設問Ⅰー1-25
労働安全衛生法に基づく次の記述のうち,最も適切なものはどれか。
① 医師・保健師等によるストレスチェックの実施が,全ての事業者に義務付けられている。
② ストレスチェックを実施した事業者は,医師等から労働者の検査結果を直接受領し確認して適切な就労上の措置を講じた後に,労働者に対して検査結果を通知しなければならない。
③ 事故や化学物質等による疾病,過労死は労災補償の対象とされているが,心理的負荷による精神障害等については,因果関係の特定が困難であるため,対象とされていない。
④ 受動喫煙を防止するため,従業員50人以上の事業場では,喫煙室の設置が義務付けられている。
⑤ 重大な労働災害を繰り返す企業への対応として,改善計画の作成の指示や企業名の公表の仕組みが設けられている。
【解説】 正解⑤ 総監キーワード集19ページ5.3労働安全衛生法からの出題です。
内容がわからなくても常識的に考えればわかる問題です。
①全ての事業者⇒限定されている文言は不適切な設問になります。
②検査結果は個人情報になるので原則本人に直接通知するはずです。
③当然因果関係が証明できれば労災の対象となるでしょう。(反対に考える)
④分煙や禁煙は義務化できますが、喫煙室の設置は義務化する必要はないでしょう。
設問Ⅰー1-26
危機管理に関する諸法制における避難等に関する次の記述のうち,最も適切なものはどれか。法の名称には通称を含む。なお,以下における対策本部長,あるいは政府対策本部長は,通常は内閣総理大臣のことを指す。
① 災害対策基本法:自然災害が発生し,又は発生するおそれがある場合,市町村長は,都道府県知事の許可のもとに,避難のための立退きを勧告する,又は立退きを指示することができる。
② 原子力災害対策特別措置法:原子力規制委員会は,原子力緊急事態を宣言し,市町村長及び都道府県知事に対し,屋内への退避の勧告や指示を行うべきことなどの緊急事態応急対策に関する事項を指示する。
③ 国民保護法:対策本部長は,武力攻撃から国民の生命,身体又は財産を保護するため緊急の必要があると認めるときは,基本指針及び対処基本方針で定めるところにより,警報を発令しなければならない。
④ 新型インフルエンザ等対策特別措置法:政府対策本部長は,新型インフルエンザ等緊急事態において,特定の都道府県の住民に対して,感染を防止するために,居宅からの外出禁止を命令することができる。
⑤ 気象業務法:内閣総理大臣は,予想される現象が特に異常であるため重大な災害の起こるおそれが著しく大きい場合には,気象庁の報告に基づき,気象,地象,津波,高潮及び波浪についての特別警報を発する。
【解説】 正解③ 総監キーワード集21ページ5.5危機管理からの出題です。
常識的に考えて分かる問題です。真剣に考えずに常識的に考えてください。
①自然災害が発生しているのに知事に許可を求める暇は無いはずです。
②原子力規制委員会は行政機関です。行政機関にそのような権限はないはずです。
④感染防止のために居宅からの外出禁止を命令など出せるはずはありません。病院にも買い物にも行けなくなります。
⑤警報を出すのは気象庁です。データに基づいて発表するだけなので何の権限もいりません。
設問Ⅰー1-27
地震・津波防災に関する次の記述のうち,最も適切なものはどれか。
① 南海トラフ地震の想定では,広域に被害が発生する一方,津波到達時間が最短でも1時間以上あることから,落ち着いた避難対応が重要となる。
② 想定される最大クラスの津波への対策は,混乱を防ぐため,海岸保全施設等の整備などのハード的対策と避難などのソフト的対策は組み合わせず,いずれかを選択する。
③ 市町村は,津波からの避難の方法について,徒歩を原則としつつ,やむを得ない場合は自動車で安全かつ確実に避難できる方策をあらかじめ検討する。
④ 都道府県知事は,津波浸水想定を設定し,市町村長の要請がある場合は公表する。
⑤ 東海地震については,確度が高い地震の予測が可能となっていることを踏まえ,警戒宣言発表による地震発生前の避難や各種規制措置等が,主たる対策として強化されている。
【解説】 正解③ 総監キーワード集21ページ5.5危機管理からの出題です。
常識的に考えて分かる問題です。真剣に考えずに常識的に考えてください。
①そもそも津波の到達時間は地震が起きてからでないと想定できません。どの程度の地震がどこで発生するかなど詳細はわかりません。地震が発生しないと分からないのです。常識的に考えて間違いです。
②最大クラスの津波なので、ハード、ソフトを問わず最善の対策を施すべきです。これも常識的に考えて間違いです。
④そもそも国民の命が掛かっているのです。要請がなくても公表するべきでしょう。
⑤東海地震は高い確率で発生することは予測されています。ですがいつ、どこで、どの程度の地震が発生するかは当然分かりません。発生しないと分かりません。地震の発生前に非難などできるはずはありません。
設問Ⅰー1-28
高所作業において使用されるいわゆる「安全帯」に関する規制等の改正(平成30年6月公布,平成31年2月施行)に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。
① 従来の「胴ベルト型」は,墜落時に内臓の損傷や胸部等の圧迫による危険性がある。
② 「安全帯」の名称は,「墜落制止用器具」に改められたが,従来の「安全帯」の一部は「墜落制止用器具」に含まれない。
③ 「墜落制止用器具」としては,「フルハーネス型」を使用することが原則となった。
④ 「フルハーネス型」の着用者が墜落時に地面に到達するおそれのある場合(定められた一定の高さ以下)は,「胴ベルト型(一本つり)」を使用することができる。
⑤ 高さが2m以上の箇所で作業床を設けることが困難なところであっても,「墜落制止用器具」のうち「フルハーネス型」のものを用いて業務を行う労働者は,安全衛生特別教育が免除される。
【解説】 正解⑤ 総監キーワード集19ページ5.3労働安全衛生管理からの出題です。
常識的に考えて分かる問題です。真剣に考えずに常識的に考えてください。
⑤そもそも安全衛生特別教育が免除されるのであれば、総監の設問になるはずがありません。安全衛生特別教育が必要だから設問になるのです。常識で考えればわかるはずです。
設問Ⅰー1-29
製品・システムの高信頼化に関する次の記述のうち,フォールトトレランスの例として最も適切なものはどれか。
① 踏切の電動遮断機は,停電が発生したとき,遮断かんが重力により自動的に降りるように設計されている。
② 鉄道車両は,その運行に関わる全ての主要部品について,可能な限り信頼性の高いものを用いるように設計されている。
③ 大学実験室のサーバは,突然停電が発生したとき,無停電電源装置が働くように設定されている。
④ デジタルカメラのバッテリーは,決まった向き以外は装着できないように設計されている。
⑤ 双発航空機のジェットエンジンは,その1つが故障したとき残りのエンジンで飛行が可能なように設計されている。
【解説】 正解③ 総監キーワード集21ページ5.4システム高信頼化からの出題です。
出題頻度の高い問題なので確実に正解する必要があります。
①フェールセーフ:故障により機能は維持しないが、安全側に制御する。
②フォールトアボイダンス:故障しないようにあらかじめ信頼性を高める。
③フォールトトレランス:システムの一部に問題が生じても全体が機能停止するということなく(たとえ機能を縮小しても)動作し続ける。
④フールプルーフ:人間が誤った行為をしようとしても出来ないようにする。
⑤フェイルソフト:故障箇所を切り離すなど被害を最小限に抑え、機能低下を許しても、システムを完全には停止させずに機能を維持した状態で処理を続行(縮退運転)する設計のこと。
設問Ⅰー1-30
「JIS Q 31000:2010 リスクマネジメント-原則及び指針」におけるリスクマネジメントプロセス(下図)に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。

① リスク特定は,リスクを発見,認識及び記述するプロセスであり,リスク源,事象,それらの原因及び起こり得る結果の特定が含まれる。
② リスク分析は,リスクの特質を理解し,起こりうる結果の大きさをリスクレベルとして算定するプロセスである。
③ リスク評価は,リスク及び/又はその大きさが,受容可能か又は許容可能かを決定するために,リスク分析の結果をリスク基準と比較するプロセスである。
④ コミュニケーション及び協議は,リスクの運用管理について,情報の提供,共有又は取得,及びステークホルダとの対話を行うために,組織が継続的に及び繰り返し行うプロセスである。
⑤ モニタリングは,要求又は期待されたパフォーマンスレベルとの差異を特定するために,状態を継続的に点検し,監督し,要点を押さえて観察し,又は決定することである。
【解説】 正解② 総監キーワード集18ページ5.2リスクマネジメントからの出題です。
出題頻度の高い問題なので確実に正解する必要があります。
リスク分析:リスクの特質を理解し,リスクレベルを決定するプロセス。
リスクレベル:結果とその起こりやすさとの組合せとして表される,リスク又は組み合わさったリスクの大きさ。
設問Ⅰー1-31
工場や現場における安全設計・対策に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。
① 事故・災害の4M分析における4つのMは,Man(エラーを起こす人間要因),Machine(機械設備の欠陥・故障等の物的要因),Media(作業情報,作業方法,環境の要因),Management(管理上の要因)を示している。
② 事故対策の4Eにおける4つのEは,Education(教育),Enforcement(強調,強化),Example(模範),Engineering(工学的対策)を示している。
③ ALARPとは,機械類に設置する非常停止装置はいつでも利用可能,かつ,操作可能であり,その動作はすべての機能及び操作に優先するものとする考え方である。
④ 危険検出型センサーは,故障して危険を検出することに失敗した場合,機械を停止させないために災害に結び付くことがある。
⑤ 本質的安全設計方策とは,ガード又は保護装置を使用しないで,機械の設計又は運転特性を変更することによって,危険源を除去する又は危険源に関連するリスクを低減する保護方策である。
【解説】 正解③ 総監キーワード集18ページ5.2リスクマネジメントからの出題です。
ALARP:リスクは合理的に実行可能な最低の水準まで低減しなければならないという、IEC61508(JIS C0508)における許容リスクの概念。この概念をALARP原理という。リスク領域は図のように3つに分類されている。
本文は機械類の安全性設計原則の非常停止についての記述です。

設問Ⅰー1-32
下図は,Tを頂上事象,A1,A2を中間事象,X1~X5を原因事象とするフォールトツリーである。次の記述のうち,必ずTが生起するものはどれか。なお,各原因事象間には特段の因果関係は無いものとする。

① X1~X5のうち4つ以上生起するとき。
② X1,X2,X3のいずれか1つ,および,X4およびX5が生起するとき。
③ X1,X2,X3のいずれか2つ,および,X4またはX5が生起するとき。
④ X1,X2,X3,X4のいずれか3つ,およびX5が生起するとき。
⑤ X1,X2,X4,X5のいずれか3つ,およびX3が生起するとき。
【解説】 正解⑤ 総監キーワード集22ページ5.6システム安全工学手法からの出題です。
出題頻度の高い問題なので確実に正解する必要があります。
ORゲート:いずれか1つが発生すれば上位事象Xが発生する関係を示す
ANDゲート:それらの全てが同時に発生した場合に限って上位事象Xが発生する関係を示す
ANDゲートであるX3は絶対に生起しなくてはいけません。その選択肢は⑤だけになります。
参考:日本技術士会