令和4年度技術士第一次試験問題の解説[建設部門]

駅前

令和5年度技術士第一次試験建設部門について問題を解説いたします。

次の35問題のうち25問題を選択して解答せよ。(解答欄に1つだけマークすること。)

目次

技術士一次試験建設部門の択一問題の解説:令和四年度設問Ⅲ-1

土粒子の密度をρs, 土の間隙比を e とするとき,土の乾燥密度ρd を算出する式として正しいもの
はどれか

正解は④

解説

土質力学では、次の公式を覚えておくと便利です。

乾燥密度

Pd Ps1+ePd= \frac{ Ps }{ 1 + e}

湿潤密度

Pt  (1+w)psdxPt = \frac{ (1 + w)ps}{ dx }

ポイントは「間隙比 eee が大きいほど土のすき間が増え、乾燥密度は小さくなるため、分母は 1+e1+e1+e になる」ということです。 これをイメージすると、試験でも公式を思い出しやすくなります。

技術士一次試験建設部門の択一問題の解説:令和四年度設問Ⅲ-2

境界条件,圧密層厚,透水係数,体積圧縮係数が下図に示すような 4 つの水平成層の飽和粘土地盤
a~d について,圧密に要する時間が同一となる地盤の組合せとして,適切なものはどれか。ただし,圧密
はテルツァーギの一次元圧密方程式に従うものとし,初期過剰間隙水圧は深さ方向に一様に分布するもの
とする。

① 地盤aと地盤b
② 地盤aと地盤c
③ 地盤aと地盤d
④ 地盤bと地盤c
⑤ 地盤bと地盤d

正解は④

解説

圧密時間はtHd2mvk\boxed{t\propto H_d^2\frac{m_v}{k}}

で考えます。

  • 片面排水 → 排水距離 = 層厚
  • 両面排水 → 排水距離 = 層厚の半分
  • 透水係数 kkk が大きいほど 圧密は速い
  • 排水距離2乗で効くため、問題では最も重要なポイントです。

この問題では、地盤bは「両面排水で層厚H」→排水距離H/2地盤cは「片面排水で層厚0.5H」→排水距離0.5Hとなり、どちらも排水距離が同じで透水係数・体積圧縮係数も同じなので、圧密に要する時間も同じになります。

技術士一次試験建設部門の択一問題の解説:令和四年度設問Ⅲ-3

土圧,支持力,基礎及び斜面安定に関する次の記述のうち,不適切なものはどれか。

① 地盤が構造物の荷重を支える能力を支持力という。
② 斜面のすべりに対する安全率の値を具体的に求める方法には,すべり面の形状を円形と仮定する円弧
すべり解析と,任意形状のすべり面を対象とした非円形すべり面解析がある。
③ テルツァーギの支持力公式にて使用される 3 つの支持力係数は,すべて無次元量で,上の粘着力の関
数である。
④ 擁壁などが前方に移動するときのように,士が水平方向に緩む方向で変形していくとき,水平土圧が
次第に減少して最終的に一定値に落ち着いた状態を主働状態という。
⑤ 杭基礎の支持形式は,大きく分けて支持杭及び摩擦杭の 2 つに分かれる。
正解は③

解説

テルツァーギの支持力公式はqu=cNc+γDfNq+12γBNγq_u=cN_c+\gamma D_fN_q+\frac12\gamma BN_\gamma

で表されます。
Nc​:支持力係数

NqN_qNq​:支持力係数

NγN_\gammaNγ​:支持力係数

はいずれも無次元量ですが、

これらは「土の内部摩擦角 ϕ\phiϕ の関数」であり、粘着力 ccc の関数ではありません。

つまり、「粘着力の関数である」という部分が誤りです。

技術士一次試験建設部門の択一問題の解説:令和四年度設問Ⅲ-4

下図に示すような直線すべり面 AB 上の土塊 ABC に対する安全率 E を求める式として,次のうち適
切なものはどれか。ここですべり土塊は奥行き 1m 幅を想定し,平面ひずみ条件を満足するものとする。
また,すべり面の勾配,長さをそれぞれα, I, 土の粘着力,内部摩擦角をそれぞ
れ c, φ,移動土塊 ABC の重量を W とし,モール・クーロンの破壊規準に従うものとする。

正解は⑤

解説

直線すべりの安全率は、次の3つを覚えておくと解きやすくなります。

  1. すべり力 WsinαW\sin\alpha
  2. 法線力 WcosαW\cos\alpha
  3. せん断抵抗力 cl+Ntanϕ=cl+Wcosαtanϕcl+N\tan\phi =cl+W\cos\alpha\tan\phi

したがって、安全率はFs=cl+WcosαtanϕWsinα\boxed{ F_s= \frac{cl+W\cos\alpha\tan\phi} {W\sin\alpha} }Fs​=Wsinαcl+Wcosαtanϕ​​

となり、「抵抗力(粘着力+摩擦力)÷すべり力」という形で覚えておくと、試験でも迷いにくくなります。

技術士一次試験建設部門の択一問題の解説:令和四年度設問Ⅲ-5

次の単純ばり AB への荷重の作用と曲げモーメント図の組合せのうち,誤っているものはどれか。
ただし,曲げモーメントは反時計回りを正とする。

正解は⑤

解説

等分布荷重ではせん断力は直線的に変化します。その積分である曲げモーメントは放物線(曲線)になります。しかし図ではV字形の直線で描かれています。これは集中荷重の曲げモーメント図です。

技術士一次試験建設部門の択一問題の解説:令和四年度設問Ⅲ-6

下図に示す長方形断面の各種断面諸贔に関する次の記述のうち,不適切なものはどれか。

① 高さ d を 2 倍,幅 b を 2 倍にすると,断面積は 4 倍になる。
② 幅 b を 2 倍にすると,図示の軸まわりの断面二次モーメントは 2 倍になる。
③ 高さ d を 2 倍,幅 b を 2 倍にすると,図示の軸まわりの断面二次モーメントは 16 倍になる。
④ 高さ d を 2 倍にすると,図示の軸に関する断面係数は 8 倍になる。
⑤ 高さ d を 2 倍にすると,図示の軸に関する断面二次半径は 2 倍になる。

正解は④

解説

断面係数Z=bd26Z=\frac{bd^2}{6}

高さだけ2倍なら(2d)2=4d2(2d)^2=4d^2

したがって4倍問題文は8倍となります

技術士一次試験建設部門の択一問題の解説:令和四年度設問Ⅲ-7

道路橋の床版に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。

① 床版の設計には L 荷重を用いる。この L 荷重は,車両の隣り合う車軸を 1 組の集中荷重に置き換えた
ものである。
② 床版のコンクリートと鋼桁との合成作用を考慮する場合,床版のコンクリートには一般に桁作用として
の応力と床版作用としての応力が同時に生じる。
③ 鋼床版とは,縦リブ,横リブでデッキプレートを補剛したものであり,鋼床版は縦桁,横桁等の床組構
造又は主桁で支持される。
④ 鋼コンクリート合成床版は,鋼板や形鋼等の鋼部材とコンクリートが一体となって荷重に抵抗するよう
合成構造として設計される。
⑤ 床版は,自動車輪荷重を直接支えるものであるため,その耐久性は輪荷重の大きさと頻度,すなわち大
型の自動車の走行台数の影響を大きく受ける。

正解は①

解説

床版の設計にはL荷重を用いますが、L荷重は道路橋全体の設計用活荷重であり、

「隣り合う車軸を1組の集中荷重に置き換えたもの」ではありません。

L荷重は、設計対象(床版・主桁など)に応じて集中荷重や等分布荷重を組み合わせた設計荷重として規定されています、したがって、この説明は不適切です。

技術士一次試験建設部門の択一問題の解説:令和四年度設問Ⅲ-8

鋼構造の一般的な特徴に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。

① 鋼材は曲げ・切断などの加工が可能であり,溶接あるいはボルトにより容易にほかの部材と接合できる
ため,補修・補強・構造的な改良に対応しやすい。
② 鋼材はさびやすいため,防食防錆対策が必要である。
③ 一般に薄肉構造であるため変形が小さく,動的荷重に対して振動・騒音を生じにくい。
④ 主として工場内で製作されるため,施工現場でのエ期が短い。
⑤ 一般に薄い板厚の鋼板を溶接によって組立てる薄肉構造となるため,コンクリート構造に比べて重量が
軽い。

正解は③

解説

鋼構造は薄肉・軽量であるため、剛性が小さくなりやすい振動しやすい騒音が発生しやすい、という特徴があります。つまり、

問題文の

「振動・騒音を生じにくい」

は逆で、実際は「生じやすい」ので誤りです。

技術士一次試験建設部門の択一問題の解説:令和四年度設問Ⅲ-9

道路橋示方書・同解説 I 共通編(平成 29 年 11 月)に規定される橋の限界状態に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。

① 限界状態とは,橋の耐荷性能を照査するに当たって,応答値に対応する橋や部材等の状態を区分する
ために用いる状態の代表点をいう。
② 橋の限界状態は,橋を構成する部材等及び橋の安定に関わる周辺地盤の安定等の限界状態によって代
表させることはできない。
③ 橋の限界状態 1 とは,橋としての荷重を支持する能力が損なわれていない限界の状態をいう。
④ 橋の限界状態 2 とは,部分的に荷重を支持する能力の低下が生じているが,橋としての荷重を支持す
る能力に及ぼす影響は限定的であり,荷重を支持する能力があらかじめ想定する範囲にある限界の状態
をいう。
⑤ 橋の限界状態 3 とは,これを超えると構造安全性が失われる限界の状態をいう。

正解は②

解説

実際には、

橋の限界状態は橋を構成する各部材基礎、支承周辺地盤

など、それぞれの限界状態によって橋全体の限界状態を代表させることができます。

技術士一次試験建設部門の択一問題の解説:令和四年度設問Ⅲ-10

コンクリートの材料に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。

① ポルトランドセメントには,普通,早強,超早強,中庸熱,低熱,耐硫酸塩の 6 種類がある。
② 混和材の中の膨張材は,コンクリートの乾燥収縮や硬化収縮等に起因するひび割れの発生を低減でき
る。
③ 細骨材は,清浄,堅硬,劣化に対する抵抗性を持ち化学的あるいは物理的に安定し,有機不純物,塩
化物等を有害量以上含まないものとする。
④ 混和剤の中の減水剤及び AE 減水剤は,ワーカビリティーを向上させ,所要の単位水量及び単位セメ
ント量を低減させることができる。
⑤ 練混ぜ水として海水を使用すると,鉄筋腐食,凍害,アルカリシリカ反応による劣化に対する抵抗性
が高くなり,長期材齢におけるコンクリートの強度増進が大きくなる。

正解は⑤

解説

海水には塩化物イオンが多く含まれています。そのため、海水を練混ぜ水に使用すると、
鉄筋腐食が促進される凍害や耐久性に悪影響を及ぼす場合がある長期的な強度の発現にも悪影響を与えることがある

つまり、問題文とは逆で、「抵抗性が高くなる」「長期強度が大きくなる」という記述が誤りです。

技術士一次試験建設部門の択一問題の解説:令和四年度設問Ⅲ-11

コンクリートに関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。

① コンクリートの強度は,一般に温度 20℃の水中での養生を行った材齢 28 日における圧縮強度を基準
とする。
② 引張強度は,圧縮強度の約 1/5 であって,この比は圧縮強度によらず一定である。
③ 自己収縮とは,セメントの水和反応により水が消費されることでコンクリートが縮む現象をいう。
④ クリープとは,持続荷重の場合,弾性ひずみに加えて時間の経過とともにひずみが増大する現象をい
う。
⑤ 静弾性係数には,初期接線弾性係数,割線弾性係数及び接線弾性係数がある。

正解は②

解説

圧縮強度の約1/10~1/13
(場合によっては約1/8程度)とされています。また、引張強度と圧縮強度の比は一定ではありません。圧縮強度が高くなるほど引張強度も増加しますが、比例して増えるわけではないため、比は変化します。

したがって、「約1/5」「比は一定」の2点が誤りです。

技術士一次試験建設部門の択一問題の解説:令和四年度設問Ⅲ-12

コンクリート構造物の劣化現象に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。

① 床版の疲労とは,道路橋の鉄筋コンクリート床版が輪荷重の繰返し作用によりひび割れや陥没を生じ
る現象をいう。
② 塩害とは,コンクリート中の鋼材の腐食が塩化物イオンにより促進され,コンクリートのひび割れや
剥離,鋼材の断面減少を引き起こす劣化現象をいう。
③ アルカリシリカ反応とは,骨材中に含まれる反応性を有するシリカ鉱物等がコンクリート中の酸性水
溶液と反応して,コンクリートに異常な収縮やひび割れを発生させる劣化現象をいう。
④ 凍害とは,コンクリート中の水分が凍結と融解を繰返すことによって,コンクリート表面からスケー
リング,微細ひび割れ及びポップアウト等の形で劣化する現象をいう。
⑤ 化学的侵食とは,酸性物質や硫酸イオンとの接触によりコンクリート硬化体が分解したり,化合物生
成時の膨張圧によってコンクリートが劣化したりする現象をいう。

正解は③

解説

実際には、アルカリシリカ反応(ASR)は、セメント中のアルカリ成分(Na、K)骨材中の反応性シリカ水分の3つがそろうことで発生します。

反応するとアルカリシリカゲルが生成され、このゲルが水を吸収して膨張するため、膨張網目状ひび割れ変形などが発生します。つまり、誤っている点は「酸性水溶液」ではない異常な収縮ではなく、異常な膨張という2点です。

技術士一次試験建設部門の択一問題の解説:令和四年度設問Ⅲ-13

公共交通に関する次の記述のうち,最も適切なものはどれか。

① デマンド交通は,利用者のニーズに応じて移動ができるように,登録を行った会員間で特定の自動車
を共同使用するものである。
② BRT は,連節バス,公共車両優先システム,自家用車混用の一般車線を組合せることで,速達性・定
時性の確保や輸送能力の増大が可能となる高次の機能を備えたバスシステムである。
③ コミュニティバスは,交通空白地域・不便地域の解消等を図るため,民間交通事業者が主体的に計画
し,運行するものである。
④ トランジットモールは,中心市街地やメインストリートなどの商店街を,歩行空間として整備すると
ともに,人にやさしい低公害車だけを通行させるものである。
⑤ グリーンスローモビリティは,時速 20km 末満で公道を走ることができる電動車を活用した小さな移
動サービスで,その車両も含めた総称である。

正解は⑤

解説

グリーンスローモビリティとは、時速20km未満電動車地域の小規模な移動サービスを指し、サービスと車両を含めた総称です。高齢者の移動支援や観光地などで活用されています。

技術士一次試験建設部門の択一問題の解説:令和四年度設問Ⅲ-14

国士計画に関する次の記述のうち,不適切なものはどれか。

① 全国総合開発計画は三次にわたり策定されており, 1998 年に策定された「21 世紀の国土のグランド
デザイン」は,第三次に当たる計画である。
② 2005 年に国土総合開発法は国土形成計画法へと抜本改正され,開発を基調とした右肩上がりの時代の
計画であった全国総合開発計画は,国土の利用・整備・保全に関する
国上形成計画(全国計画及び広域地方計画)へと改正された。
③ 2014 年にとりまとめられた「国土のグランドデザイン 2050-対流促進型国上の形成-」では,「国土
を取り巻く時代の潮流と課題」を指摘し,我が国の目指すべき国土の姿を提案している。
④ 2015 年に閣議決定された第二次国上形成計画(全国計画)は,国土の基本構想(計画の目標)を「対
流促進型国土」とし,多様な個性を持つさまざまな地域が相互に連携し生じる地域間のヒト,モノ,カ
ネ,情報等の双方向の動きを「対流」と定義し,この対流が全国各地でダイナミックに湧き起こる国土
の形成を目指すとしている。
⑤ 第二次国土形成計画(全国計画)では,計画実現の方式として,「コンパクト+ネットワーク」の形成
を掲げている。このような取り組みによって,人口減少下でも質の高いサービスを効率的に提供し,新
たな価値を創造することにより,国全体の生産性を高める国土構造を構築できるとしている。

正解は①

解説

全国総合開発計画は全部で5回策定されています。

つまり、

「21世紀の国土のグランドデザイン」は第5次であり、第3次ではありません。

技術士一次試験建設部門の択一問題の解説:令和四年度設問Ⅲ-15

都市防災に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。

① 都市防災の計画は地震後に想定される火災などの 2 次災害から人々を守る避難地,避難路の整備,火
災などの延焼を阻止する遮断機能の強化が中心となっている。
② 国土交通省が 2013 年に提示した防災都市づくり計画策定指針では,多様なリスクを考えるという姿勢
で取り組むこと,都市計画の目的として防災を明確に位置付けること,しつかりとしたリスク評価に基
づいて都市づくりを行うこと,こうしたリスクを開示して自助・共助の力を地域に根付かせること,な
どがうたわれている。
③ 都市計画法施行令においては,おおむね 10 年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域として
市街化区域を設定する際,溢水,湛水,津波,高潮等による災害の発生のおそれのある土地の区域につ
いての基準はない。
④ 2020 年には災害ハザードエリアにおける開発抑制が講じられ,災害危険区域などの災害レッドゾーン
では開発許可が原則禁止され,浸水ハザードエリア等においても住宅等の開発許可が厳格化され,安
全・避難上の対策が許可の条件となった。
⑤ 立地適正化計画においては,防災を主流化し,災害レッドゾーンを居住誘導区域から原則除外するこ
と,防災対策・安全確保を定める防災指針を作成することとなった。さらに,災害ハザードエリアから
の移転を促進するための事業も整備された。

正解は③

解説

近年の法改正により、

市街化区域を設定する際には、洪水 、津波、 高潮 溢水 、湛水などの災害リスクを考慮することが求められています。

したがって、基準は存在するため、この記述は不適切です。

技術士一次試験建設部門の択一問題の解説:令和四年度設問Ⅲ-16

市開発事業における土地に対する措置手法に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。

① 換地方式は,事業施行区域内の用地は原則として買収せず,道路・公園などの公共施設用地を施行区
域内のすべての土地所有者から少しずつ提供してもらう代わりに,すべての土地について土地の交換や
分合筆を同時に行うものである。
② 買収方式は,事業対象区域の土地を全部買収してから都市施設と宅地の整備を行うものであり,地価
の比較的高い既成市街地において再開発を行う際に用いられる。
③ 免許方式は,海岸や湖沼など水面を埋立てて市街地を造成する場合に埋立て免許が必要なことからこ
のように呼ばれており,埋立てにより比較的低廉な土地が大量に得られるが,漁業権補償などの問題を
伴うことが多い。
④ 権利変換方式は,土地だけではなく建物の床面にまで交換の範囲を広げるもので,市街地の高度利用
をすべき区域において施行される。
⑤ 2002 年に施行された都市再生特別措置法は,従来の都市計画の土地に対する措置が適用可能であれば
何でも使用できる強力な手法であるので,換地方式,買収方式,権利変換方式,免許方式も採用されて
いる。

正解は②

解説

既成市街地は地価が高く、土地所有者も多いため、すべての土地を買収することは非常に困難です。

そのため、既成市街地の再開発では一般に権利変換方式が用いられます。

買収方式は、比較的地価が低く、用地取得が容易な地域で採用されることが多い手法です。

技術士一次試験建設部門の択一問題の解説:令和四年度設問Ⅲ-17

下図のように,垂直に立てられた長方形の矩形ゲートに水深 h の静水圧が作用している。このゲー
トの部材 A と部材 B のそれぞれに作用する奥行方向の単位幅あたりの全水圧が等しくなる部材 A の高さ
X として適切なものはどれか。ただし,水の密度をρ,重力加速度を g とする。

正解は②

解説

部材Aは水面から高さ X の部分です。水圧分布は三角形なので、全水圧は三角形の面積になります。FA=12ρgX2F_A=\frac12 \rho gX^2

技術士一次試験建設部門の択一問題の解説:令和四年度設問Ⅲ-18

水理学における管路の流れに関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。

① 管路の流れとは,流体が管の断面全体を満たした状態で流れている流れのことをいう。
② 管路の断面変化に伴って,動水勾配線は流れの流下方向に対して逆勾配が生じる場合がある。
③ ポンプ等からのエネルギー供給がなければ,エネルギー勾配線は流れの流下方向に向けて必ず下降す
る。
④ 管内のエネルギー損失には摩擦による損失と,局部的な形状の変化の箇所での局所損失がある。
⑤ 局所損失は管内の平均流速に反比例する。

正解は⑤

解説
局所損失はhl=KV22gh_l=K\frac{V^2}{2g}

で表されます。

KKK:局所損失係数VVV:平均流速つまり、流速の2乗に比例します。

技術士一次試験建設部門の択一問題の解説:令和四年度設問Ⅲ-19

水理学における開水路の流れに関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。

① 開水路の流れには常流・限界流及び射流の 3 種の流れの状態がある。
② 跳水現象は,射流の流れが下流の常流流れに遷移する場合に発生し,この遷移は水表面に激しい表面
渦を伴う不連続な形で行われる。
③ 射流の場合は,流れの速度が波速よりも大きいために,水面変化は上流に向かって伝わることができ
ない。
④ 跳水においては,エネルギー保存の式は使えない。
⑤ 等流水深は水路勾配によらず,流量と断面形及び粗度係数によって決まる。

正解は⑤

解説

等流水深とは、

等流(流速・水深が一定)のときの水深です。

等流水深は、

  • 流量
  • 水路断面
  • 粗度係数
  • 水路勾配

によって決まります。

例えば、マニングの公式では、Q=1nAR2/3I1/2Q=\frac{1}{n}AR^{2/3}I^{1/2}

ここで、

Q:流量n:粗度係数AAA:流水断面積RRR:径深、I:水路勾配

となっており、水路勾配が含まれています。

技術士一次試験建設部門の択一問題の解説:令和四年度設問Ⅲ-20

水中の土砂移動に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。

① 掃流砂は,河床と間断なく接触しながら移動する土砂の運動形態のことを指す。これに対し,浮遊砂
は,掃流砂に比べれば細粒の土砂の輸送のことを指し,水流中の流れと一体となって移動する。
② 流れが空間的に一様な分布を持つ水流中の物体に働く抗力は,経験的に作用流速の二乗に比例するこ
とがわかっている。
③ 河床上を砂粒子が連続的に移動するようになる限界掃流力は,土砂の粒径によらず一定の値をとる。
④ 土砂を静水中に積み上げて斜面を造ったときに,上砂が崩れずに留まることができる最大傾斜角を土
砂の水中安息角と呼ぶ。
⑤ 河川の摩擦速度の縦断変化は,局所的な河床高の変化を表すことができ,上流の摩擦速度に比べて下
流側の摩擦速度が大きければ河床低下,反対に下流側の摩擦速度が小さければ河床上昇となることが多
い。

正解は③

解説

射流では、流速が波の伝わる速さ(波速)より速いため、下流で起きた水位変化は上流へ伝わりません。
一方、常流では水位変化が上流にも伝わります。

技術士一次試験建設部門の択一問題の解説:令和四年度設問Ⅲ-21

河川堤防に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。

① 河川堤防の余裕高は,計画高水流量に応じて定められた値以上とする。
② 高規格堤防は,越流水による洗堀破壊に対しても安全性が確保されるよう設計するものとする。
③ 耐浸透性能の照査は,すべり破壊及びパイピング破壊に対する安全率等を評価し,安全率等の許容値
を満足することを照査の基本とする。
④ 堤体には締固めが十分行われるために,細粒分と粗粒分が適当に配合されている材料を用いるのが望
ましい。
⑤ 河川堤防の浸透対策であるドレーン工は,堤体内への河川水の浸透を防ぐ効果がある。

正解は⑤

解説

ドレーン工の役割は、堤体や基礎地盤に浸透してきた水を速やかに排水することです。つまり、

  • 堤体内の水圧を下げる
  • 浸透水を排出する
  • パイピングやすべりを防ぐ

ことが目的です。一方、河川水が堤体へ浸透すること自体を防ぐ工法は、遮水シート鋼矢板止水壁(遮水工)などです。

技術士一次試験建設部門の択一問題の解説:令和四年度設問Ⅲ-22

河川計画に関する次の記述のうち,不適切なものはどれか。

① 一級水系に係る河川整備基本方針においては,全国的なバランスを考慮し,また個々の河川や流域の
特性を踏まえて,水系ごとの長期的な整備の方針や整備の基本となる事項を定める。
② 河川整備計画においては,河川整備基本方針に定められた内容に沿って,地域住民のニーズなどを踏
まえた,おおよそ 20~30 年間に行われる具体的な整備の内容を定める。
③ 洪水防御計画の策定に当たっては,河川の持つ治水,利水,環境等の諸機能を総合的に検討するとと
もに,この計画がその河川に起こり得る最大洪水を目標に定めることに留意する。
④ 計画高水流饂とは,基本高水を合理的に河道,ダム等に配分した主要地点における河道,ダム等の計
画の基本となる流量である。
⑤ 計画の規模を超える洪水により,甚大な被害が予想される河川については,必要に応じて超過洪水対
策を計画することを基本とする。

正解は③

解説

これが誤りです。

洪水防御計画は、

「起こり得る最大洪水」を対象として設計するわけではありません。

実際には、

  • 流域の重要性
  • 人口
  • 資産
  • 経済性

などを考慮して、一定の確率規模(計画規模)の洪水を対象に計画します。

例えば、50年に1回、100年に1回150年に1回程度の洪水を対象とすることが一般的です、最大洪水を対象にすると、現実的ではなく、建設費も莫大になるためです。

技術士一次試験建設部門の択一問題の解説:令和四年度設問Ⅲ-23

海岸工学に関する次の記述のうち,最も適切なものはどれか。

① 津波が湾内に侵入したときの湾口と湾内の津波の高さの比は,波高と水深の比が小さい範囲では,湾
口と湾内の水深の比の 1/4 乗に比例する。
② 換算沖波波高は,浅水変形及び屈折,回折の平面的な波高の変化を加えた波高として構造物の設計に
標準的に用いられる。
③ 不規則波の反射率は,入射波と反射波の位相差が 0゜と 180゜となる地点での最大波高と最小波高の比
となる。
④ 波の波高が水深に比べて十分に小さい場合,水深が波長の半分より深い海域では,水粒子軌道形状が
楕円となり,深さ方向に水平運動振幅が変化しない。
⑤ 水深の異なる境界に斜めに波が入射した場合に,波向線が浅い領域でより境界に直角になるように変
化する。この現象を屈折という。

正解は⑤

解説

屈折とは、波が斜めに浅い海域へ進むと、浅い側では波速が遅くなるため、波向きが変化し、海岸線(または水深の等深線)にほぼ直角になる方向へ曲がる現象です。問題文の説明どおりなので正しいです。

技術士一次試験建設部門の択一問題の解説:令和四年度設問Ⅲ-24

海岸保全施設の設計に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。

① ハドソン式は,傾斜堤等の斜面被覆材の安定な質量(所要質量)の算定に用いられるとともに,混成堤のマウンド被覆材や離岸堤のブロックの所要質量の算定にも用いられている。
② 改良仮想勾配法は,サヴィールの仮想勾配法を緩勾配海岸にも適用できるように改良したもので,複雑な海浜断面や堤防形状を有する海岸への波のうちあげ高の評価に広く使われている。
③ 海中部材に作用する波力は,モリソン式では,波による水粒子速度の 2 乗に比例する抗力と水粒子加、速度に比例する慣性力の和として算定される。
④ 直立壁に作用する風波の波圧の算定に用いる合田式は,重複波圧は算定できるが,砕波圧は算定できない。
⑤ 防波堤等の直立壁に作用する津波の波圧は,波状段波の発生がなく,かつ越流の発生のない場合には,谷本式で算定することができる。

正解は④

解説

合田式は、防波堤などの直立壁に作用する波圧を求める代表的な式で、重複波圧だけでなく、砕波圧も評価できます。
つまり、問題文の「砕波圧は算定できない」が誤りです。

技術士一次試験建設部門の択一問題の解説:令和四年度設問Ⅲ-25

港湾施設に関する次の記述のうち,最も滴切なものはどれか。

① 港湾の外郭施設の機能として,港内の静穏度の確保,水深の維持,臨港交通の確保,海岸の決壊防
止,高潮・津波に対する陸域の防護がある。
② 港内の泊地の常時波浪に対する静穏度は,泊地での施設の耐用年数期間中に出現すると推定される確
率波として評価するのが一般的である。
③ 防波堤と航路の法線は,入港時に船舶がなるべく強い風や潮流を真横から受けないように設定する。
④ 航路の必要水深は,航走時の船体沈下であるトリム等を考慮して決定される。
⑤ 埠頭は,コンテナ埠頭,フェリー埠頭,旅客埠頭のような専門埠頭と RORO 船埠頭,バルク(バラ)
貨物埠頭のような雑貨埠頭に分類される。

正解は③

解説

船舶は、横風や横潮流を受けると操船が難しくなります。

そのため、航路や防波堤の配置は、船が入港するときに横風・横潮流をできるだけ受けないように計画されます。

技術士一次試験建設部門の択一問題の解説:令和四年度設問Ⅲ-26

砂防施設に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。

① 流路工の計画河床勾配は,土砂の河道内の堆積を抑制するため,できるだけ急勾配となる方向で設定
する。
② 流路工の工事着手時期は,上流の砂防工事が進捗して,多贔の流出土砂の流入による埋塞の危険がな
くなるとともに,河床が低下傾向に転じた時期が望ましい。
③ 急傾斜地崩壊対策としての擁壁工は,アンカーエとともに抑止工の一種である。
④ 砂防堰堤(砂防ダム)の水通しは,できる限り広くし,越流水深を小さくする方がよい。
⑤ 土石流対策としての透過型の捕捉工は,必要に応じて除石を行って空容量を確保することを原則とす
る。

正解は①

解説

流路工(りゅうろこう)は、土石流や土砂を安全に流下させるための施設です。

河床勾配を急にしすぎると、

流速が速くなる、河床や護岸が洗掘されやすくなる下流へ大量の土砂を流してしまうという問題があります。そのため、「できるだけ急勾配にする」のではなく、土砂が堆積せず、かつ洗掘も起こさない適切な勾配に設定します。したがって、この記述は誤りです。

技術士一次試験建設部門の択一問題の解説:令和四年度設問Ⅲ-27

火力発電所の取水・放水設備に関する次の記述のうち,不適切なものはどれか。

① 冷却水の取水方式には,取水する位置によって港湾内取水,沿岸取水,沖合取水方式がある。
② 取水口の構造には,カーテンウォール式と海底管式がある。
③ スクリーン室は,取水口とポンプ室の間に設け,取水口から流入したごみ,海藻などを除塵装置によ
って取り除き,復水器細管の閉塞を防止する設備である。
④ ポンプ室は,冷却水をスクリーン室へ圧送するための循環水ポンプを設置する設備である。
⑤ 放水口の設計に当たっては,波浪や漂砂の影響を受けにくく,温排水の放水に伴う漁業や船舶航行な
ど海域環境への影響が極力少なくなるような配置や構造形式を採用する。

正解は④

解説

冷却水の流れは、

取水口

スクリーン室

ポンプ室(循環水ポンプ)

復水器

となります。つまり、ポンプ室はスクリーン室の後にあり、スクリーン室から復水器へ冷却水を送る設備です。問題文では、「スクリーン室へ圧送する」となっているため、流れの順序が逆になっています。

技術士一次試験建設部門の択一問題の解説:令和四年度設問Ⅲ-28

水力発電に関する次の記述のうち,不適切なものはどれか。

① 有効落差は,取水口から水車入口まで及び水車出口から放水口までの間を流れが流下する際に失う損
失水頭を総落差より差し引いた残りの落差(水頭)である。
② 水路の粗度係数の値は,流水中に含まれる砂礫などのためにコンクリート面が次第に摩耗し,あるい
は水虫が付着したりして, 日時の経過とともに増大する傾向にある。
③ 導水路とヘッドタンクとの取付部がわん曲し,あるいは著しく非対称であると,流心が一方にかたよ
って渦流を生じ,空気が水圧管に吸い込まれるなどヘッドタンクの機能が低下する。
④ 河川流量の調査結果を発電計画に適用する際に用いる渇水量は, 1 年のうち 95 日間はこの流董より
も減少することのない水量である。
⑤ 差動サージタンクは,水槽内に断面積の小さい円筒形の立て坑(ライザー)を立てて水路と直結さ
せ,水槽と水路とは小孔(ポート)で連絡する構造を有している。

正解は④

解説

導水路のコンクリート表面は、、摩耗、生物付着劣化などにより表面が粗くなります。
そのため、粗度係数(マンニングの粗度係数)は年月とともに大きくなる傾向があります。

技術士一次試験建設部門の択一問題の解説:令和四年度設問Ⅲ-29

道路の計画・設計に関する次の記述のうち,最も適切なものはどれか。

① 道路の中央帯の幅員の設計に当たっては,当該道路の区分に応じて定められた値以下とする。
② 道路構造の決定に当たっては,必要とされる機能が確保できる道路構造について検討し, さらに,各
種の制約や経済性,整備の緊急性,道路利用者等のニーズなど地域の実状を踏まえて適切な道路構造を
総合的に判断する。
③ 道路構造の韮準は,全国一律に定めるべきものから,地域の状況に応じて運用すべきものまで様々で
あることから,道路構造令は,基本となる規定として,すべての項目で標準値を定めている。
④ 道路の機能の中の交通機能とは,一義的に自動車や歩行者・自転車それぞれについて,安全・円滑・
快適に通行できる通行機能のことをいう。
⑤ 道路の機能の中の空間機能とは,一義的に交通施設やライフライン(上下水道等の供給処理施設)な
どの収容空間のことをいう。

正解は②

解説

道路構造を決める際は、

  • 必要な道路機能
  • 地形条件
  • 用地条件
  • 建設費
  • 維持管理費
  • 地域住民のニーズ
  • 整備の緊急性

などを総合的に判断します、これは道路構造令の基本的な考え方です。

技術士一次試験建設部門の択一問題の解説:令和四年度設問Ⅲ-30

鉄軌道に関する次の記述のうち,不適切なものはどれか。

① 索道は,空中に架設した鋼索に搬器を吊るし,これを鋼索の循環又は往復運動によって移動させる交
通機関で,主として山岳部の観光地やスキー場などで用いられている。
② モノレールの種類には,跨座式と懸垂式がある。一般的に,跨座式は,支柱の高さが高くなり,景観
に対する阻害率が大きくなる一方,軌道の曲線半径を小さくすることができる特徴がある。
③ 案内軌条式鉄道の建設コストはモノレールと比べ低廉といわれる一方,輸送力や速度の面で劣る。し
たがって,路面電車とモノレールの中間的な交通機関として位置付けられる。
④ LRT とは,低床式車両の活用や軌道・電停の改良による乗降の容易性,定時性,速達性,快適性など
の面で優れた特徴を有する軌道系交通システムのことである。
⑤ リニア地下鉄は,地下鉄における建設コストの削減を図るためトンネルの断面積を小さく抑え, リニ
アモーター駆動によって床面高さを極力低くした小断面の車両を用いた地下鉄であり,一般の地下鉄と
比べてトンネルの断面積は約半分程度である。

正解は②

解説

モノレールには

  • 跨座式(こざしき)
  • 懸垂式(けんすいしき)

があります。

問題文では跨座式は支柱が高くなり景観への阻害が大きいとありますが、これは一般的な特徴ではありません。

技術士一次試験建設部門の択一問題の解説:令和四年度設問Ⅲ-31

山岳トンネルの計画に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。

① トンネルの平面線形は,使用目的及び施工面からできるだけ直線とし,曲線を入れる場合はできるだ
け小さい半径を採用しなければならない。
② トンネルの坑口は,安定した地山で地形条件のよい位置に選定するよう努めなければならない。
③ 水路トンネルでは,通水量,通水断面積,流速等の相互関係を考慮して勾配を設定しなければならな
い。
④ トンネルの内空断面は, トンネルの安定性及び施工性を十分考慮して効率的な断面形状とする必要が
ある。
⑤ 2 本以上のトンネルを隣接して設置する場合,先行施工と後方施工のトンネル相互の影響を検討のう
え位置を選定しなければならない。

正解は①

解説

トンネルの平面線形は、

  • 施工しやすい
  • 維持管理しやすい
  • 安全性が高い

ことから、できるだけ直線とします。

やむを得ず曲線にする場合でも、できるだけ大きい半径を採用するのが原則です。

問題文は「できるだけ小さい半径」となっているため誤りです。

技術士一次試験建設部門の択一問題の解説:令和四年度設問Ⅲ-32

土留め壁に関する次の記述のうち,不適切なものはどれか。

① 簡易土留め壁は,木矢板や軽量鋼矢板などによる土留め壁であり,軽量かつ短尺で扱いやすく,断面
性能が大きく,遮水性もよい。
② 鋼矢板土留め壁は, U 形, Z 形,直線形, H 形などの鋼矢板を,継手部をかみ合わせながら,連続
して地中に打ち込む土留め壁であり,遮水性がよく,掘削底面以下の根入れ部分の連続性が保たれる。
③ 親杭横矢板土留め壁は, I 形鋼, H 形鋼などの親杭を, 1~2m 間隔で地中に打ち込み,又は穿孔し
て建て込み,掘削に伴って親杭間に木材の横矢板を挿入していく上留め壁であるが,遮水性がよくな
く,掘削底面以下の根入れ部分の連続性が保たれない。
④ 鋼管矢板土留め壁は,形鋼,パイプなどの継手を取り付けた鋼管杭を,継手部をかみ合わせながら,
連続して地中に打ち込む土留め壁であり,遮水性がよく,掘削底面以下の根入れ部分の連続性が保た
れ, しかも断面性能が大きい。
⑤ ソイルセメント地下連続壁は,各種オーガー機やチェーンカッター機等を用いてセメント溶液を原位
置土と混合・撹拌した掘削孔に H 形鋼などを挿入して連続させた土留め壁であり,遮水性がよく,断面
性能は場所打ち杭,既製杭地下連続壁と同等である。

正解は①

解説

問題文では、木矢板や軽量鋼矢板は断面性能が大きく,遮水性もよいとなっています。
簡易土留め壁の特徴

  • 木矢板・軽量鋼矢板を使用
  • 軽量で施工しやすい
  • 小規模・浅い掘削向け
  • 断面性能は小さい
  • 遮水性もあまり良くない

つまり、間違いは

「断面性能が大きい」「遮水性がよい」という記述が誤りです。

技術士一次試験建設部門の択一問題の解説:令和四年度設問Ⅲ-33

建設工事の施工管理に関する次の記述のうち,不適切なものはどれか。

① 工事原価とは,工事現場において使用される材料,労務,機械,仮設物など工事管理に必要な全ての
費用に,一般管理費,利益を加えたものである。
② 出来形管理とは,工事目的物の形状,寸法,仕上げなどの出来形に関する管理のことである。
③ 施工計画の目標とするところは,工事の目的物を設計図書及び仕様書に基づき所定の工事期間内に,
最小の費用でかつ環境,品質に配慮しながら安全に施工する条件を策定することである。
④ 品質管理とは,資材,材料,施工方法,機械などの手段を含めた品質に関する管理のことである。
⑤ 特定建設業者は,下請負人の名称,工事内容,工期等を記載した施工体制台帳を,エ事現場ごとに据
え置き,発注者から請求があったときは,閲覧に供さなければならない。

正解は①

解説

工事原価とは、工事を完成させるために直接必要となる費用です。

主な内容は、

  • 材料費
  • 労務費
  • 機械経費
  • 仮設費
  • 現場管理費

などです。一方、

  • 一般管理費
  • 利益

は工事原価には含まれません。つまり、工事価格 = 工事原価 + 一般管理費等 + 利益となります。したがって、この記述は誤りです。

技術士一次試験建設部門の択一問題の解説:令和四年度設問Ⅲ-34

環境影響評価法に関する次の記述のうち,不適切なものはどれか。

① 環境影響評価法では,規模が大きく環境に著しい影響を及ぼすおそれのある事業について環境アセス
メントの手続きを定める。
② 配慮書とは,第 1 種事業を実施しようとする者が,事業の位置・規模等の検討段階において,環境保
全のために適正な配慮をしなければならない事項について検討を行い,その結果を取りまとめた図書で
ある。
③ スコーピングとは,第 1 種事業に準じる大きさの事業(第 2 種事業)について環境アセスメントを行
うかどうかを個別に判定する手続きのことである。
④ 事後調査の必要性は,環境保全対策の実績が少ない場合や不確実性が大きい場合など,環境への影響
の重大性に応じて検討され,判断される。
⑤ 地方公共団体が定めた環境アセスメントに関する条例には,環境影響評価法と比べ,法対象以外の事
業種や法対象より小規模の事業を対象にするといった特徴がある。

正解は③

解説

これはスクリーニングとの混同です。

スコーピング(Scoping)

何を調査するか

  • 調査項目
  • 調査方法
  • 評価項目

を決める手続きです。

技術士一次試験建設部門の択一問題の解説:令和四年度設問Ⅲ-35

建設環境関係の各種法令などに関する次の記述のうち,不適切なものはどれか。

① 工作物の新築,改築又は除去に伴って生じたコンクリートの破片は,廃棄物の処理及び清掃に関する
法律における産業廃棄物である。
② 騒音規制法により,指定地域内で特定建設作業を伴う建設工事を施工しようとする者は,当該特定建
設作業の開始の日の 7 日前までに,特定建設作業の場所及び実施の期間などを都道府県知事に届けなけ
ればならないとされている。
③ 工事で使用する生コンクリートを製造するバッチャープラントは,水質汚濁防止法における特定施設
である。
④ 大気汚染防止法の目的には,建築物等の解体等に伴う粉じんの排出等を規制し,また,自動車排出ガ
スに係る許容限度を定めること等により,大気の汚染に関し,国民の健康を保護することが含まれる。
⑤ 振動規制法に定める特定建設作業の規制に関する基準では,特定建設作業の振動が,当該特定建設作
業の場所の敷地境界線において, 75 デシベルを超える大きさのものでないこととされている。

正解は②

解説

騒音規制法では、指定地域内で

  • くい打ち
  • ブレーカー作業
  • さく岩機作業

などの特定建設作業を行う場合、作業開始の7日前までに届け出が必要です。

しかし、届け出先は都道府県知事ではありません。実際は市町村長(政令指定都市では市長など)へ届け出ます。つまり、届け出先が誤りです。

まとめ

技術士一次試験の解説をしてきました。
基本的に技術士一次試験は過去問題を中心に勉強しましょう。
過去問題で分からないことはインターネットや参考書などで補ってください。
技術士一次試験は二次試験を受験するためのパスポートです。
早めに合格して技術士二次試験に備えましょう。

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