令和7年度総合技術監理部門の筆記試験【雑感】

ホーム » ブログ » 令和7年度総合技術監理部門の筆記試験【雑感】
目次

はじめに

令和7年7月20日に技術士総合技術監理部門の筆記試験が行われました。
1週間後に試験問題と択一式試験の正答が発表されました。
内容を見て驚きました。
今年は総合技術監理キーワード集の「総合技術監理が必要とされる背景」が変更されたので、試験では何らかの変化があることは予想していました。
予想はしていましたが、ここまで変わるのものかと唖然としました。

11月4日に筆記試験の合格発表がありました。
受講生からの合否の報告がありました。
合格者からは再現論文と択一式試験の点数を教えて頂きました。
再現論文を読んでみると「予想通り」の出来栄えでした。

結論を簡単に言えば「択一式試験は簡単になった。記述式試験は難しくなった。」ということです。
「記述式試験が難しくなった。」と言っても、難易度が上がったということではありません。
何を書いていいのかわからない受験生が大勢いたということです。

今回は令和7年度総合技術監理部門の筆記試験について「雑感」を語っていきたいと思います。

参考:日本技術士会

択一式試験

令和7年度の択一式試験の傾向は高得点を取った受験生が多かったということです。
中には80%以上の得点を取れた方もかなりいました。
択一式試験が苦手で毎年60%以下の得点でしたが、今年は60%以上得点できて合格しましたという方もいました。

結論をいえば

合格者は択一式試験で60%以上得点している。
合格者で択一式試験の得点が60%以下の人はいない。

ということです。
択一式の問題は例年と比べ極端に純粋な知識だけを求めているものがなくなっています。
知識を問う問題もありますが、キーワードの意味や目的、趣旨、あり方、内容などを理解しているか、もしくは理解した上で覚えているかを問われています。
令和7年度択一式試験では以下の能力を問われています。

もちろん令和7年度以前もこのような能力は必要でした。
令和7年度は例年と比べて極端にこの5つの能力を問われるようになりました。

ここで1つ認知力について説明します。
総合技術監理部門の技術士に求められる認知力とは以下になります。

例題を1つあげましょう。

令和7年Ⅰ-1-29
インフラ老朽化について,国土交通省は,所管する河川管理施設,下水道管路(管渠・マンホール),道路橋,道路トンネル,道路附属物等の点検結果等を公表している。インフラ老朽化対策に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。
① 国土交通省が所管するインフラのうち,2023年3月において,建設後50年以上経過する施設の割合が最も高いのは下水道管渠である。
② インフラの将来の維持管理・更新費は,事後保全の考え方を基本とするよりも,予防保全の考え方を基本とする方が少ないと推計されている。
③ 点検・診断の結果に基づき,必要な対策を実施し,得られた施設の状態や対策履歴等の情報を記録し,次期点検・診断等に活用するという,メンテナンスサイクルを構築し, インフラ機能の確実かつ効率的な確保を図ることが必要である。
④ 人口減少,地球温暖化等の進展が見込まれる中,インフラに求められる役割や機能も変化していくと考えられ,老朽化対策の検討で,各施設が果たしている役割や機能を再確認したうえで,施設の必要性自体を再検討することが必要である。
⑤ 維持管理コストを軽減するため,新設・更新時には,維持管理が容易かつ確実に実施可能な構造を採用する等,合理的な対策を選択することが必要である。

②~⑤は老朽化対策の必要性や有効性について、総合技術監理部門の技術士としてその問題を正しく認知しているかを問われています。
①は下水道管渠についての知識の問題です。知っていても知らなくても、総合技術監理部門の技術士としてはどうでもいい知識です。
ネットで検索をすれば分かる問題です。
総合技術監理部門の技術士として必要な資質能力を確認する選択肢なのか否かを考えられれば不適切が分かる問題です。
総合技術監理部門の技術士としての役割と任務を理解し、それに基づいた判断や行動を行うことができる能力があれば正解できる問題です。

総合技術監理部門の択一式試験では問題を読んで、この問題は「知識力」を試されているのか、「常識力」を試されているのか、「読解力」を試されているのか、「認知力」を試されているのか、「想像力」を試されているのかを考えてください。

詳しくは「令和8年度技術士総合技術監理部門受験対策資料」で解説しています。
こちらを参考にしてください。

記述式試験

以下に令和7年度総合技術監理部門の問題です。
重要な文言は赤字で着色しました。
その中でも特に重要な個所は太字にしました。

おそらく大半の方はこの部分の意味が分からいと考えています。

次の問題について解答せよ。(指示された答案用紙の枚数にまとめること。)

 我が国は,先進国の中で最も早く少子高齢化が進行しており,既に少子化と高齢化に伴う様々な課題が顕在化している課題先進国である。少子化の状況として,令和6年の出生数は70万人を割り込み,過去最少を更新し今後さらに減少する可能性が高いと指摘されている。一方,高齢化については,令和6年10月現在65歳以上人口が総人口に占める割合(高齢化率)が29.3 %に達し,今後も伸び続けると推測されている。このような少子化,高齢化の両面の進行により,生産年齢人口(15~64歳)は,平成7年の8,700万人余をピークとして令和6年には7,300万人余まで減少し,引き続き総人口と併せて減少傾向が続くと見込まれている。

 少子高齢化の進行は,我が国経済の供給面と需要面の双方にマイナスの影響をもたらし,我が国の中長期的な経済成長を阻害する可能性がある。少子高齢化という構造的な課題に対し,従前から一億総活躍社会の実現に向けた「働き方改革実行計画」の推進,「全世代型社会保障構築会議」「こども未来戦略会議」の開催など,我が国として総合的な推進のための取組が進められてきた。これらの国策と共に企業等においても,労働生産性の向上,多様な労働力の確保などの対応が急務となっている。したがって,少子高齢化に伴う課題と施策について,総合技術監理の視点に立って検討を行うことは重要であると考えられる。

 そこであなたがこれまでに経験した,若しくはよく知っている事業(研究開発・製品製造・販売等の業務機能の集合体としての事業,個々のプロジェクトの集合体としての事業,国・地方公共団体の事業等が代表例である。)や組織(役所や法人の全体とすることも,個々の部署や事業部等とすることもできる。)を1つ取り上げ,その目的や創出している成果物等を踏まえ,少子高齢化に伴う課題と施策について,総合技術監理の視点から以下の(1)~(2)の問いに答えよ。さらに,取り上げた事業や組織の枠を超え,少子高齢化に伴う諸課題に対して我が国において取るべき施策について,以下の(3)の問いに答えよ。

 解答に当たり,事業や組織について,関連するステークホルダーや他組織との連携を含めてもよい。また,ここでいう総合技術監理の視点とは,トレードオフに留意しながら,「業務全体を俯瞰し,経済性管理,安全管理,人的資源管理,情報管理,社会環境管理に関する総合的な分析,評価に基づいて,最適な企画,計画,実施,対応等を行う。」立場からの視点をいう。なお,書かれた論文を評価する際,考察における視点の広さ,記述の明確さと論理的なつながり,そして論文全体のまとまりを特に重視する。
 
(1)本論文においてあなたが取り上げる事業や組織の内容と,そこにおけるこれまでの少子高齢化への対応状況について,以下の問いに答えよ。
(問い(1)については答案用紙1枚以内にまとめよ。)
① 事業や組織の内容として,名称,目的,及び創出している成果物(製品・構造物・サービス・技術・政策等)を記せ。
② この事業や組織において,少子高齢化に伴う現在顕在化している課題とそれに対して既に実施している施策を1つ取り上げ,以下の項目をすべて含む形で記せ。
・具体的な課題と施策の内容
・その施策により期待できる効果
③ ②で取り上げた施策の問題点を記せ。

(2)この事業や組織において,少子高齢化に伴い近い将来(おおむね5年以内)に想定される課題とそれに対して導入すべきと考える施策の組合せを2つ取り上げ,それぞれについて以下の問いに答えよ。なお,想定する時期までに事業や組織の内容や形態そのものが変化することを踏まえて解答しても構わない。
(問い(2)については答案用紙を替えたうえでまず1つ目の課題と施策について1枚以内にまとめ、さらに答案用紙を替えたうえで2つ目の課題と施策について1枚以内にまとめよ。)
① 具体的な課題と施策の内容を記せ。
② ①で記述した施策の実現により事業や組織にもたらされる効果を,理由と共に記せ。
③ ①で記述した施策を実現するうえで直面する障害とその克服策を総合技術監理の視点から記せ。ただし,2つの施策それぞれについて,総合技術監理の5つの管理分野のうち2つ以上の視点を含むこととし,異なる総合技術監理分野のトレードオフに留意すること。また,解答欄にはどの分野の視点であるかを明記すること。

(3)我が国における少子高齢化に関する課題と,あなたが有効と考える施策の組合せを2つ取り上げ,それぞれについて以下の問いに答えよ。なお,問い(3)では,事業や組織の枠を超え,我が国が解決すべき課題と施策の観点から解答すること。ここで,課題を限定せず,少子高齢化の進行そのものを広く課題として設定してもよい。
(問い(3)については答案用紙を替えたうえでまず1つ目の課題と施策について1枚以内にまとめ、さらに答案用紙を替えたうえで2つ目の課題と施策について1枚以内にまとめよ。)
① 取り上げる少子高齢化に関する課題とあなたが有効と考える施策を記せ。
②  ①で記述した施策に関し,想定する今後の世界情勢の変化,技術革新の進展,経済財政政策や厚生労働政策の動向,予算の制約等の背景を含めて,その有効性と実現性について記せ。
③  ①で記述した施策を実現するうえでの最も重大な障害とその克服策を複数の視点に留意して記せ。なお,複数の視点には,総合技術監理の視点に限らず,我が国が直面する重要課題等の視点を含めて記述してもよい。

設問(3)が一番の難所です。
まず「事業や組織の枠を超え」と書かれています。
ここで明らかに「事業」や「組織」について言及すれば確実に不合格です。
「事業」や「組織」に言及していなければ、合格点に近い点数は取れると思います。
ここで高得点を取ろうと思えば、我が国のことを書かなければなりません。
では「我が国」とはなんでしょうか?
答えは「三権」です。

正確には「立法」「行政」「司法」になります。

立法
 国会が法律を制定する作用を指します。内閣の政令や最高裁判所の規則、地方公共団体の条例制定も含まれます。
行政
内閣が法律に基づいて公共サービスを実行する作用です。国の機関や公共団体が法規に従って業務を遂行します。
司法
 裁判所が法を適用して争いを解決する作用です。法律違反を裁くことも含まれます。

ここでは「司法」は関係ないと思われます。
関係あるのは「立法」と「行政」になります。
特に「立法」が重要です。
どのような法律を整備するのかについて言及します。
少子高齢化に関する課題を解決する法律を定めることです。
そのことについて言及すれば高得点が得られと考えています。

詳細については令和8年度技術士総合技術監理部門受験対策資料で言及しています。

令和7年度の試験で難しいことは、「我が国の定義」を正しく認識しているか否かになります。
その上で、どのような法律が必要かということを常日頃から考えているか否かになります。
来年度以降もこのような出題があると考えています。
受講生の再現を読む限り正確にこの点に言及している人はいませんでした。
もし来年度の試験を少しでも有利に進めたいのであれば、この点について常日頃から考えなければなりません。
総合技術監理部門に合格したければ、正しい考え方をみにつけることです。

メルマガ登録はこちらから

Follow

技術士受験といえば「横浜すばる技術士事務所」
これを読むだけで、
合格する論文が
書けるようになる!

よかったらシェアしてね!

この記事を書いた人

横浜すばる技術士事務所代表
技術士(建設部門ー施工計画、施工設備及び積算) (総合技術監理部門)
あなたの技術士合格を応援します。

目次