総監択一高得点シリーズ:令和元年度解説【社会環境管理】

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設問Ⅰー1-33

国連で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」(以下「2030アジェンダ」という。)及びそこに掲げられたSDGs(持続可能な開発目標)の17のゴールに関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。
 ① 2030アジェンダは,過去に策定された「ミレニアム開発目標」の後継として,2015年に国連サミットで採択された,2030年までの国際開発目標である。
 ② 2030アジェンダでは,目標達成のために各国政府や市民社会,民間セクターを含む様々な主体が連携し,0DAや民間資金も含むリソースを活用していくグローバル・パートナーシップの構築が重要とされている。
③ 3030アジェンダでは,持続可能な開発のキーワードとして,人間(People),地球(Planet),繁栄(Prosperity),平和(Peace),連帯(Partnership)が掲げられており,SDGsの17のゴールはこの「5つのP」を具現化したものである。
 ④ SDGsの大きな特徴として,先進国向けと途上国向けに大きく区分された2種類の目標が準備されており,各国がその経済状況に応じて目標を選択することが可能となっていることが挙げられる。
 ⑤ 日本のSDGs推進本部が決定したSDGs実施指針に掲げられた全ての優先課題には,国内実施と国際協力の両面が含まれている。

【解説】 正解④  総監キーワード集23ページ6.1地球的規模の環境問題からの出題です。
「SDGs(エスディージーズ)」とは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称であり、2015年9月に国連で開かれたサミットの中で世界のリーダーによって決められた、国際社会共通の目標です。
国際社会共通の目標なので、目標が2種類あるはずがありません。
SDGs(持続可能な開発目標)の基本的な意味がわかっていれば解ける問題です。

設問Ⅰー1-34

我が国の第5次エネルギー基本計画における基本的な方針に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。
 ① エネルギー政策の要は,安全性を前提に,エネルギーの安定供給を第一とし,経済効率性の向上による低コストでのエネルギー供給を実現し,同時に,環境への適合を 図ることである。
 ② 危機時であっても安定供給を確保するためには,エネルギー源ごとの強みが最大限に発揮され,弱みが他のエネルギー源によって適切に補完されるような組合せを持つ,多層的な供給構造を実現することが必要である。
 ③ エネルギー市場における競争の活性化のためには,既存のエネルギー事業者の相互参入や異業種からの新規参入,さらに地域単位でエネルギー需給管理サービスを行う自治体や非営利法人等がエネルギー供給構造に自由に参加することが期待される。
 ④ 電源を「ベースロード電源」,「ミドル電源」,「ピーク電源」に分類した場合,一般水力(流れ込み式),原子力,石油はベースロード電源のエネルギー源に,揚水式水力,石炭はピーク電源のエネルギー源に位置づけられる。
 ⑤ 水素は,取扱い時の安全性の確保が必要であるが,エネルギー効率が高く,利用段階で温室効果ガスの排出がないことから,将来の二次エネルギーで,電気,熱に加え,中心的な役割を担うことが期待される。

【解説】 正解④  総監キーワード集23ページ6.1地球的規模の環境問題からの出題です。
ベースロード電源:主な電源 石炭、原子力、水力、地熱。継続的な稼働が可能で、発電単価が安く、安定した供給が見込める電源が適している。動き始めたら止まることなく長期に渡って電力を生産します。石炭は日本の総電力における30%の割合を持ち、現在は日本のベースロード電源の主流となっています。
ミドル電源:主な電源 LNG(液化天然ガス)、LPガス。発電コストがベースロード電源に次いで低いものです。電力需要によってベースロード電源だけで足りなくなった場合に電力を供給します。発電所の運転や停止は随時可能なので必要に応じて適宜供給できるところが利点です。
LNG、LPガスは世界各地の油田で採掘されています
ピーク電源:主な電源 石油、揚水式水力。ベースロード電源とミドル電源の2つでも電力が足りなくなったときに使われる電源です。
石油は電力以外でも燃料としての需要があるため、価格が高くなりやすいと言えるでしょう。

そもそも序文には「基本的な方針に関する次の記述のうち」とありますが、④が基本的な方針の記述だとは思えません。ここだけ見ても不適切なものがどれか分かります。

設問Ⅰー1-35

循環型社会形成推進基本法に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。
① 循環型社会の形成は,このために必要な措置が国,地方公共団体,事業者及び国民の適切な役割分担の下に講じられなければならない。
② 原材料にあっては効率的に利用されること,製品にあってはなるべく長期間使用されること等により,廃棄物等となることができるだけ抑制されなければならない。
③ 循環資源の循環的な利用及び処分に当たっては,技術的及び経済的に可能な範囲で,(i)再使用,(ii)再生利用,(iii)熱回収,(iV)処分の優先順位に基づき行われなければならない。
④ 循環資源はその有用性から廃棄物には当たらないため,循環的な利用が行われない場合の処分は,いわゆる資源有効利用促進法に基づいて行われなければならない。
⑤ 事業者は,原材料等がその事業活動において廃棄物等となることを抑制するために必要な措置を講ずる責務を有している。

【解説】 正解④  総監キーワード集25ページ6.2地球環境問題からの出題です。
循環型社会形成推進基本法の趣旨は以下になります。
1.廃棄物・リサイクル対策については、廃棄物処理法の改正、各種リサイクル法の制定等により拡充・整備が図られてきているが、今日、我が国は次のような課題に直面し、これへの対処は喫緊の課題となっている。
[1] 廃棄物の発生量の高水準での推移
[2] リサイクルの一層の推進の要請
[3] 廃棄物処理施設の立地の困難性
[4] 不法投棄の増大
2.これらの問題の解決のため、「大量生産・大量消費・大量廃棄」型の経済社会から脱却し、生産から流通、消費、廃棄に至るまで物質の効率的な利用やリサイクルを進めることにより、資源の消費が抑制され、環境への負荷が少ない「循環型社会」を形成することが急務となっている。
3.本法は、このような状況を踏まえ、循環型社会の形成を推進する基本的な枠組みとなる法律として、(1)廃棄物・リサイクル対策を総合的かつ計画的に推進するための基盤を確立するとともに、(2)個別の廃棄物・リサイクル関係法律の整備と相まって、
 循環型社会の形成に向け実効ある取組の推進を図るものである。
循環型社会の形成を推進するための法律です。循環型社会を形成しようとする法律です。
そもそも「循環的な利用が行われない場合の処分は,いわゆる資源有効利用促進法に基づいて行われなければならない」のであれば、設問にする必要がありません。
常識的に考えて④が不適切だとわかります。

設問Ⅰー1-36

東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境汚染からの回復状況に関する次の記述のうち,最も適切なものはどれか。なお,以下において,湖沼の水質並びに底質については,環境省が実施している水環境に関する「福島県及び周辺地域の放射性物質モニタリング」の調査結果に基づくものとし,また空間線量率については,原子力規制委員会(当初は文部科学省)が実施している「福島県及びその近隣県における航空機モニタリング」における,福島第一原子力発電所から半径80km圏内の測定結果に基づくものとする。前者のモニタリングにおいて,「周辺県」とは,対象とする湖沼が存在する県のうち福島県以外の県をいい,放射性セシウムの検出下限値は,水質が1 Bq/L, 底質が10Bq/kgである。
 ① 土壌等の除染は除染実施計画に基づいて進められてきており,帰還困難区域を除けば,当該計画に基づく面的除染はおおむね7割程度完了している。
 ② 汚染状況重点調査地域に指定された市町村のうち,これまでにその指定が解除された市町村はない。
 ③ 湖沼の水質に関して,2013年度以降のモニタリング結果において放射性セシウムは,周辺県ではすべて不検出であり,福島県においても検出率は減少傾向にある。
 ④ 湖沼の底質に関して,2016年度のモニタリング結果において放射性セシウムは,福島県内では検出されているが,周辺県ではすべて不検出である。
 ⑤ 空間線量率について,2011年8月時点と比較して5年後に約5割減少すると推定されていたが,実際の減少量はこの推定をやや下回るペースとなっており,遅れ気味である。

【解説】 正解③  総監キーワード集24ページ6.2地球環境問題からの出題です。
平成30年度版環境白書第1部第4章に記載があります。
環境省では、2011年から福島県及び周辺地域の水環境における放射性物質のモニタリングを継続的に実施しています。公共用水域(河川、湖沼、沿岸)のうち、2016年度までの沿岸では、水質からは放射性セシウムは全期間を通じて検出されていません。河川及び湖沼については、2013年度以降、福島県以外の水質では放射性セシウムは検出されておらず、福島県の水質においても、検出率及び検出値は減少傾向にあります。また、地下水中の放射性セシウムについては、2011年度に福島県において検出されたのみで、2012年度以降検出されていません。
この問題の趣旨は福島県及び周辺の放射性物質による環境汚染からの回復状況を問われています。この問題は環境白書を読まなくても答えられます。回復しているのか、回復していないのかどちらかが正解なのです。当然回復し放射線の影響はないことを宣伝するための問題です。
回復が遅れているというような設問は誤りです。③だけが回復している内容で、他は回復が遅れているというような内容です。正解を知らなくても、正解が分かる問題です。

設問Ⅰー1-37

環境政策の原則や取組方法の考え方に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。
 ① 源流対策の原則とは,製品などの設計や製法に工夫を加え,汚染物質や廃棄物をそもそも作らないようにすることを優先すべきという考え方である。
 ② 協働原則とは,公共主体が政策を行う場合には,政策の企画,立案,実行の各段階において,政策に関連する民間の各主体の参加を得て行わなければならないという考え方である。
 ③ 補完性原則とは,環境施策の処理はできる限り広域的行政単位が担い,それになじまない事柄に限って,より基礎的な行政単位が処理すべきという考え方である。
 ④ 未然防止原則とは,環境の保全は,環境上の支障が生じてからではなく,科学的知見に基づき,支障の発生を未然に防ぐことを旨として行われなければならないという考え方である。
 ⑤ 予防的な取組方法とは,環境問題について科学的に不確実であることをもって対策を遅らせる理由とはせず,科学的知見の充実に努めつつ,予防的な対策を講じるという考え方である。

【解説】 正解③  総監キーワード集26ページ6.3環境保全に向けた取組みの基本原則と手法からの出題です。
補完性原理(ほかんせいげんり):決定や自治などをできるかぎり小さい単位でおこない、できないことのみをより大きな単位の団体で補完していくという概念。

設問Ⅰー1-38

環境影響評価法に基づく第一種事業に係る手続きの中からいくつかを取り出し実施手順に沿って並べたものとして,次のうち最も適切なものはどれか。なお下記では,計画段階環境配慮書を「配慮書」,環境影響評価準備書を「準備書」とそれぞれ略記している。
 ① スクリーニング→スコーピング→配慮書の作成→調査・予測・評価の実施
 ② 配慮書の作成→調査・予測・評価の実施→スコーピング→準備書の作成
 ③ スコーピング→スクリーニング→調査・予測・評価の実施→準備書の作成
 ④ 配慮書の作成→スコーピング→調査・予測・評価の実施→準備書の作成
 ⑤ スコーピング→配慮書の作成→準備書の作成→調査・予測・評価の実施

【解説】 正解④  総監キーワード集26ページ6.3環境保全に向けた取組みの基本原則と手法からの出題です。
出題頻度の高い問題なので確実に得点する必要があります。覚えましょう。

設問Ⅰー1-39

企業等の環境管理活動に係る用語の説明として,次の記述のうち最も適切なものはどれか。
 ① 環境会計とは,環境保全に資する事業活動を行った企業が,税制上の優遇措置を受ける際に,環境保全のために要したコストを整理し国や自治体に申請する会計手法をいう。
 ② 環境報告とは,企業が事業活動に伴い排出した物質のうち,有害であるとして法令で定められたものについて,その年間排出量を国に報告するための仕組みをいう。
 ③ カーボンフットプリント制度とは,一定規模以上の事業者が,商品やサービスの消費段階で排出される温室効果ガスのうち,二酸化炭素の量について国に報告する制度をいう。
 ④ 環境マネジメントシステムとは,環境関連法令で定められた義務的手続を網羅し,企業の事業活動においてこれら義務的手続の遺漏防止と確実な履行をサポートするためのシステムをいう。
 ⑤ 社会的責任投資とは,各企業の収益力,成長性等の判断に加え,人的資源への配慮,環境への配慮,利害関係者への配慮などの取組を評価し,投資選定を行う投資行動をいう。

【解説】 正解⑤  総監キーワード集28ページ6.4 CSRと組織の環境管理活動からの出題です。
環境会計:事業活動における環境保全のためのコストとその活動により得られた効果を認1し、可能な限り定量的(貨幣単位又は物量単位)に測定し伝達する仕組み
環境報告:事業者が、事業活動による直接的・間接的な環境への重大な影響について、ステークホルダーに報告する行為です。
カーボンフットプリント制度:商品のライフサイクル全体で排出された温室効果ガスを二酸化炭素の排出量に換算して「見える化」する仕組みの一つ。
環境マネジメントシステム:企業や団体等の組織が環境方針、目的・目標等を設定し、その達成に向けた取組を実施するための組織の計画・体制・プロセス等のことを指す。

設問Ⅰー1-40

平成22年度から平成28年度までの期間(以下,「対象期間」という)について,全国の自動車排出ガス測定局の有効測定局における環境基準の達成状況に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。なお,環境基準の達成状況については「大気汚染の状況 資料編」(平成26年度版,平成28年度版 環境省)に依る。
 ① 二酸化窒素については,対象期間を通じて環境基準の達成率が9割を超えており,平成28年度においても,ほとんどの局が環境基準を達成した。
 ② 浮遊粒子状物質については,対象期間を通じて環境基準の達成率が一貫して低下傾向を示し,平成28年度の達成率は約1割程度に留まった。
 ③ 微小粒子状物質については,環境基準の達成率が前年度を下回る年度はあったが,対象期間全体では達成率は向上傾向を示し,平成28年度の達成率は約9割となった。
 ④ 光化学オキシダントについては,対象期間を通じて環境基準の達成率が1割以下の極めて低い値で推移し,平成28年度は全ての局が環境基準を達成できなかった。
⑥  二酸化硫黄については,平成28年度も含め,対象期間の全ての年度において,全ての局が環境基準を達成した。

【解説】 正解②  総監キーワード集25ページ6.5地球環境問題からの出題です。
設問36と同じ達成状況についての問題です。おおむね達成できているというのが前提です。達成できていないのが②と④になります。光化学オキシダイトは自動車の排ガスだけでなく大陸からのPM2.5やヒートアイランド現象などの影響が強いと考えられています。そのため達成率が低い状況です。

令和元年以前の問題の解説についてはホームページを掲載しています。
https://gijyutushijyuken.com/category/soukan/soukan-good-choice/

参考:日本技術士会HP

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