技術士試験の最高峰とも言われる「総合技術監理部門(以下、総監)」。その合格率の低さや試験範囲の広さから、「自分にはまだ早い」「どれだけ勉強しても受かる気がしない」と圧倒されている受験生は少なくありません。
しかし、断言します。
総監は簡単です。
こう言うと「そんなわけがない」「現に何年も落ち続けている」と反論したくなるかもしれません。ですが、不合格を繰り返している人の大半は、実力が足りないのではなく「難しく考えすぎている」だけなのです。
本記事では、総監の本質を徹底的にシンプルに解き明かし、難解な罠から抜け出して一発合格を掴むための考え方と具体的なステップを解説します。
総監=最難関という誤解!「簡単に考えたヒト」が勝つ理由
難しく考えすぎて自滅する不合格者のパターン
総監に落ちてしまう人は、非常に勉強熱心で真面目な方に多いのが特徴です。
彼らは「総監=最高峰の資格」と思い込むあまり、以下のような行動に走ってしまいます。
■『青本(技術士総合技術監理部門 キーワード集)』の重箱の隅をつつくようなマニアックな専門用語をすべて暗記しようとする。
■論文試験で、自分のこれまでの輝かしい実績や、最新の高度な技術論をこれでもかと詰め込もうとする。
■5つの管理(経済性、人的資源、情報、安全、社会環境)を複雑に絡め合わせ、自分でも着地点が分からない難解なストーリーを展開してしまう。
これらはすべて「難しく考えているヒト」の典型例であり、自滅への道です。採点官が求めているのは、あなたの「博識ぶり」や「スーパーマンのような技術力」ではありません。
総監で問われるのは「暗記力」よりも「管理の思考力」
総監のステージに上がると、一次試験や一般部門の二次試験のような「知識の量(暗記力)」の重要度は下がります。代わりに問われるのが「思考力」であり、具体的には「全体最適化のためのトレードオフ(二律背反)の解決能力」です。
総監の試験は、あなたに「完璧な正解」を求めていません。
「Aを立てればBが立たず」という業務上のジレンマ(トレードオフ)に対して、総監の視点(5つの管理)を用いて、どのように整理し、どのようなプロセスで改善・意思決定を行うかという「考え方の枠組み」を見ているのです。
総合技術監理部門を攻略するためのシンプル思考法
総監をシンプルに捉えるために、まずはその構造を視覚的に理解しましょう。
【図1】総監の本質:トレードオフの調整(図のイメージ)
以下の図は、総監の思考フレームワークを表したイメージ図です。
【 総合技術監理(全体最適) 】
▲
/ \
/ \
[トレードオフの発生] [5つの管理でバランス調整]
/ \
▼ ▼
【 利益・納期 】 ◀━対立━▶ 【 安全・品質 】
(経済性管理など) (安全・社会環境管理など)
5つの管理を複雑に絡み合わせない
総監の基本である「5つの管理」は、それぞれを独立した「引き出し」としてシンプルに整理することが大切です。これらを無理にすべて同時に成立させようとすると、論文の論理が破綻します。
まずは、それぞれの管理が何を目的としているのか、下記の表で頭を整理してください。
【表1】5つの管理の目的とシンプルな視点
| 管理分野 | 本質的な目的(何のための管理か?) | 論文で書くべきシンプルな視点 |
| ① 経済性管理 | コスト、品質、納期(QCD)の最適化 | 予算内で、納期通りに、一定の成果を出す |
| ② 人的資源管理 | 組織の人員の能力発揮と配置の最適化 | 適材適所、教育、モチベーションの向上 |
| ③ 情報管理 | 情報の共有、活用、セキュリティの確保 | 秘密漏洩を防ぎつつ、必要な情報を迅速に共有する |
| ④ 安全管理 | 事故、災害、労働災害の防止とリスク低減 | 働く人と周辺住民の命と安全を第一に守る |
| ⑤ 社会環境管理 | 外部環境(自然、地域社会)への負荷低減 | 排出物や騒音を抑え、地球や地域と共生する |
論文を書く際は、この5つの要素をパズルのように組み合わせるだけです。
「今回の課題では、①経済性(早期工期)を優先すると、④安全(作業員の疲労)に問題が出る。だから〇〇という対策を講じてバランスを取る」
これだけで、総監の論文としての骨子は100%完成します。難解な専門用語でカモフラージュする必要は一切ありません。
問題文の日本語が正しく読めれば、答えは自ずと見えてくる
総監合格のために最も必要な能力は、技術的な知識ではなく「日本語の読解力」です。
不合格になる論文のほとんどは、問題文の要求(問い)に対して、正しくキャッチボールができていません。
出題者は問題文の中で「〇〇について、あなたの立場から5つの管理の視点で課題を抽出せよ」と指定しています。これに対して、
■指定された「立場」からブレずに書く
■指定された「5つの管理の視点」を網羅して書く
■自分の書きたいことではなく、問われた「課題」を書く
この当たり前のルールを徹底するだけで、上位の合格ラインに滑り込むことができます。合格しないのは、知識が足りないからではなく、ただ問題文の日本語を素直に読めていないだけなのです。
総監の論文・択一で確実に点数を積み上げるステップ
では、具体的にどのようなステップで勉強を進めれば、最短で合格できるのでしょうか。
総監合格への最短3ステップ
【STEP 1】 模範解答の「型」を入手・理解(暗記)
▼
【STEP 2】 5つの管理の引き出しをシンプルに整理
▼
【STEP 3】 初見の問題に「型」を当てはめてアレンジ(実践)
模範解答のパターンを頭に叩き込む(TTPの実施)
総監の論文対策として最も効果的なのは、「自分でゼロから論文を書かないこと」です。
まずは合格レベルの模範解答を入手し、それをじっくりと読んで「どのような論理展開になっているか」を理解し、そのまま暗記してください(これを当講座ではTTP=徹底的にパクる、と呼んでいます)。
野菜の切り方に「輪切り」「千切り」「乱切り」という型があるように、総監の論文にも「課題の抽出」「トレードオフの提示」「解決策の提示」という絶対的な「型(パターン)」が存在します。
自分で悩んで拙い文章をひねり出す時間は無駄です。すでに完成している一流の「型」を頭の中にいくつかストックしてください。そのストックの数が一定数を超えたとき、本番でどのような変化球(初見の問題)が飛んできても、「あ、これはあの型の組み合わせで解けるな」と、パズルのようにアレンジしてスラスラ書けるようになります。
まとめ:肩の力を抜いて「総監の視点」を手に入れよう
総監は、決して雲の上の存在ではありません。
「難しい試験だ」という先入観を捨て、まずは肩の力を抜いてみてください。
合格に必要なのは、
■努力(知識の詰め込み)ではなく「要領(考え方)」
■減点されないための「素直さ(日本語を正しく読む力)」
■ゼロから生み出さない「効率(模範解答のコピー&アレンジ)」
この3つです。
もしあなたが今、「勉強しているのに受からない」と壁にぶつかっているのなら、それはあなたの能力のせいではなく、不合格になる「考え方」を選んでしまっているからかもしれません。
考え方を変えれば、行動が変わります。行動が変われば、結果(合格)は確実に付いてきます。シンプルで要領の良い「総監の思考」を手に入れて、一気に合格を掴み取りましょう!


