「技術士の資格を取りたいけれど、どのような手順を踏めばいいのか分からない」
「一次試験と二次試験、それぞれどんな受験資格が必要?実務経験の数え方は?」
「最短で技術士になるための効果的なルートを知りたい」
日本の科学技術界における最高峰の国家資格である「技術士」。その社会的ステータスや評価は非常に高い一方で、資格取得までの道のりが複雑で分かりにくいと感じている方も多いのではないでしょうか。
技術士になるためには、単に試験に合格するだけでなく、「修習技術者」の要件を満たし、所定の「実務経験」を積み、さらに二次試験に合格した後に「登録手続き」を行うという、長期的なプロセスが必要となります。
この記事では、技術士二次試験対策の専門講座「Yokosuba技術士受験講座」を運営する横浜すばる技術士事務所が、技術士になるまでの全体像、一次試験・二次試験の概要と受験資格、最短で合格するための具体的なルート、そして合格後の登録手続きまでを網羅して徹底解説します!
Contents
技術士になるまでの全体プロセス(ロードマップ)
技術士になるための道のりは、大きく分けると「①修習技術者になる」「②実務経験を積む」「③第二次試験に合格する」「④技術士登録を行う」という4つのステップで構成されています。
まずは、全体像を視覚的に把握しましょう。
【図解】技術士取得までの2大ルート
【ルートA:技術士一次試験 合格ルート】
どなたでも受験可能
▼
技術士一次試験に合格
▼(修習技術者となる)
実務経験を積む(4年~7年 ※指導者の有無による)
▼
技術士二次試験を受験・合格
▼
技術士登録 ➡ 【技術士 誕生!】
【ルートB:JABEE認定課程 修了ルート】
JABEE(日本技術者教育認定機構)が認定した大学等の課程を修了
▼(自動的に修習技術者となる/一次試験免除)
実務経験を積む(4年~7年 ※指導者の有無による)
▼
技術士二次試験を受験・合格
▼
技術士登録 ➡ 【技術士 誕生!】
技術士二次試験を受験するためには「修習技術者」になることが必須
技術士の最終関門である「第二次試験」を受験するためには、まず前提として「修習技術者(しゅうしゅうぎじゅつしゃ)」というステータスを得る必要があります。
修習技術者とは、「技術士となるのに必要な科学技術に関する専門的専門知識・応用能力を身につけるための修習を行っている者」を指します。
修習技術者になる方法は、以下の2つしかありません。
1.技術士一次試験に合格する
2.文部科学大臣が指定した教育課程(JABEE認定課程)を修了する
指定された教育課程(JABEE認定課程)とは?
技術士法第31条の2第2項において、「大学その他の教育機関における課程であって科学技術に関するもののうち、その修了が第一次試験の合格と同等であるものとして文部科学大臣が指定したもの」と定められています。
具体的には、日本技術者教育認定機構(JABEE:Japan Accreditation Board for Engineering Education)が認定した大学の工学部などの学科・課程を卒業すると、技術士一次試験が「免除」され、卒業と同時に自動的に「修習技術者」となります。
自分が卒業した、あるいはこれから通う大学の学科が指定されているかどうかは、日本技術士会のホームページやJABEEの公式サイトで確認することができます。もし対象の課程を修了していれば、一次試験をスキップして二次試験への実務経験カウントを開始できるため、非常に有利なスタートを切ることができます。
技術士一次試験の概要
JABEE課程を修了していない場合は、まず「技術士一次試験」の合格を目指します。この試験は、二次試験の受験資格(修習技術者)を得るための登竜門です。
一次試験の基本情報
技術士一次試験は、年齢や学歴、実務経験による制限が一切ありません。極端に言えば、高校生や文系出身の方、他業種の方でも誰でも受験することができます。
| 項目 | 概要 |
| 受験申込書配布 | 6月上旬 |
| 受験申込受付期間 | 6月中旬~下旬 |
| 筆記試験日 | 11月下旬 |
| 合格発表 | 翌年2月下旬 |
| 試験地 | 北海道、宮城県、東京都、神奈川県、新潟県、石川県、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、沖縄県 |
| 受験資格 | 制限なし(年齢・学歴・業務経歴不問) |
試験科目と出題形式
一次試験はすべてマークシート形式(五肢択一式)で行われます。試験科目は以下の3つです。
1.基礎科目:科学技術全般にわたる基礎知識を問う問題(設計・計画、情報・論理、解析、材料・化学・バイオ、環境・エネルギー・技術史など)
2.適性科目:技術士法第四章(技術士等の義務・倫理)の規定の遵守に関する適性を問う問題
3.専門科目:受験者があらかじめ選択する「1技術部門」に係る基礎知識及び専門知識を問う問題(機械、電気電子、建設、上下水道など20技術部門から選択)
合格基準は、それぞれの科目で50%以上の得点を獲得することです。どれか一つでも50%未満があると不合格になってしまうため、バランスよく対策する必要があります。
技術士補への登録について
一次試験に合格すると、「修習技術者」になると同時に、「技術士補(ぎじゅつしほ)」になる資格を得ることができます。
ただし、試験に合格しただけでは「技術士補」を名乗ることはできません。有資格者が「指導技術士」を定めて日本技術士会に登録手続きを行うことで、初めて技術士補の名称を使用できるようになります。この登録が、後述する二次試験の「実務経験期間の短縮(4年ルート)」において重要な意味を持つ場合があります。
試験の一部免除制度
特定の資格や、すでに他の部門の技術士資格を持っている場合、一次試験の一部科目が免除されます。
■他部門の技術士二次試験合格者
同一部門で一次試験を受ける場合:基礎科目・専門科目が免除(適性科目のみ受験)
別部門で一次試験を受ける場合:基礎科目が免除(適性科目・専門科目を受験)
※一次試験に合格すれば、その後はすべての技術部門の二次試験が受験可能になるため、通常は最も免除が多い「A(同一部門)」で申し込むのが鉄則です。
■中小企業診断士の登録者(一定の要件を満たす方)
経営工学部門を受験する場合:専門科目が免除
■情報処理技術者試験の高度試験合格者・情報処理安全確保支援士
情報工学部門を受験する場合:専門科目が免除
(対象試験:ITストラテジスト、システムアーキテクト、プロジェクトマネージャ、ネットワークスペシャリスト、データベーススペシャリスト、エンベデッドシステムスペシャリスト、ITサービスマネージャ、システム監査技術者)
技術士二次試験の受験資格と実務経験
技術士になるための最大の難関であり、同時に受験申込時の書類審査が最も厳しいのが「第二次試験」です。
二次試験を受験するためには、規定の「実務経験(業務経歴)」を満たしている必要があります。
3つの受験経路と必要な実務期間

実務経験の数え方には、大きく分けて3つの経路(ルート)があります。「一般部門(総合技術監理部門を除く20部門)」と「総合技術監理部門」で必要な期間が異なります。
| 受験経路 | 概要・条件 | 一般部門(20部門) | 総合技術監理部門 |
| 経路① 技術士補ルート | 技術士補として登録した日以降、指導技術士の下で補助業務を行った期間 | 4年を超える期間 | 7年を超える期間 |
| 経路② 監督者指導ルート | 一次合格(JABEE修了)後、優れた監督者(※)の下で実務に従事した期間(技術士補登録は不要) | 4年を超える期間 | 7年を超える期間 |
| 経路③ 実務経験ルート | 科学技術に関する業務に従事した総期間(一次合格前の期間も合算可能、指導者は不問) | 7年を超える期間 | 10年を超える期間 |
※経路②における「優れた監督者」とは、上司やプロジェクトリーダーなど、受験者の業務を実質的に指導・監督する立場にある人を指します(必ずしも技術士である必要はありません)。
※総合技術監理部門を受験する場合で、既に他の技術部門の技術士である場合は、経路③の期間が「7年を超える期間」に短縮されます。
どのルートを選ぶべきか?「7年ルート(経路③)」が主流の理由
以前は「技術士補に登録して4年実務を積む(経路①)」が王道とされていましたが、現在は「一次試験合格前からの経験をすべて合算できる7年ルート(経路③)」を選ぶ受験生が圧倒的多数を占めています。
例えば、大学卒業後にエンジニアとして5年間働いたのち、一次試験に合格した場合:
■経路①・②の場合:一次合格「後」にさらに4年の実務が必要(トータル9年)
■経路③の場合:一次合格前の5年+合格後の2年=トータル7年で受験可能!
このように、ご自身のこれまでのキャリア(業務経歴)を棚卸しし、どの経路が最も早く受験資格を満たせるかを計算することが重要です。
技術士二次試験の概要と日程
受験資格を満たしたら、いよいよ二次試験に挑みます。二次試験は「筆記試験」と「口頭試験」の2段階選抜となっています。
二次試験の年間スケジュール
二次試験は1年がかりの長期戦です。春の申し込みから翌年春の合格発表まで、計画的な学習が求められます。
4月上旬~中旬 : 受験申込書の配布・受付(※業務経歴書の提出)
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7月中旬 : 筆記試験(総合技術監理部門・一般部門)
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10月末~11月上旬: 筆記試験の合格発表
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12月上旬~1月中旬: 口頭試験(筆記試験の合格者のみ)
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3月中旬 : 最終合格発表
筆記試験の内容(論文試験)
マークシートだった一次試験とは異なり、二次試験の筆記試験はすべて記述式(論文形式)です。
与えられた課題に対し、技術者としての資質(コンピテンシー)を示す論文を、制限時間内に数百字~数千字のボリュームで書き上げなければなりません。
■必須科目(Ⅰ):技術部門全般にわたる現代的な課題(一例:DX、カーボンニュートラル、人手不足など)に対する総合的な提案力を問う。
■選択科目(Ⅱ):選択した専門分野における専門知識、および業務遂行能力(計画、設計、対策など)を問う。
■選択科目(Ⅲ):選択した専門分野における課題解決能力、および応用能力を問う。
口頭試験の内容(面接試験)
筆記試験を突破した人のみが進める最終面接です。時間は約20分間で、主に以下の内容について厳しく問われます。
■受験申込時に提出した「業務経歴書」および「実践的業務の詳述」の内容に関する質疑応答
■技術士としての資質(コミュニケーション、リーダーシップ、評価、マネジメント能力)の確認
■技術者倫理の理解と遵守、CPD(継続研鑽)への取り組み姿勢
口頭試験の合格率は約80%と高めですが、油断は禁物です。提出した業務経歴書と整合性の取れた、論理的かつ説得力のある受け答えの練習が不可欠です。
最終関門「技術士登録」の手続き
厳しい二次試験の口頭試験を通過し、合格通知を受け取っても、まだ終わりではありません。
技術士法により、「技術士登録簿に登録を受けなければ、技術士の名称を使用してはならない」と定められています。
合格した状態はあくまで「技術士となる資格を有する者(有資格者)」であり、登録前に名刺に「技術士」と書いたり、口頭で名乗ったりすると技術士法違反として罰則(過料など)が適用されるため、絶対に避けてください。
登録手続きに必要な書類と費用
合格発表後、速やかに公益社団法人日本技術士会へ登録申請を行います。必要な主な書類と費用は以下の通りです。
| 準備するもの | 概要・備考 |
| 技術士登録申請書 | 様式第五号(必要事項を記入) |
| 技術士事務所に関する証明書 | 勤務先などを事務所とする場合に提出 |
| 同意書 | 会社等で技術士の名称を使用することに対する所属長の同意書 |
| 登録免許税 | 30,000円(収入印紙を申請書に貼付) |
| 登録手数料 | 6,500円(日本技術士会へ支払、非課税) |
申請から約1~2ヶ月後、自宅または勤務先に「技術士登録証」が届きます。これを受け取った瞬間から、晴れて正式に「技術士」として活動することができます。
【プロが伝授】最短で技術士になるための戦略的アドバイス
技術士になるまでには、早くても数年、長ければ10年以上の歳月がかかります。この長いプロセスを最短で駆け抜けるための重要な戦略を3つご紹介します。
学生・若手のうちに「修習技術者」の資格を確保する
大学のJABEE課程を修了するか、社会人1~2年目のうちに一次試験を合格しておきましょう。技術士を目指す上で「受験資格のスタートラインに早く立つ」ことは、のちの数年間のアドバイス(実務経験のカウント開始)に直結します。
日常の業務を「技術士の視点」で行う(業務経歴書の仕込み)
二次試験の合否を分ける最大の要因は、実は4月の申込時に提出する「業務経歴書」です。
単に「言われた作業をこなした」という経歴では合格できません。「自ら課題を発見し、複数の技術的選択肢を比較検討し、トレードオフを解決して成果を上げた」という技術士にふさわしい業務経験を、日頃から意識して積んでおく(そしてメモに残しておく)ことが最短合格の秘訣です。
独学に固執せず、信頼できる指導者・受験講座を頼る
二次試験の論文記述や口頭試験は、客観的な評価が非常に難しい試験です。自分の書いた論文のどこがダメなのか、独学では気づけないケースがほとんどです。
合格者のフィードバックを受けたり、論文添削を行う専門の受験講座を活用したりすることで、不合格を繰り返すリスクを回避し、1発合格の可能性を飛躍的に高めることができます。
まとめ
技術士になるまでのプロセスをもう一度振り返りましょう。
1.修習技術者になる(技術士一次試験に合格する、またはJABEE認定課程を修了する)
2.規定の実務経験を積む(ルートにより4年~7年超)
3.技術士二次試験に合格する(7月の筆記試験、冬の口頭試験を突破する)
4.日本技術士会に登録する(登録免許税などを納め、登録証を受け取る)
技術士への道は決して平坦ではありませんが、取得した後に得られる社内での評価、キャリアアップ、転職での有利さ、そしてエンジニアとしての揺るぎない自信は、それまでの苦労を遥かに上回る価値があります。
エンジニアとしてのステップアップを目指し、まずは今できる一歩(一次試験の準備、あるいはこれまでの実務経験の棚卸し)から始めてみませんか?
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