか(一般部門)」、それとも「組織のリーダーとして事業全体をマネジメントするか(総監部門)」の違いです。
総監の論文では、主に以下の2つのポイントが厳しくチェックされます。
- 専門技術の話は不要(むしろNG): 「最新の工法を用いて、このように頑丈に作ります」といった、専門的すぎる技術の話は総監の論文には求められていません。
- 求められるのは「トレードオフの解消」: トレードオフとは、「あっちを立てれば、こっちが立たず」という矛盾した状態のことです。例えば、「安全性を極限まで高めたいけれど、そうすると予算(コスト)が足りなくなる」といった問題です。このような対立する課題を、リーダーとしてどうやってバランスを取りながら解決(調整)していくか、そのプロセスをアピールすることが合格への必須条件となります。
論文を迷わず書くための「5つの管理」
総監試験では、事業を円滑に進めるために「5つの管理」というフレームワーク(思考の枠組み)が定義されています。論文を書くときは、常にこの5つの視点を行き来しながらストーリーを展開していきます。
【総監における「5つの管理」とは?】
- 経済性管理: 予算(コスト)の削減や、工程(スケジュール)の管理、品質の確保。
- 人的資源管理: メンバーの配置、教育・育成、モチベーションの向上、安全衛生。
- 情報管理: 機密情報の漏洩防止、社内での情報共有、データの適切な活用。
- 安全管理: 事故の防止、労働災害の削減、リスクへの事前対策。
- 社会環境管理: 環境破壊の防止、廃棄物の削減、地域社会への配慮(環境保全)。
論文を2時間で書き上げるためには、この5つの要素をあらかじめ「自分なりの型(テンプレート)」に当てはめておくことが重要です。
どのような問題が出題されても、「この問題における経済性管理の課題はこれ、安全管理の課題はこれ」と、機械的に当てはめてアレンジ(使い回し)していくことで、本番中に「何を書こうか」と迷う時間をゼロにすることができます。
総監論文で絶対にやってはいけない「一発アウト」のNG表現
どれだけ立派な文章が書けていても、次のポイントを破ってしまうと、それだけで不合格(一発アウト)になってしまう可能性が高くなります。
- 「一担当者の目線」で書いてしまう: 「私は現場で〇〇の作業を行いました」という作業者目線の書き方はNGです。「プロジェクト全体の統括責任者(マネージャー)」としての目線を崩さず、「〇〇の管理体制を構築し、組織全体に徹底させた」という書き方を意識してください。
- 5つの管理が「2つ」しか登場しない: 問題の設定上、すべての管理を均等に書くのが難しい場合もありますが、一部の管理(例:経済性と安全だけ)に偏りすぎると、「総合的な監理能力がない」とみなされます。薄くでも良いので、必ず5つの視点すべてに触れるようにしましょう。
まとめ:総監試験は「思考のフレームワーク」さえ掴めば怖くない
総監部門の論文対策で最も大切なポイントをまとめます。
- 高度な専門知識ではなく、全体を俯瞰する「マネージャーの視点」を持つ
- 「あっちを立てればこっちが立たず(トレードオフ)」をどう解決するかを書く
- 「5つの管理」をベースにした自分だけの文章テンプレートを事前に作っておく
- どんなテーマが出題されても、テンプレートに合わせて「暗記&アレンジ」で乗り切る
総監試験は、決まった「ルール」と「型」に沿って正しく日本語を並べるゲームのようなものです。難しく考えすぎず、まずは「5つの管理」という眼鏡をかけて、ご自身のこれまでの仕事を振り返ることから始めてみてください。応援しています!


